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世界を〇〇する話。  作者: 綾瀬咲祐
Ⅱ Death Smaile VS シアワセアジト、そして他アジト
20/21

7 始まりの合図

誤字があったらお願いします。キャラクターはまだいますが息絶えそうなのでこれでいいです。

上条瑞紀は思った。

面倒な役を押し付けられたものだ。わたしは暇人でもなければ物好きではない。ましてやお人好しなわけでもない、筈。

他でもない親友からの頼みだから仕方なく…

嘆息。

自分はやっぱり甘いのかもしれない。今度は彼女にはもっと厳しくなろう、そう心に決めると疲れたように瑞紀は肩を落とした。

いくらちいさな歩幅でもつかないわけがなく。着いた場所は広場の放送室。


***

にぱー☆

今日も笑顔が炸裂した。周りにいた取り巻きが心酔した様子で彼女を見る。

人より低めの身長。青く柔らかそうな髪。あどけなさの残る愛嬌ある童顔。肉付きが適度にいい柔らかそうな身体。

藤崎碧(ふじさきあお)は今日も相変わらずの日常を過ごしていた。碧はアジト無所属だがひとまず苦労はしていない。


人を手玉にとることが得意、といえばいいのだろうか。昔から人の心をつかんで離さない愛され女子をやっている。老若男女構わず、だ。

「ん…なんだか今日は学校が騒がしいのです。なにがあったのか分かりますですか?」

「はいっ!シアワセのマスターとdeathのマスターがいました!どうやらバトルをしてるようです!」

シアワセ?

「ありがとうなのですよ圭。いい子なのです。にぱー☆」

碧は教えた少年の頭を背伸びして撫でながら思案した。紅は自分からバトルするタイプではないはずだ。久々にdeathがちょっかいをかけてるのか?…紅にはそうそうちょっかい出すなと釘を刺したつもりだが…

「たしかシアワセマスターって同じ藤崎、ですよね?」

そんな何気ない言葉が碧の思考を中断させた。みんなが騒つく。碧は頭を抱えたくなったが、この‘碧’はそんなことをしない。笑顔を保ったまま暫く考え、嘘をついてもいずれ感づかれて信用を失う可能性を案じた上で事実をいうことにした。

「です。僕の従姉妹なのですよ。」

ここまででいいだろう。

碧が貰われた娘だということは…


ぴぃんぽぉんぱんぽん♪

軽快な音が響いてまたもや思考は中断をした。タイミングが悪いにも程がある。碧はとりまきに聞こえぬよう舌打ちした。


***

それはアグレッシブに動いていた。ジャンプ!ジャンプ!バク転!側転!それ…桃色のそれはそれはファンシーなうさぎ…の着ぐるみを着用した匣船ノア(はこぶねのあ)は無言で某梨の妖精の如く動き回っていた。

ぱっと見不気味で、この上なく恐ろしい光景だがそれを見ている人物二人。

「凄いですマスター!かっこいいですよ!」

「いや、正直怖いんとちゃう?」

「なにをいっているんですか兄様!マスターはなにをしていても格好いいですよ!」

着ぐるみを鑑賞していた二人。ノアの従順な信者こと桐島陽菜(きりしまはるな)桐島月人(きりしまつきと)は兄弟だというのに随分と仲が悪い。

「寝る前にご自分でつくったお気に入りのぬいぐるみになかなかない笑顔で頬ずりするマスターも素敵です!」

アグレッシブに無言で動いていた着ぐるみが止まる。側転中だというのに。もちろん展開は簡単で崩れ落ちた。状況を作り出した元凶の陽菜は真っ青になって駆け寄った。

「お前…本当なんなんだよ」

ジト目で睨みつけるが、陽菜は白々しくにこりと微笑んだ。


ぴぃんぽぉんぱんぽん♪

そんなことを尻目にそれは明るくなった。


***

一雅(にのまえみやび)は画材屋にいた。

あれこれ思案しているととても楽しくなってくる。今日は新しいスケッチブックを買いにきていた。もうあと10枚しか残っていない。スケッチブックは言わば相棒だからこそ、急ぎで買いに来たのだが。

「わ〜、この彫刻刀いいなぁー」

そんなこと忘れてショッピングを楽しんでいる。←今ココ


彼女はかなり忘れっぽい。

芸術家肌で才能は抜群のかわりに記憶力を根こそぎ奪われてしまったような。

大和撫子そのものの容姿もすべて記憶力の代償だと言われれば納得できる程に。

アジトに入れたのも奇跡に近い。

アジトに入ることすら忘れていた彼女を方針が合うことをふまえ誘ってきたのはアジト「氷花」マスターの雪音朱香。和のテイストのメンバーに浮くこともなく自然に溶け込んでいる。雅もメンバーが大好きだし朱香に感謝もしている。


雅は暫く画材をみたあと数少ないお金で彫刻刀を買ってしまった。スケッチブックを思い出すことはないし、買うお金もなくなっていた。

雅は公園に入る。いつもの日課で10枚しかないスケッチブックにぱっと思いついた猫のマスコットを相棒のペンで描くと息を吹きかけた。猫のマスコットが実体化する。


ぴぃんぽぉんぱんぽん♪

そんな中、軽快な音がなる。

愛用のうさぎさんポーチにはさっき買ったばかりの彫刻刀が入っていた。スケッチブックは9枚しかなくなっていた。


***

ガサゴソ、ガサ...プツッ、ツー...

無機質な機械音。どうやら何か、放送が開始したもよう。

「あー、あー...てすてす...朗報、朗報。」

学校、広場全般、何処のアジトにも響きわたる大音量で流れるのは舌ったらずなロリータボイス。

瑞紀は背伸びをしつつ、長い銀髪のツインテールを揺らす。


「此処に住むもの、全員に連絡をする。これを聞いた者は、男女、アジトを問わず、学校の体育館に集まる事。来なかったら...分かってるよなァ?ククク...以上だ。」


相変わらずの舌ったらずで凄む。

ロリータボイスだというのに、狂気を感じさせる声。何故そんなに恐ろしくなるのだろう。

有無を言わせない様子で電源を切ると、瑞紀は、ふぅ…とため息を吐く。

「みぃさま、お疲れ様ですっ!」

可愛らしい無邪気な声。慌てて振り向くとそこには変わらない笑顔で幼女がたっていた。

「あァ…お前が、例の…」

確かに凄い。このわたしの後ろに立っていたというのに、気配を感じさせなかった。末恐ろしい。…けど

「違うな」

瑞紀は小さく呟いた。そして…結葉は聞こえなかったのか聞こえないふりをしたのか反応せずにくるりと背を向ける。

幼女二人も学校へと歩いて行った。

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