【間幕】ある夏の日に 〜ヤクソク〜
五月様の小説を元にした、空君の一人称小説です。
空君格好よすぎてツラい。
お父さんなんて嫌いだ、嫌い、嫌い嫌いっ!
泣きじゃくっていた僕、海凪空は、家を駆け回り、必要になりそうなもの、ならなさそうなものをとりあえずかき集めて、鞄に適当に放り込むと、家をとびだした。
向かうのは、幼馴染みの二人...虹晴と、紅の家。
僕たちは家が近く、幼稚園、小中学校、その他遊ぶ時もずっと一緒だった。何かあるときも、何があるときも・・・三人一緒。無邪気で明るく、ムードメーカーな紅としっかりとしていて、優しい虹晴。僕の年上の二人だったけど、僕は誰よりも大好きだった。
まあ、幼馴染みとはいえ、気持ちの違いは誰だってあると思う。僕も例外じゃない。虹晴は大好きだけど、お姉ちゃん、という感じだと思う。安心して頼れる相手。紅は、手がかかるし下手をすれば僕よりも子供っぽいし、料理は致命的だし、ムードメーカーであると同時にトラブルメーカーだし、、、誰よりも、優しいし、強いし、可愛いし、守ってあげたい、僕の、好きな人。まあ、鈍感な紅は気付いている訳が無い訳だけど。
それはともかくとして。
僕は二人の前で言い放った。
「あのビルに立て篭ろう!お父さん達を見返してやるんだ!」
すると二人は、顔を見合わせた後、くすっと笑い、答えてくれた。
「いいねいいねっ!すっごく楽しそうっ!うわー、どきどきするっ!」
紅は二つ返事で承諾してくれたし、虹晴も、
「いいわ。空の為にもなるでしょうし...紅はきっともう止めても止まらないわ。」
承諾してくれた。とりあえず準備が必要でしょう、という虹晴の一声に、紅と僕は不満は残るものの、渋々今日は帰る事にした。父親とは顔を合わせたくないから、部屋にずっと引きこもっていたけど。...僕のお父さんも、なにも声をかけてこなかった。
次の日から、僕達は廃墟のマンションに立て篭った。たまたま鍵が空いていたことは、僕も虹晴も紅も知っている事だったから、入る廃墟には困る事も無かった。
「虹晴〜っ!見て見てメイド服ー!」
「あらあら...何処から持って来たの?」
「ボクの家っ!」
「紅...その大量の荷物はなんだと思ってたら...」
「ゲームとねっ、コスプレとねー...」
僕達は、コスプレをして遊んだり、ゲームをしたり、退屈する暇なんて無かった。全部、紅のお陰だって気付いたら、もう彼女の笑顔にはなにもいえなくなっていた。
夏一番の猛暑日が続く、そんな中、僕達は遊び続けていた。そんなことをしている間に、三日も過ぎていた。僕達はまだ、楽しく喋り続けていた。
「...紅、ジュース飲み終わったかしら?それなら新しいのを...」
「んっ...ううんっ!あとちょっと残ってるからさ、あとで貰うよっ!」
「......紅、道具の片付け、しよ」
「うんっ!いくいくっ!」
「...今、ちょっとよろけなかった?」
「ほへ?なにがー?」
「......気のせい、かな」
父親の怒りにまだまだ沸騰中の僕は、気付かなかったんだ。
紅の少しずつ進行している不調に。
計画六日目。紅は倒れた。
「紅っ!紅っ!!起きてよ...紅!」
僕達は急いで紅を近くの病院に連れて行った。彼女が助かることだけを祈って。
だがその願いも届かず、ゆっくりと温かかった肌がとろけるように、だんだんと冷たくなっていった。
紅は静かに息を引き取った。
僕には、紅の肌が、氷のように冷たく感じた。
僕の所為だ...紅が死んだのは...紅を死なせたのは僕。僕が僕が...僕がいなければ。
僕が
も っ と 大 人 だ っ た な ら 。
僕は、周りが見えていなかった。父親の考えも、虹晴の事情も、紅の体調も。
...あれ?僕が怒っていた事って、どういうことだっけ?ただ、くだらない、くだらない、親子喧嘩で。
親子喧嘩で、僕が誰よりも大好きだった紅を、殺してしまった。
僕が、殺シテシマッタンダ。
僕は泣きながら冷たくなった、氷の紅を抱きかかえ、虹晴の手をつかみ病院を飛び出した。
ねぇ、覚えてる?僕達小さい頃から三人で計画を立てて色んな人を困らせていたね。
あの時の皆の顔は今でも覚えてるよ。
僕が初めて二人に会ったときはもっと笑いなよって僕を笑わせてくれたよね。
それを見ながら大笑いしてたなぁ。
それから僕笑えるようになったんだ。表情を作れるようになったんだ。
紅は僕に楽しむ事を教えてくれたね。虹晴には勉強とかを教えてもらったな。
僕が泣いてる時は励ましてくれた。
僕が笑う時は同じように笑ってくれた。
僕が何かあったときは一番に心配してくれた。
ねぇ、いつもみたいに僕達を困らせてよ。いつもみたいに楽しそうに話してよ。いつもみたいに・・・笑ってよ...
「...紅...」
僕はいつの間にか立ち止まって座り込み大粒の涙を流していた。虹晴も紅の手を取り泣いている。僕の心の中にあるのは、寂しさと、後悔と、反省と、屈辱と、怒りと。
紅はいつも二人のそばにいてくれたね。
今度は、僕が紅のそばに行く番だよ。
僕は自分のナイフを手に取り首元に当てる。紅、ごめんね、虹晴も、ごめん。二人共、僕に仲間を教えてくれて。
ありがとう。
僕は虹晴の手を伸ばす様子と膝下で横たわる紅を心に刻み、首にナイフを刺した
”「ねぇ、空、虹晴ボク達三人でシアワセな世界を作ろうね!」
「シアワセな世界?」
「皆が楽しそうに笑っててねー、ボクたちが、ずっと一緒の世界なんだよっ!」
「あら、楽しそうね。」
「ねっ、いいでしょ!」
「...うん。」
「じゃあ、ゆびきりっ!ゆーびきぃりげんまんっ!嘘ついたら針千本のぉます!」
『指切った!』
「えへへ、これ、3人の..."約束"だよっ!」”




