3 「アジト・ガターレット」平和な風景と本の世界。
ペラッ...ペラ。
紙をめくる音だけがこだまする室内。本特有の香りが心地よさを感じさせる落ち着いた室内には、比較的落ち着いた雰囲気の少年少女が4人程。全員がそれぞれ自分好みの本に目を通している。暫くそんなただ静かな時間が過ぎた後、一人の少女が本を持ち立ち上がった。
「よ、.........と。」
静かに歩くと、まずはじめに空いていた場所にさっきまで読んでいた本を片付けると、今度はたくさんある本棚の一つに立ち止まり、手をのばす。どうやら一番上の段の本をとろうとしているようで。必死で手を伸ばすが、149センチという低身長な身体では到底届かない。
「.......これか?」
本棚の奥で蹲っていた少年がふと立ち上がり、彼女の手がさしていた先の本を手に取り彼女に渡した。
「ありがとうございます、炉様。」
少女は、はにかみつつ微笑み、とってくれた少年...榑林 炉にぺこりと頭を下げた。
「別にいいよ、マスター。」
炉が少し頬を綻ばせて返答をする。マスターこと柊 椿はたったの12歳である。
シアワセマスターである藤咲紅は16歳だし、Deathマスターである曉玖生雅は18歳。氷花のマスター雪音朱香だって、16で歌曲マスターの白石光でも15なのだから異質な存在である。まあ、5歳のベスト2位がいるがそれはともかくとして、だ。だってそんな幼児は桁違いなのだから。そして、このアジトのメンバーは知っている。下手すれば、年上の者よりも落ち着いてしっかりとしていることを。そんなマスターに尊敬をして、ついていっているのがここのアジトのメンバーなのだから。
ゆっくりとそれぞれの場所に戻ると次はまた一人の少女が立ち上がった。名を曉 氷雨と言う。柊の姓を持つ椿がDeath Smail所属の少年、柊零の妹なら、彼女は兄にDeath Smailマスターの曉玖生雅を持つ。
氷雨は迷わず一つの本棚に向かい、本を片付けた後、引き出そうとして...とれない。少し力をいれて本を抜き出そうとするが抜けない。「むぅ...」小さく声をあげ、暫く引き出そうと努力をしていると、ようやく根負けしたのか本が抜ける。が、バタバタバタバタッ。
大きな音と共に崩れ落ちる本。
危うく本の下じきになりかけた氷雨は、冷や汗を流しつつ、四方八方に散らかってしまった本を片付け出した。
「.......大丈夫ですか?」
真っ先に気づき心配そうな表情をして駆け寄って来たのは、8歳の幼い少年、葉月 楓。少年とは言うものの、容姿といい声といい、女の子のよう。まさに、「男の娘」と呼ばれやすい少年である。
「片付け、手伝います。」
そういって軽く微笑み、近くに落ちていた本を拾い上げると、本棚に並べ直した。特に断る理由もない。少し申し訳ないと思うものの、まあ彼自身も遠慮されても困るだけだろうし。そこまで考えると、氷雨は微笑み返した。
「有り難いのじゃ。では片付けるとするかのぅ。」
ふわっとおさげにした銀髪がゆれる。丁寧に大切な宝を扱うように本を一冊一冊しきつめていく。やっていく内に落ちた本がなくなるものの、それとともに本棚の隙間もなくなってしまう。
「これは...新しい本棚を買わないと、ですかね。」
「そうじゃのぅ...また今度買いにいくとするかの。」
二人はそういうと顔を見合わせ、直に笑った。
本を並び終え、本棚の少ない場所...普段メンバーがすごす広間的な場所へつくと、柔らかく甘い香りがした。
「今、お茶を入れているので、待っていて下さいね。」
くすっと微笑み、温かい紅茶をカップに注いでいるのが見える。
「そういや、面白い話を聞いたんだけどさ」
全員が揃った状態で、ふと炉が切り出した。
「最近、ココの人口が爆発的に増えてるって話なんだけどさ」
「...急激にってことかの?」
「そーいうこと。」
「...あの者が、暴れてるのぅ」
遠い目で氷雨がとある幼女を連想した。すると、他のメンバーも、ああ...と一言呟き、少し考え込んだ。
若葉色の髪の、愛らしい姿に、するどくこの世界の者達を切り裂いて来た、あの幼女。未だ謎の多いその幼女は、一体今、何をしているのだろうか。
「まあ、ともかくですけど。...もしかしたら、もうすぐ、大きな波が来るのでしょうか。」
少し心配そうに顔を歪めた椿に、楓は困ったように弱々しく、でも何処か優しく諭した。
「大丈夫ですよ、きっと。...もう少し、時間はあるでしょうし。」
「それに、マスターのことは俺達が守るからさ」
温かい笑顔のメンバーに、椿はくすっと笑った。
「マスターが守られるって、困った事です。...でも、ありがとうございます。」
そういうと、紅茶をぐっと飲み干した後に立ち上がった。
「さて、新しい本棚を買いにいきましょうか。」
この話はもう、やめにしよう。平和がなにより、なのだから。
「ついでに、新しい本が欲しいのじゃ」
そう付け加えると、他のメンバーも気持ちを汲んだのか、立ち上がって出かけの支度をはじめた。
今日も明日も、願わくばずっと、平和でありますように。
キャラ崩壊ぱねえ。すみませんでした。
キャラクター説明
柊 椿(12歳)女の子。《五月様キャラクター》
笑うことが多くおっとりしている。兄の性格からか時々兄のような言葉使いをするが大体は咳などで誤魔化す。暇があれば本を手にして読み始め約5分程で読み終わってしまう。だが動物(猫)が出る話は嫌いらしい。嘘が付けない性格で言ってもすぐにバレてしまう
榑林 炉(14歳)男の子。《はる様キャラクター》
ほんの少しだけ生意気で捻くれた、妙に冷めた様子のごく普通の14歳。今は少しだけましになったものの、協調性のかけらもない。少しは聞こえのいい言葉に直すとマイペースな奴。普段は淡々とした様子のローテンションだが、曰く「眠い」だけだとか。そのせいかどうかは知らないが、怒りや狼狽える時以外でテンションが高い時もたまにある。一応常識は備わっているせいか、常識を持っていない人に振り回されることもしばしば。過去のトラウマが災いして集団の中に放り込まれるとマジで三途の川突入することも。ついでにコミュ障。知らない人と話すのは苦手だし、結構本気で逃げ出したくなるのだそうで。出来る限り人の少ない場所へと動こうとする様は一周回って涙を誘うとか何とか。その歳特有の綺麗言に対する反感や反抗期的言動もばっちり装備済み。褒められ慣れしていないせいか、変に褒めたりすると無駄にテンパる。解離性同一性障害。簡単に言えば多重人格者。主人格でありオリジナルの炉が普段は動いている。サブは炉の「妹」らしいイロハ。炉とは対照的に若干人見知りの気はあるが良く笑い協調性もある超いい子。言い出したら聞かない頑固なところもあるが、全体的にほわほわした雰囲気。どちらもお互いのことを「双子の片割れ」と認識しており、必要なときは幻覚もどきで存在を確認する。また、自分のことを夢遊病だと思っており、多重人格であることは意識下でしか知らない。そして、もう一つの人格。これだけが知らされているので少し異質。名前はなく、髪を解いているせいか容姿はどちらかと言うとイロハに似ている。自分が人格の一つであることを理解していて、オリジナルが誰だかも知っている。ただ、イロハの存在は知らない。各人格の記憶は共有できない様子。
曉 氷雨(15歳)女の子。《オリジナル》
超絶真面目人間。圧倒的善人。お人好し、と称されることも多々。だけど実際は意思が大分強く、正義感の強さも、嫌なものは嫌、と割り切った考えも出来る少女。他者には厳しく、自分にはさらに厳しく、が彼女のモットー。誰にでも平等。品行方正、成績優秀、才色兼備といった、様々なものを揃えた少女。でも自己評価は大分低く、ちょっと真面目なだけのごく普通の少女、という風に評価している。正義の為になら、自分の命でもなんでも厭わない。年上...というか、素直に自分より上だと思う相手には、敬意を払う。理性重視。また、二本風な物や和風の小物が大好き。古風なものを好むため、玖生雅には「古風生真面目女」と称されたことも。強さにこだわる、というか、自分の心の弱さを気にしているもよう。実際には弱く等ないのに。
葉月 楓(8歳)男の子。《蓮様キャラクター》
大人しい、というよりや、寂しそうな、絶望感を持った少年。表情は大体無表情や、寂しそうな顔なのだが、嬉しい時は笑う。けれど普段は寂しそうな笑顔。大体は何でもこなせて、礼儀正しい男の子。敬語をちゃんと使い、尊敬語になる時もある。気遣いや優しさもあるのだが、隠しているのだ。良い子、良い子なのだが、それも隠していて、少々遠慮気味な所がある。褒められても「そんな事はないですよ」とかと、自分を低レベルで見ている。自分の事を弱虫とかと思っている、ネガティブな所も多少アリ。人に頼る事は嫌い、というより苦手らしい。自分の気持ちを表すのが非常に苦手で、それがツンデレにみられる事も多々




