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理系女子の恋  作者: 流音
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87、弁明する


「井坂君!!」

「井坂!!」


私と島田君が逃げる井坂君を追おうと走って出口に向かうと、そこにいた赤井君が頭をかきながら「あちゃー…。」と呟いていて、私は手を繋げと指示したのが彼だったことを思い出した。


「赤井君!!どういうこと!?」


私は全部彼の策略だった気がして、赤井君に詰め寄った。

赤井君はどうしたものかというように顔を歪めていて、ヘラッと笑ってから言った。


「いや~…、いつものあいつだったら『詩織に何してんだ!!』とかって島田に突っかかっていって、谷地さんの不満も一緒に解消させるつもりだったんだけど…。なんか今日のあいつはいつも以上にヘタレだな?」

「お前~~~!!!俺を当て馬にしたのか!?人をおちょくるのもいい加減にしろ!!」


島田君が赤井君に利用されたことに怒って、赤井君の胸倉を掴んで締め上げ始めた。

私は井坂君を試した赤井君が信じられなくて、顔がひきつってくる。


赤井君が私たちのために策を練ってくれたのは分かるけど、これはやり過ぎだし…

関係が悪化したような…


私は赤井君より井坂君だと思って、井坂君を追いかける事にした。


「井坂君、探してくる!きっと教室だよね!!」


私は島田君に締め上げられている赤井君にそう告げると、教室へ急いだ。

階段を駆け下りて廊下に出ると、下校する生徒で賑わっていて避けながら走るのでスピードが出せない。


井坂君…教室にいるよね…??

帰ったりしてないよね??


私は胸がモヤモヤとしていて、きちんと井坂君と話ができるのかが気になった。

そして色んな心配を抱えながら教室に戻ってくると、真っ先に井坂君の机を見た。


そこには彼の姿はなくて、鞄もないような気がして嫌な予感がした。


私は私と入れ違いに教室を出ようとしている西門君を捕まえると、上がった息を整えながら尋ねた。


「西門君。井坂君は!?」

「井坂君?なんかさっき鞄持って帰ったみたいだけど?何?ケンカ??」


帰ったと聞いて、私はその場にズルズルとへたり込んだ。


うそ~…帰るの早過ぎ…


「しお、結果発表サボっただろ。井坂君もみたいだけどさ、二人でイチャつくのも大概にしろよな~。」


空気の読めない西門君がその場にしゃがんで茶化してきて、私はイラッとした。


「二人でサボったわけじゃないから。」

「じゃあ何?やっぱりケンカ?」

「…そういうのでもない。……と思う…。」

「何、それ?意味分かんないなぁ~…。でも、この後打ち上げあるみたいだし、帰ったっていってもそこには来るんじゃないの?」

「打ち上げ?」


打ち上げと聞いて、私は少し気持ちを持ち直した。


「うん。学年優勝のお祝いだってさ。いつものファミレス。井坂君も赤井君たちと参加するだろ。」

「……どうかな…。」


私はさっきの井坂君の表情を思い返して、このままだと来ない気がしてならなかった。


「打ち上げって何時から?」

「え?この後、直で行くやつもいるみたいだから…5時ぐらいじゃないの?」

「分かった…。何とか間に合うように探す。」

「え?」


私は気持ちを強く持って立ち上がると、教室に入って自分の机に向かった。

そして自分の鞄からケータイを取り出すと、井坂君に電話をかけた。


でも想像通り井坂君は電話に出る様子はなくて、呼び出し音だけが鳴り響く。


やっぱり直接会わなきゃダメだ…


私はケータイを握りしめると、鞄を持って教室を飛び出した。

そのときにあゆちゃんたちに引き留められたけど「また後で!」と返して靴箱に走った。


必ず見つけて仲直りしないと!!


私は走りながら井坂君に電話をかけ続け、打ち上げまでに誤解を解くと心に決めたのだった。





***




私は学校を出ると、まずはファミレスを覗いていないのを確認すると、井坂君の家に向かって走った。

一旦家に帰ってるかもしれないと思ったからだ。

そうして井坂君の家に着くと、息を荒げたままインターホンを押した。


誰かいるかな…?


井坂君の家のドアや窓を見つめてみるが、人のいる気配がしなくて留守なのが伝わってきた。

確認でもう一度インターホンを押すが、やっぱり誰も出てこない。


「はぁ…。」


私はため息をついて家じゃないならどこだろう?と考えた。

井坂君と行った場所は限られてる。

ショッピングモールにカラオケ、河川敷に公園。

全部回ってみようかと思ったとき、ケータイが震えて着信を知らせた。

それに慌てて出ると、画面に赤井君からだと表示されていた。


なんだ…赤井君か…


「はい。」

『あー!谷地さん!?今どこ!?』


私が井坂君じゃないことに落胆して出ると、赤井君の能天気な声が聞こえてきた。


「井坂君の家の前。井坂君帰ってないみたいだった。」

『だろうな。井坂がまっすぐ帰るとかあんまねーし。』

「そうなの?」

『うん。ガキの頃から俺ん家に入り浸ってるぐらいだからさ。』


私は赤井君から知らされる井坂君の情報に何でなんだろうと疑問が湧いて出てきた。


『――っていうか、井坂の居場所だけどさ、たぶんあそこだと思う。』

「あそこって?」

『そこからすぐだよ。でっけーご神木のある西神蔵神社。井坂のやつ、昔から何かあったらそこに行くクセあるから。俺らも向かうから、先に行ってて。』

「わ、わかった。」


私は大きなご神木のある神社と聞いて、辺りを見回すとそれらしき大きな木が住宅地の隙間に見えた。

私は電話を切ると、その木を目印に西神蔵神社へと向かったのだった。




***



西神蔵神社は住宅地の中に異様な存在感を放って存在していた。

ご神木という大きな木が社の横にでーんと構えている。

私が赤い鳥居をくぐって中に入ると、石畳の向こうに50段ぐらいの階段があって、そこを上ると社が見えてきた。


そしてその社の脇にしゃがみ込んでいる井坂君を見つけた。

井坂君は俯いていて表情は見えなかったけど、背負ってる空気が暗いものに見えて、私は話しかけるのが躊躇われた。


…何て声かけようかな…?


弁明しようと思ってたはずなのに、いざ彼を目の前にすると勇気が出てくれない。

面倒くさい女だとか思われて嫌われることが怖い。


私は大きく深呼吸しながら近づくと、砂利道で足音が鳴って井坂君がこっちに振り向いた。


あ…


もっとこっそり近づくはずだったのにいきなり見つかってしまって、私はその場で固まった。

井坂君は私を見る目を見開くと、みるみる顔を青くしてしまって、何かに弾かれた様に立ち上がって逃げてしまった。


「え!?井坂君!!」


私は逃げられた事に驚いて追いかける。

砂利道なので走りにくくて、足を挫きそうになる。

井坂君はそんなこと屁でもないのか、全力疾走してしまって距離が開いてしまう。


やっぱり足速いなー…


追いつけないんじゃないだろうかと想いながら社の脇から裏に出た所で、私は社の裏がちょっとした崖になってる事に驚いた。

木が生い茂っていて、急ではないが傾斜のある崖のようになっている。

足を滑らせたら転げ落ちるな…なんて思って、落ちないように砂利道を走る。


そして井坂君がまた社の角を曲がってしまったのが見えて、私は足を速めてその角まで走った。

そのまま角を曲がって井坂君の姿が見えると思っていたのだが、そこには井坂君の姿がなくて辺りを見回した。


あれ…?見失った…??


私はそのまままっすぐ歩いて石畳に出ると、ちょうど階段を駆け上がってきた赤井君と島田君を見つけた。


「谷地さん!!井坂は!?」


二人が私の方へ走ってきてくれる。


「さっきまで追いかけっこしてたんだけど…、見失っちゃった…。」

「追いかけっこ!?何、小学生みたいなことしてんの!?」

「だ、だって逃げるんだもん。私だって好きで追いかけてたわけじゃ…。」

「それより井坂探すぞ。この辺にいるだろ。」


私と赤井君が言い争っていると、島田君が仲裁するように真っ先に動き出した。

私は赤井君と顔を見合わせると、島田君の後に続くように井坂君を捜索する。


「井坂く~ん!!」

「井坂ーー!!出てこいよー!!」

「井坂~!!」


口々に名前を呼ぶけど、井坂君は一向に姿を見せない。


そこまでして逃げるのは何でなんだろう?


私はそこが気になり始めて、私は考えながら井坂君の名前を呼び続けた。

すると息を荒げてる赤井君が私に振り返って言った。


「なぁ、そういえば谷地さんって何で井坂の事、ずっと名字で呼んでるわけ?」

「え…なんでって…。」


私は赤井君に言われて顔が熱くなった。


名前でなんて…恥ずかしくて呼べるわけない…


私は『拓海君』と呼んでる自分を想像して、ボフッと顔から湯気が出るようだった。


「む…むむむむ、無理…。名前とか絶対無理…。」

「なんで?付き合ってるんだし、名前で呼ぶぐらい普通だろ?」


「あ、赤井君だってあゆちゃんのこと小波って言ってるでしょ!?それと同じだよ!」

「え?俺、二人でいるときはあゆみって言ってるけど。」

「えぇ!?!?」


私は初めて聞く事実に驚いて声が裏返った。

赤井君は平然としながら何でもないことのように言う。


「小波だって、二人の時はたまーにだけど、瞬って言ってくることあるし。付き合ってたら、名前呼びなんて普通だって。」


私はあゆちゃんもだと聞いて更に驚いた。

いつも赤井君に対する不満を言ってるのに!

全然、私よりラブラブじゃない!?

私は今度はあゆちゃんの事を根掘り葉掘り聞いてやろうと、心に留めた。


「だからさ谷地さんも拓海って呼んでやれよ。そしたらつられて出てくるかも。」

「う…そんな単純でもないと思うんだけど…。」

「分かんねぇじゃん?一回試しに呼んでみなって。」


赤井君が手を前に差し出しながら促してきて、私はゴク…と生唾を飲み込んだ。


た…たくみくん…拓海君で…いいんだよね…??

一回だけなら言えるかな…


私は顔が熱くて仕方なかったが、覚悟を決めると大きく息を吸いこんだ。


「たっ…拓海くーん!!!」


私は何度も呼ぶのが嫌だったので、自分に出せる一番の大声で呼んだ。

すると、ガゴッガサガサという激しい物音が聞こえてきて、社の横にある物置のような建物の脇から井坂君が飛び出してきた。


うそ…


私は驚いた表情を浮かべてる井坂君を見て、こんなに簡単に出てきてくれた事が信じられなかった。

こんな事なら最初から呼べば良かった…


「島田。確保。」


赤井君が小さな声で島田君に指示して、島田君が井坂君に突進していた。

それを見た井坂君がまた慌てて逃げようとしたが、一瞬躊躇ったことで島田君に取り押さえられてしまった。


「いってーよ!!!離せ!!島田!!」

「うるっせ!!逃げるお前が悪い。」


取っ組み合いのようになって揉める二人に駆け寄ると、井坂君が私を見た後に思いっきり顔を背けてしまった。

そんなあからさまな姿に少なからず傷つく。

私は赤井君の策略だとはいえ、井坂君に嫌な思いをさせたのは事実なので素直に謝ることにした。


「井坂君。ごめん。屋上で見たことなんだけどね…。」

「イヤだ!!!聞きたくない!!離せ!島田!!」


私が説明しようとすると、井坂君がまた逃げようと暴れ出して、見兼ねた赤井君が井坂君を叩いて怒鳴った。


「話聞けっつーの!!逃げてたら何も解決しねーだろうが!!」

「逃げたくもなるだろ!!俺は別れ話なんか聞きたくない!!」


?????


井坂君から飛び出した別れ話という単語に、私も赤井君も島田君もクエスチョンマークが飛び交った。


え…?別れ話って…何??

え?え?…何?そこまでの考えに至るようなことしたっけ??


私は顔をしかめて、今日あったことを思い返した。

最初に避けはじめたのは井坂君だし…、私は別れを匂わすような事は何も言ってない…はず…

私は頭が痛くなるほど考えたけど、井坂君がどこでそう捉えたのか分からなかった。


「…お前、何の話をしてるんだ?」

「何って!!屋上にいた張本人がそれを言うか!?この裏切り者!!」


島田君が呆れたように言った事で、井坂君の怒りの矛先が島田君に向いた。


「落ち着けよ、井坂。俺は何も裏切ってなんかねぇって…。」

「嘘つけ!!見たんだからな!お前としっ…し…詩織が…手繋いで…仲良く話してるとこ!!」


井坂君は相当ショックだったのか、涙目になっているようで声が鼻声に変わった。

そこで私はこれ以上は可哀想だと思って、全部説明することにした。


「井坂君!聞いて!!手を繋いでたのは何でもないんだって!」

「わーーーーーー!!!!詩織からは何も聞かないからな!!!」

「聞いてってば!!」

「わーーーーー!!!!」


井坂君は大声でかき消そうとしてるのか、一向に話を聞いてくれない。

私が現状に参ってしまっていたら、今まで黙ってた赤井君が井坂君の胸倉を掴んで少し引き起こして睨みつけた。


「カッコ悪いな!!井坂!!」

「は!?」

「勝手に一人で思い込んで、彼女である谷地さんの話も聞かねーなんて、カッコ悪いし、情けねーし、良いとこなんか一つもねぇ!!もうフラれちまえよ!!」


赤井君が傷に塩を塗り込むように吐き捨てて、さすがに井坂君は口を閉じて黙り込んだ。


「いいか?井坂。二人が手を繋いでたのは俺が繋いで待ってろって言ったからだ。」

「……は?」


赤井君の言葉に井坂君がポカンとするのが見える。


「ヘタレなお前の尻を引っ叩いてやろうという、俺の策略だった。まぁ、それが逆効果だなんて思いもしなかったけどな。」

「おい…。お前、俺を屋上に連れて行くとき、島田が詩織に告ってるって言ったよな?」

「は!?」「えぇっ!?」


これには私と島田君が驚いて赤井君を見つめた。

赤井君はちらっとこっちを気にしただけで、謝る様子もないまま続けた。


「まぁ、それは…ぶっちゃければ嘘だ。お前のためだと思ってやったことだ。許せ。」

「はぁぁぁ!?!?」

「だから!!別れ話とかはお前の勝手な思い込みだ!!だいたい谷地さんがここまでお前を探しに来たことで、お前の事がどれだけ大事か分かるだろ!?」


赤井君が急に私を指さしてきて、私はその指を見てから井坂君に視線を移した。

井坂君はまだ涙で潤んでる瞳で私を見ていて、信じられないという表情で言った。


「詩織…。…俺の事…好き?」


私は期待に満ちた目で聞かれて、答えないわけにもいかなかったので、島田君と赤井君の目を気にしながらも小さな声で言った。


「…好きに決まってる…。」


井坂君の表情が大きく緩んで、心底安心してるのが伝わってきた。

それを確認した島田君が井坂君から離れると、赤井君の背を叩いて言った。


「あとは二人で話せばいいよ。このバカのせいでこじれたわけだし。」

「俺はバカじゃねぇよ!!俺は二人のことを思って、言わば愛のキューピッド的な…。」

「悪魔の間違いだろ。いいから行くぞ。…っつーかお前、後で覚えとけよ。」


島田君が赤井君を脅すように言いながら背を向けて、赤井君が私に手を合わせて謝ってから、島田君の後を追っていった。

二人が言い争ってる声が少しずつ小さくなっていく。


私がそれを見送って神社の入り口に目を向けていると、手を優しく掴まれて慌てて井坂君に目を戻した。

井坂君は片手で顔を隠していて、どうやら泣いているようで頬を伝う雫が見える。

井坂君が泣いてる姿なんて初めて見るので、どうすればいいのか分からなくて黙って井坂君を見つめた。


そんなに…思いつめてたのかな…?


私は自分がそんなに不安にさせてたのかと、心苦しい。

その心苦しさを解消しようと、私は手を握り返してから言った。


「き、昨日の今日で別れるなんて私が思うはずないよ?私、井坂君が大好きなんだよ?」

「……でも…詩織…距離を置くって…言った…。」


私が…??

距離を置くなんて言ったかな…?


私は言った記憶がなくて、首を傾げた。


「言ってないと…思うんだけど…。」

「言った…。その後、頭冷やすって言って教室出てっただろ…。あんなん…交際自体を考えさせてくれっていう意味だと思った…。」


私は確かに言ったような気がしてきたけど、そういう意味で言ったわけじゃないだけに心苦しさが募った。


「そのあとに島田が告ったとか聞いて、二人が仲良くしてるの見て…。別れを切り出されると思った…。」


だからあんなに必死に逃げてたんだ…


私は井坂君があれだけ必死だった理由が分かって、心から申し訳なくなった。

赤井君のせいだとはいえ、こうも誤解を生むタイミングが重なったものだ…。

私は「ごめん…。」と謝ってから、自分の気持ちを伝えた。


「私が頭を冷やすって言ったのは、頭ごなしに井坂君を責めてると思ったから。私、井坂君に距離とられて悲しくて…、一方的に井坂君を怒っちゃったから…。」


私は口にするのは恥ずかしかったけど、本心を続ける。


「私は両親が認めてくれたんだから、学校でも井坂君とイチャつけるって思ってた。普通に手を繋いだり、カップルっぽいことしても大丈夫なんだって…期待…してたんだけど…。その逆だったから…。あんな事言っちゃったの…。心、狭いよね…。本当に…ごめんね。」


ここで井坂君が少しだけ顔を覆ってる手を上げて、私と目が合った。

井坂君の瞳が涙で光ってキラキラ輝いて見える。


「俺は…ご両親の期待に応えたくて…、自分を見失わないように距離をとってた。それが詩織を不安にさせてたんだな…。俺こそ…ごめん…。今度からはちゃんと言うようにする…。」

「うん。そうしてくれると安心かな。」


私が苦笑すると、井坂君の口元も少し緩んだのが見えた。

仲直りできたことに心から安心する。


すると井坂君の手の力が強くなって、井坂君が涙を拭いながら言った。


「今回ばかりは…マジできつかった…。勘違いで…ホントに良かった…。」


井坂君は口元は笑いながら言っていたけど、涙を拭ってる手の脇がまだ濡れていて、まだ涙が止まってないのが分かった。

私はそれに胸が痛くなって、井坂君に近付くと井坂君の頭を優しく抱き締めた。


「大好き。私は井坂君が好きなんだよ。別れるなんて思うはずないから。」


どうすればこの気持ち全部、井坂君に伝えられるんだろう…?

私は言葉じゃ伝えきれないと思って、腕に力を入れた。

すると井坂君が抱きしめ返してきてから頷いた。


「うん。俺も…。」


井坂君はやっと落ち着いたのか私から少しだけ離れると、顔を見せてくれた。

涙はもう止まっていて、表情は穏やかだった。

私はそれに安心して井坂君の頬を両手で包むと、井坂君が目を細めたのが見えて、私は顔を近づけて口付けた。


井坂君は少し驚いていたようだったけど、私の後ろ頭に手を当ててキスに応えてくれたのだった。









思い込みの激しい井坂でした。

この神社はまた出てくると思います。

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