⑳ 墓参り
「兄さん、少し付き合ってくれないか」
イザンはそう言うと俺を外へ連れ出した。
黙って付いていく。
こうしてイザンと並んで飛ぶのも久しぶりだ。
改めて感じる、大きくなったな…。
イザンが連れてきたのはすぐ近くの山だった。
頂上に棒が刺さっている。
ソコには小汚い布が巻きつけられてあった。
「ここに眠っているのが俺の友だ」
俺は墓とイザンへ視線を往復させる。
悪いがとても英雄の墓には見えない。
「ギアンは確かに英雄だった、戦争が終わるまでは」
イザンの視線は粗末な墓から動かない。
俺は言葉を発せずイザンが話出すのを待った。
「それはギアンが敵国の兵士を最も殺した男だからだ。」
契約者が他の人間より強いのは当たり前だ。
戦争をしているのだから相手国の兵士を殺すのも…
「所が戦争が終わった瞬間ギアンは戦犯になった、全ての責任を負わされ国を追われた」
人間とはそういう生き物だ。
本来、契約者ってのは大概人間に嫌われる。
俺達の手先だと…そう認識されるから。
「それでもギアンはこの国が好きだ自分が死んだら見下ろせる場所に埋めて欲しいと俺に頼んだんだ。」
理解出来ないそう言いたそうなイザンに俺も理解出来ないな、と同意する。
人間って奴はよく解らない。
「この国を守る為に一番頑張った筈のギアンを敬うものは誰一人居ない」
勝手なもんだ、だがそれが人間だ。
イザンは哀愁を帯びた目で俺を一瞥してまた視線を墓へ移す。
簡素な墓はイザンが作ったモンだよな。
「今もギアンは犯罪者だ、あの時俺が契約しなければこんな事には…」
嘆くイザンの背中を思いっきり叩きつける。
しなきゃその戦争で死んでたかもしれねぇそしたら今よりもっと後悔してただろ!
どっちにしたって後悔するなら「して」後悔した方がずっとマシだ。
「兄さん、すまないな」
何を謝っているのか理解出来ない。
出来ないが…イザンは俺よりもっと向こう側に謝っているようだった。




