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悪と呼ばれた私  作者: える
出会いと別れ
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⑩ 妖精さんと私

「明日出掛ける。」



ブラックさんの言葉に胸が躍りました。


一緒に連れて行って下さる所は何処も素晴らしい所ばっかりでしたから。


けれど私の顔をみて一瞬だけ申し訳なさそうな顔に変わってしまいました。



「悪いがお前は連れてかないぜ」



ど…どうしてですか!?


早速見捨てられてしまったのでしょうか…色々考えていると落ち込んできてしまいました。



「お前解り易いなぁ、面白れぇ。」



笑うブラックさんになんだか悔しくなってきて思わず頬を膨らませてアピールしてみました。


大体何処行くんですか?


と聞いてもさぁなとか答えてくれないなんて。


私だけが知らない事ばかりでなんだか悔しいです。

「…そうだなオヤツの時間までには帰ってくるぜ。」



私の言葉を真似てオヤツの時間を強調するブラックさんに私は噴出してしまいました。


もうっブラックさんったら…


翌日飛び立って行ったブラックさんを見上げながら私は歩きだした。


折角だし少し歩いてみましょうか。


そんなに遠くには行けませんが…そんな事考えながら歩いているとタンポポのような黄色い花が沢山咲いている場所に出てきました。


この前イチゴをつみに来た時には気が付きませんでしたね。


まるでお花畑の様に一面咲き誇る花を眺めていると小さな体が動くのが見えました。


背中に羽の生えた手のひらに乗りそうな位の…花と同じ金色の髪がキラキラと光ってとても綺麗です。


妖精さんって本当に居るんですね。


ドラゴンや魔王がいる世界ですから妖精がいたってきっと不思議ではありません。


そう考え直して手を振ってみましたが直に隠れてしまいました。

嫌われてしまいましたね。


残念です、自嘲しながら私は暫く花畑を眺めて帰りました。


流石にまだブラックさんも戻ってこられません。


オヤツの時間はもう少し先ですもんね。


塒の前を掃除しながら日が待っていると日が暮れる頃に戻ってこられました。


元々ブラックさんはわりとマメな方なので汚れている所も殆ど無くて掃除する場所もあまりないんですよ。


なんて文句を言おうと思っていたのに帰ってきたブラックさんは凄く沈んでいてとてもそんな事を口に出来る雰囲気ではありませんでした。



「マコト今日は俺もう寝るからな。」



不貞寝のように寝てしまったブラックさんを見ながらどうしていいのかわかりませんでした。


私ではどうにも出来ないのでしょうか?


丸くなって眠るブラックさんの胴をなでながら私に出来ることをずっと考えていました。


翌日も行ってくるの一言で飛び立っていかれました。

散歩にでもいきましょう。


見送った後私は昨日の花畑にまた来ています。


ぴょこぴょこ動くその体に私はまた手を振りました。


残念ながらやはり隠れてしまれましたが。


ああ、残念です。


花畑を過ぎてまたイチゴの所へ向いました。


ブラックさんああ見えて甘いもの好きですからね。


少しだけ摘んで持って帰りました。


時期が少しずつずれて来ているのか赤い実の数が格段に減っていました。


他になにか果物を探したい所ですね。


とにかく私は赤い実を集めて塒にもどりました。


ゆっくりしてきたつもりでしたがブラックさんはまだお戻りではありません。


…オヤツの時間にはって言っていたクセに。

本人の居ない所では悪態をついてしまう。


こちらに来てから離れることの方が少なかっただけに寂しいです。


昔は一人でも平気な性質だった筈なんですけどね。


戻ってきたブラックさんはやはり難しい顔をしていました。


赤い実を食べる瞬間は幸せそうな顔になったのでそれだけで摘んできて良かったなと。


相変わらず何処へ行っているのか全く話して下さりませんがいつかきっと話して下さりますよね?


それまでは黙っていよう。


そう決意しました。


翌日やはり空に消えて行ったブラックさんを見送ったあと散歩に出掛けました。


花畑の妖精さんは相変わらず目を合わせて下さりません。


でも去り際にもう一度振り返って手を振ると小さく振りかえして下さったのです。


嬉しくて、私は自分の頬が緩むのを感じました。


たったそれだけの出来事ですが私には大事件だったのです。


それから今日は昨日とは違う果物を探していつもと少し違う道にしてみたのですが何も見つけることが出来ませんでした。

あの実がイチゴだとしたら季節的には春…4~5月といった所でしょう。


私の居た世界と同じなら、そろそろさくらんぼも季節ですね。


見上げてみましたがそれらしい木を見つけることは出来ませんでした。


残念です。


今日も険しい表情をしたブラックさんに私は何も言わず。


そしてブラックさんも口を開かず。


翌日やはり飛び去っていかれる姿をお見送りしてからいつもの散歩コースへ向いました。


妖精さんに手を振って今日は昨日よりもはっきりふり返して下さいました。


お話…はしてみたいですが近づいたら逃げられてしまうでしょうね。


だから私は眺めるだけで近づかないよう心がけておりました。


折角手を振って下さるようになったんですし、ね。


さくらんぼは暖かい所より寒いところで実っていた記憶があります。


はっきりとした知識を持っていないのは恥ずかしい所ですが…ここはわりと寒すぎず暖かすぎず。


過すにはとても良い環境ですが…。

いつもの散歩コースと反対側の道を歩きながら木々を眺めていました。


赤い実はやはりみえませんが…木漏れ日に揺らめく光が私の心を落ち着けてくれます。


やはり自分では気にしてないつもりでも話してくれないブラックさんに少しイライラしていたようですね。


恥ずかしい話です。


悩みを解決できるだけの力はきっと私にはありませんから、せめて帰ってこれる場所くらいにはなりたい。


それもまた贅沢な望みなのでしょうけど。


ブラックさんが好きだと言ったジャガイモに似た丸い芋を集めながら私は塒に帰ってきました。


今日は沢山集まりましたね。


ブラックさんは生でも平気だと言って居られましたが私は生は一度挑戦してみたものの受け付けませんでした。


最近は茹でて塩で頂くことが多いですが贅沢を言うならマヨネーズ位は欲しい所ですね。


今度卵を手に入れた時は作ってみましょう。


夕暮れが近づいた頃戻ってこられたブラックさんと一緒に食事をしました。


今日は昨日までとは違って機嫌が良さそうで一安心です。

他愛無い話をして二人で笑って…私は貴方の帰ってくる場所になれているような…そんな錯覚さえしてしまうほどです。



翌日また出掛けていくブラックさんに手を振って私はまた散歩に出掛けました。


そう…いつもの妖精さんの所へ。


すると花畑の真ん中、透き通るような金髪をした方が座り込んで妖精さんと笑っていました。


にこやかなその雰囲気に私はなんとなく立ち入ってはいけないような気がして去ろうとすると此方に気が付いた妖精さんが私に向って手招きをして下さったのです。


初めての出来事に私は嬉しくて思わず立ち止まってしまいました。


「こいよ」


金髪の彼も笑って手招きをして下さって私はそこに行くことにしたのです。


透き通るような優しい声をしたその方は綺麗な緑の目をしていました。


「俺はウォズお前は?」

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