28 答え
「う…嘘ですよね?」
自分自身で信じられないほど声が震えている。
どこかで嘘の筈が無いと…そう思っているのかもしれません。
けれど妖精さんと3人で笑ったのはついこの間の事でしたのに。
「だったら良かったんだけどな。」
急に静かになった森にブラックさんの呟きだけが響く。
まるで森全体が悲しんでいるような雰囲気さえ感じます。
「まずいな。」
それだけ呟いたあとブラックさんは考え込んでしまい何も教えてくれません。
何が不味いのか。
私にだって解ります『魔王』というリーダーを失ったこちら。
一気に勢力バランスが変わってしまう。
「奴らは次の魔王を生み出す…それは俺かもな。」
奴ら?生み出す?
ブラックさんの言っている意味が解らずに首を傾げました。
「人ってのは自分と異質の者を認めない徹底的に排除する。
まずは自分達の危険度の高い奴から順番に…それが今回ウォズだった。
優先度の一番高い奴それが魔王って訳だ。」
魔王…理解できない、したくない。
でもそれは私達の世界でも同じことでした、単体で戦えば負けてしまうような動物達を集団で追い詰め滅ぼしていった。
そうして成り立っていった私達人間の歴史。
「人を滅ぼさない限り俺達が安心して住む世界は作れない…それがこっちの大半を占める意見だ。」
人は約束を守らない。
一度失った信用を取り戻すのは不可能に近い事。
「ウォズ程のヤツを殺せる人間なんて居るわけないと思ってたが甘かったみたいだな」
そう言って空を見上げたブラックさんの表情は暗い。
事態が嫌な方に転がり始めている事を私はヒシヒシと感じてしまう。
私達は無言で二人空を見上げたまま動けませんでした。
ウォズさんの事を思うと…
胸が張り裂けそうな気持ちになりました。
最初はただこの森を守りたかっただけなのに。
「今日はとりあえず寝るか」
ブラックさんに頷いて私はゆっくりと洞窟の中へ入りました。
お互い一言も話さないのに
とても静かなのに。
私はごちゃごちゃと余計な事ばかり考えて全く眠りにつく事が出来ませんでした。
明け方まで起きていたのは覚えていたのですが…
その後の事はよく覚えていません。




