27 疑心暗鬼
そんな風に笑って俺の村を潰したのか?
皆を惨殺したのか!?
俺を見上げたまま動かない魔王の上に跨って何度も剣を突き立てる。
ザクッと刺す感覚は確かにあるのにコイツは動かない。
何故だ!?
何故!?
とにかく刺しまくった。
腕に顔に服に。
返り血が飛び散ってヌメリとした嫌な感覚が伝わる。
気持ち悪い。
それでも俺はやめるわけにはいかなかった。
死んだフリをしてるだけで動き出すかもしれない。
必死で刺し続ける。
気が付けば俺の下のモノは原型を留めていなかった。
ただの赤黒い塊。
こんな…こんな簡単に魔王が死ぬなんて嘘だろ?
実は幻覚にかかっていたのは俺じゃないのか?
握り締めていた剣が床に落ちる。
カランっと大きく響く音。
俺は幻覚にやられてるのか!?
両手で頭を掻き毟る。
髪にもベタベタした液体が移ったが今更気にもならない。
寧ろ染まってない場所の方が少ない。
こんなにアッサリと魔王が死んだって言うのか?
信じられない。
俺こそが幻覚を見ているに違いない。
「出て来い!相手をしてやる!」
落とした剣を拾って再び構える。
叫びに返事は返ってこない。
「どうした!さっさと来いよ!」
俺の声だけが赤く染まった部屋に響く。
クソッ。
「隠れてるのは解っているんだぜ!」
返事は…ない
イラ付いて目の前の塊を蹴り飛ばす。
赤い液体が飛び散って俺の頬についた。
気分が悪い。
流石は魔王だ、こうやって俺を貶めてどこかで笑っているに違い無い…
俺は歩き出した。
魔王を倒す為に。




