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プロローグ
地味で真面目でヘラヘラ笑っている。
それが私だ。
恋愛経験なんてないに等しくて、こんな私に優しい言葉をかけてくれる人がいたら、その人の事を好きになってしまう…それは当然だと思う。
だから間違えた。
相手も自分を好きでいてくれてるなんて…勘違いもいいとこだ。
できるならあの事を私の過去から消してほしい。
もう恋なんてしないって誓うから…
どうか、この胸に刺さった嫌な思い出を取り去ってほしい。
***
これは私が中学のときにある人気者に恋をしたのが始まりだった。
地味で目立たなかった私に、その人は優しく声をかけてくれた。
『可愛い名前だね』って言って、名前で呼んでくれるようになった。
私だけが彼の特別なのかもしれない。
きっと告白したら上手くいく。
私は人見知りで小心者だったのに、彼からもらった自信を糧にそのときはとんでもない勇気が出た。
きっといつもみたいに笑って『うん。俺も』って言ってくれると思ってた。
でも返ってきたのは…私の心を一突きにする残酷な言葉。
『ゲームセット』
私はその日から人と向き合うのが怖くなった。
理系女子の恋のはじまりです。