1 「アジト・歌曲」 アジトの始まりと恋愛と。
他のアジトの物語になります。キャラクターの紹介をかねて他のキャラクター達の様子を書かせて頂いたりします。コレから後々色々と出て来たりするんですよ...?
香乃桜は茂みの中にいた。
「おねーちゃん。はあはあはあはあ。可愛いなぁー、おねーちゃんおねーちゃんっ!」
純粋だった筈の瞳をこれ以上に無い程濁らせながら少女は独り言。彼女の視線の先には、黒髪ポニーテールのあの少女。おねーちゃんという彼女とは一体何の関係性があるのだろう。あの子のことなら何でも知ってる。何でもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでもなんでも。おねーちゃんは桜のこと、知らないのかもだけど、追いかけているだけで、幸せ。それが彼女のよく言う言葉だ。毎日盗聴器で様子を窺いながら、カメラで盗撮しながら。周りにいるヒト達を呪いながら。見ているだけで、幸せ。それにしてもあの男...空だったっけ、あの男は嫌な奴だ。なんであんなヤツをおねーちゃんが好きなのかの意味が分からない。
とりあえず写真を大量にとり、すぅっと息を吸った。そういえば、おねーちゃん不足がありすぎて、アジト探すの忘れてたんだった、なんて思いながら、穴場と呼ばれる場所のすぐ近く、噴水の方へ戻って来た。目に留まったのは、一人の少年。白いような茶色いような...そうだ、ミルクティー色の髪の少年。溜め息をついて、物憂げにまわりをみていた。
「........どうしたの?」
声をかけると、その少年瞳を上げ、桜を見る。そして、ぎこちなく微笑んだ。どういう意味なのかは分からないが、寂しさを身にまとった様子。
「...んぅ?うむぅ?...なにか抱えているのかなぁ?」
少年のぎこちなさを受け取り、桜は小首を傾げ、彼の座っていたベンチの隣に座った。違和感にはわりと聡い方、だと思うからだ。
「.........まぁな」
彼は苦笑したように微笑み、小さくそんなに暗い顔してたかな...なんて呟いていた。
「相談ならのるよーっ!桜に相談したらどうでもよくなるって評判なんだよぅっ」
それはどう考えてもいい方ではないのだが、誇らしげに胸を張った後そういえば、と忘れていたことを言う。
「キミの名前、なんていうのー?」
「...俺か...俺は、白石光。お前は...桜っていうのか...?」
「そっか、光くんだねー。よろしくー。桜は、香乃桜だよぅ。」
話すつもりになったらしい光の様子を見て満足そうに頷くと、空を少し見上げた。明るい日差しが差し込み、雰囲気がいい。他に人がいるものの、話す場所には最高の場所だろう。きっとだからこそ、人々が集まるのだろうが。
暫く待つと、光はぽつり、ぽつりと話しはじめた。
生前、人気歌手、『HIKARU』として活動していたこと。恋愛禁止の中、とある人気アイドルと付き合っていたこと。彼女がとても、とても大好きだったこと。ところが、そんなことがバレてしまったこと。自分のファンからも、相手のファンからもたたかれたこと。最終的に自分の熱狂的なファンに殺されてしまったこと。
桜は、時に優しく微笑み、時に悲しそうにしゅんとしたり、相づちをゆっくりと打ち続ける。
「...彼女の名前は、未来。じゃっかん、お前に似てるんだよ」
そういうと、スマホの画面を操作し、とある写真を見せる。それは、幸せそうに映る光と、桜に若干似た少女の姿。
「...ほお」
興味深そうに声を漏らすと、確かに、少し似ているかも...だねと呟く。
「少し不思議だね」
世の中には瓜二つの人間がうんたら〜というのがあるが、まさにその通りだろう、と思った。それにしても、こういう形でそのことを実感するとは、妙な縁でもあったのだろうか...じゃあ。今も繋がれないおねーちゃんとは...そんなことを思うと、少し、寂しそうに微笑した。その顔は、いつもの笑顔とは違う、弱々しい表情。それを見てか、光は苦笑した。でも、今にも泣きそうな苦笑。
「...悪ぃ...こんなこと、桜に話しても意味ないのにな」
なんていいながら。その様子を見て、はっとして。桜は彼の顔をまじまじと見た後、大丈夫だよぅと笑った。
「童貞無能野郎の話を聞くのも、楽しかったよぅ!」
彼のことを、もっともっと知りたい。そう思うようになったのは、どうしてだろう。たったさっき会ったばかりなのに、何故かすごく、幸せな感じがした。
【光side】
その言葉に光は「は?」と声をもらした。なんかいきなり喧嘩売られた。そんなに話聞きたくなかったのか?
「んぅ?ど、どーしたの?」
「いや、童て...なんだよ」
「あれ?だから、とても純粋で、優しくて、温かい人ってことでしょ?童貞無能野郎っ!」
「え...」
いきなりべた褒めされ、若干照れると同時に彼女のボキャブラリーはどうなっているのかという疑問。もしかしたら何かしらの事情でおかしな言葉を使うのかもしれない。そこまで思って一度気分を和らげると、桜の無垢な笑顔を見て光はもう一度言い聞かせる彼女は多分、別にそんなこといっているつもりないんだな、と。
「...すまん、大丈夫だ...んで、お前は、大丈夫なのか?」
桜のさっきの寂しそうな笑顔を見たせいか、光は若干気をつかった声色で、桜に逆に聞き返す。彼女を見て浮かぶのは、心配、安堵、優しくしたいと思う希望、仲良くありたいとおもう希望、守りたいと思うしなにより、愛くるしいと思う。何故...未来に対する時と同じような感情を...未来に似てるからか?...いや、違う...少しもやもやとした思考回路を切る為にも、ふった話題。
「はぅ?...うぅんっ、大丈夫っ!」
彼女は柔らかく微笑み、ぐんっと胸を張った。優しく安心させるような、愛くるしい笑顔。小動物を思わせる、そんな笑顔。見とれてしまい言葉がなにもいえず、ぐっと黙り込んでしまう。もしかして。いや。未来への愛は本物だ。だがそれと同じ感情を桜にも抱いている。何故だ…?俺は…桜のことが好き…なのか…?若干なにがなんだか分からなくなってしまった光は、普段と変わらぬ様子を装いながら、悶々と考え始める。すると、視線を感じた。隣にいる桜からの視線だ。
「...ん...?どうした...?」
そう聞くと、彼女は慌てたように首を振った。
「あっ、なんでもないよぉー!...ねえねえ、ところで!」
【桜side】
___あれれ、怒ったと思ったら今度は黙り込んじゃったよぅ...どうしたのかな...?嫌われたくない。何故だろう、彼女にしては珍しく初対面の相手に嫌われたくないと感じてしまう。なんとなく、気まずい雰囲気。
初対面だったとは思えない程に強く感情を抱いた桜は、なんか自分が自分でなくなってしまったような気がして、少し目を伏せる。この気持ちの意味が分からない。光の方を、ちらっ、と見、そして目を慌てて伏せ。桜の視線に気付いたのか、光はどうしたのかと聞いて来た。桜は首を振り、答えた。
「あっ、なんでもないよぉー!」
なんか、気恥ずかしかったので話題を変えることにする。
「...ねえねえ、ところで光君って、何処のアジトに所属してるの?...または、何処に入るつもりー?」
こんな少年と一緒に過ごせたら、楽しいかもな。光がよければ、一緒に入りたいなあ。そんなことを思いながら。
「特に決めてないかな...桜は?」
「んー...特には決まってないかなあー。せっかくだし、光君と一緒にしたいなっ」
そういうと、何処がいいかな?かな?と考え始める。
「そうだな…どんなアジトがあるかわかんねぇから桜が決めてくれ。」
どうやら光の方もあらかた肯定のようだ。光の様子を見て、この前見たたくさんのアジトを思い浮かべ...小さく呟いた。
「新しいアジトつくるとか...いいかも」
「面白そうだな...」
「じゃあ、マスターは光君だねー!」
桜の言葉に、光は流石に肯定出来なかったようで、反論した。
「いや...俺より桜の方がマスターに向いてる...」
「えーっ、桜は無理だよー。光君がいーいっ!」
桜はちょっとわがままをいってみた。...マスターという職はあまり自分がやりたいものではない。姉と、同じものになるのは、なんか少し、疲れる。そんな気持ちは出さないで、普通の笑顔で、マスターにしよう?ともう一度勧めた。
「わがまま…アイツ…未来と同じだ…そうか…だから桜に惹かれるのか…。」
なにやらぼそっと彼が話している。桜は聞こえずうん?と首を傾げたが、光は小さく溜め息をつき、言った。
「…わかったよ…」
「やったぁーっ!...じゃあじゃあ、どんなアジトにしよっか?」
ニコニコ、幸せそうに笑う。光と二人で作り上げるアジトは、どんなアジトになるんだろう?そんなことを思うと、つい集中した時のいつもの癖で、すっ、と顔にかかりそうだった髪を撫でるように耳にかける。ふとした仕草が、妙に可愛らしい少女は、全くの無意識で。
「.........ッ」
あからさまに動揺、照れ等を顔にだした光の様子を考え込んでいた桜は知る筈も無い。照れ隠しなのか光はくしゃっと桜の頭を撫でた。
「ひゃぅっ?なぁにー?」
桜は若干上目遣いに聞き返した。手、おっきいなー、とかそんなことを思ったり。どきどきしないといったら嘘になる。するとようやく気付く、真っ赤になった頬。そんな光を見て、可愛い、とか呟いた。
「それより、なにか、決まった?」
唐突に話題を変える光に桜は乗ると、もう一度考え直す。
どんな名前がいいのかな?かな?光の顔をみながら、スターフラワーとか...と壊滅的な名前センスを見せる。割と有力らしく、いいかも...となにやら恐ろしいことを呟いていた。
「いや、それ却下だから。それより、ん...戦う、遊ぶで、戦遊?」
「あっ、それもいいねー」
なんだかんだいって二人ともネーミングセンスの欠片もないらしい。さらにそれに気付かない二人も二人だ。暫くあーでもないこーでもないと話し合った後決まったアジト名は。
「「アジト、歌曲!」」
二人はそういうと、安心したように笑った。二人がアジトの仲間になり、そして、“コイビト”になるのも遠くはない。
桜は暴走したりチート化したり狂ったり甘えたりいろいろ。色々なんですよ。
またまたキャラ設定公開。
白石光君。(15歳)男の子。《今吉翔一(もどき様のキャラクター》
クール。でも優しい。生前人気歌手「HIKARU」として活動していた。
香乃桜さん。(14歳)女の子。《オリジナル》
明るく、優しい。素直で純粋。女の子っぽさ溢れて、気品もある清楚系の少女。まさに理想のヒロイン...といいたいのだが、ある人におもしろがられ、純粋なところを利用され、残念な語彙になっている。(要するに間違った意味で覚えている。)
...というのは表の顔で、実は人の不幸を願う最低な性格。でもなぜか味方をちゃくちゃくと増やしていくという脅威的な考え方。得体の知れない恐ろしさがある。常に笑顔なのだがそれが逆に怖さを演出する。可愛らしい見た目とは裏腹に、腹黒。でも変なところでのんびりとしていて、深刻な流れの途中で何故か素っ頓狂なことを言い出して相手を驚かせる。さらに学校の屋上から飛び降りても平然としているほどの運動神経の持ち主。嫉妬深く独占欲が強い。なので好きな人が出来たとたんヤンデレ化。敵に回しても味方にしても危険人物。完璧シスコン。思い込みが強い。多くの人達に二重人格じゃないかと疑われ、実際その通りなのだろう。




