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世界を〇〇する話。  作者: 綾瀬咲祐
Ⅰ シアワセアジトによるシアワセアジトのための闇鍋大会っ!
8/21

【間幕続き】現実

少年は、“現実”を愛していた。

病的なまでに...とまではいわないが、好きだった。

日常、というものにこだわっていた。

少年は、一度“非現実”に関わった事がある。

その世界に関わったとき、その者は“現実”を愛するようになった。

ただただ、醜く罵られ、なにもしたつもりはないのに、人は命を途絶えさせて行く。

ただ、自然体でいただけなのに、人は少年を嫌う。

そんな、悪夢のような世界に、実際にはただの少ししかいなかったけど。

確かに、いた。


人々はこういった。「死神」と罵った。

少年は、人々に狙われた。

_____こんな、危険な者...死神を、野放しには出来ない、と。

現実に戻ると、仲の良い友人が、心配そうに顔を覗き込んでいる。

少年は、「ありがとう」と涙した。

友人は、いつものことだろう、と笑った。

それから、異様に非現実を感づいた。


ただ、事件があっただけで、ビクッと身体を震わせた。

目の前に鳥の亡骸があるだけでも、魚でも、異様に拒否反応を示した。


友人は語った。

______彼の存在が、非現実なのではないか、と。


少年は、昔から事件に巻き込まれやすかった。

その少年が決して、悪いのではないのに。

それでも、大きい事件も、小さな事件だって、なんでも彼は、近くにいた。

ただ、存在する、だけだったのに。



少年は、“現実”を愛していた。


トラブルメーカー等ではない、ましてや、「死神」なんかじゃ__________



ある日、少年は自分の目の前で一人の少女が搬送されて行くのを見ていた。近くに友達であろう女の子と、男の子が二人、必死に彼女の名前を呼んでいる。そんな様子をただただ黙って。黙って、見ていた。

黒髪のその少女は、苦しそうに少し涙を見せた。

廃ビルで過ごしていた挙げ句の熱中症を拗らせたそうで。


曉ビルで、過ごしていたようで。

......最後に入ったのはいつだっけ。

たしか、オレが数週間前に入って...

鍵は、閉めたっけ。

たしか、鍵はかけることを、面倒くさがって...


嗚呼。


人々はこう呼んだ。

オレのことを、「死神」と。


どうやらオレは、非現実にしか生きられない存在なのだろうか。

少年は、柔らかく微笑んだ。

お前の性格は、事件を巻き起こすんだろう...そういえば昔、父親に言われたっけ。

自然体でいてはならない。そしたら、こんな風に...人を殺してしまうから。


...嗚呼、そっか。


オレは本当に、「死神」だったんだねぇ。


少年は気付いた。

自分が、非現実にいれば、他の皆は、現実のままで、過ごせることに。

自分が、欺けば。性格を変えてしまえば。誰も事件に巻き込まれないことに。


少年は、”現実”を愛していた。

現実的な、世界に憧れていた。

結果的に、少年は非現実に身を投じてしまったけれども。

結果的に、少年は歪んでしまったけれども。


それでも、本当は、誰より望んでいた。


現実に。



他人のことなんかどうでもいい、とか。

そんなこと、今は思うけど。

狂っちゃったけど。

でも、今でも責任は感じていて。

見守っている内に恋心に近い感情を持っちゃって。


「あはっ、あはははははっ」

馬鹿みたいだ。

本当、馬鹿みたいだ。


こんな“非現実”にいる内に、身動きがとれなくなってしまったじゃないか。


...嗚呼。

やっぱり、“現実”が一番好きだ。

もっとも、今は”死神”になったけれど。

きっと、自分は。傷つけたくない相手を、傷つけてしまうんだ。


_________「紅っ!紅っ!!」「虹晴...空...大好きだよ...」

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