5 開戦の合図
僕が目が覚めると、もう他の人達は着替え終わっていた。着ぐるみの上に毛布は流石に寝苦しい。嫌がらせか?正直身体が熱くてたまらない。いや、マジで。
「ハヤト!おはよっ!じゃなくて、新メンバーだよ!!」
弥郷がぴょこぴょこと近づいて来る。どこか興奮した様子に何事かと首を傾げつつそちらを見ると、そこには白髪の儚げな少女がいた。小さく幼い。でも、弥郷よりも大人びていそうな気がするのはなんでだろう。
「真神...ましろ...」
名前なのだろうか、彼女はそういってまた口を噤んだ。
「えっと、よろしく、ましろちゃんっぐぅぅっ!?」
手を差し伸べようとしたら、弥郷に思い切り踵を踏まれる。下駄でそれはねーよ。
「とっ、とにかくー!ハヤトも着替えて来なよ!そろそろお片づけしなきゃ!」
恨みがましい視線を送ると、焦ったようにこほんと小さく咳払いをする弥郷。
悪い事したと分かってるんなら最初からしないでほしいんですがー。そんな言葉を飲み込むと、弥郷の言う通り着替えに向かった。
とりあえず、ばたばたと後輩が出来た事がわりと嬉しかった。
戻って来ると、また起きたときとは違う空気だった。さっきは和やかな歓迎ムードなのに対して、今度は張りつめたような、緊張した雰囲気。
「マスター...?どうしたんですか...?」
メンバーを避けながら、真ん前にいたマスターの元まで行き前を覗き込む。そこには、不敵な様子の銀髪の青年を先頭とした、何処か不気味なメンバー。
「これは...?」
その言葉をさえぎるような、飄々とした声。
「オレ、アジトDeath Smailマスターこと曉玖生雅は、シアワセアジトに、通常戦闘を申し込む。」
は?通常戦闘、なんか弥郷にちらっと聞いた気がしなくもなくもなくもなく...要するに覚えてない。
あれ、そんな話聞いたっけな。
マスターは若干睨みつけるとも違った、悲しそうともいえない、微妙な表情を一瞬見せた後、ごくりと息を飲み込んだ。
「玖生雅クンは、どうしてまた...」
そこまでいって、口を噤むと何も言わずにくるりと踵を返した。
「学校、だよね?」
「ああ」
マスターがいなくなると、全員がばらばらと出て行ってしまう。
...なんなんだよ、そう言いたかった。
まだ、僕は来たばっかりだというのに、早速バトル?出来るわけない!
そう思うけれど、空気は重いような、張りつめたような、そんな空気だから。
何も言えなかった。
「ハヤト、いこっ」
努めて明るく接してくる弥郷に僕はかなり救われる。
「おう」
何故か腕を絡みつけてくるのはともかく。
「…………」
その時の様子をただ無表情で見つめるふわふわ髪の見慣れた少女の存在を僕はまだ知らない。
遅くなりました。
あと、いやなフラグ立った気がします。




