再出発(リスタート)
二人は荷造りの真っ最中。
功平と陽一は着々と荷物をまとめ、北海道凱旋(?)の準備を進めていた。
「陽一、交通手段どーする?」
功平は慣れない手つきで古新聞を縛りながら言った。もちろん2人とも所持金が十分にあるわけではないしましてや会社を作るための経営資金にほとんど使う予定だ。
「できるだけ安いの。でも船はダメね。」
陽一は船が大の苦手。あれだけ元気な陽一も船の中では微動だにしない。酔うのが怖くてすぐ寝てしまうのだ。子供の時に船酔いで楽しい夏休みの帰省を見事に潰したことがあるらしい。
「じゃあ、JRにでもするか?ローカル線乗り継ぎで。どーせ時間はまだあるよ。」
この言葉を聞いたとたん陽一は眼を輝かせた。
「そんならよー。最初に盛岡駅目指そうぜ。南部鉄器見たいし冷麺も食いたいもん!!・・・・冷麺はいいけど、南部鉄器は重たいぞ。持ち運べんのか?あ、そうだ。冷麺の横には焼肉も」
功平は陽一の独り言を聞き流しながら
「観光じゃねーぞ。時間あるったって一刻も早く札幌に戻りたいじゃないか。」
とバッサリ切り捨てた。
「ねえ、お願いだよ。頼むからさー、秋田の比内地鶏のきりたんぽも・・。」
功平はジーっと陽一を視線で射抜いた。そして静かな声で
「最短距離でお願いします。」
「・・・・・・・・はい。」
これほど功平があっさりしているのは彼が昔東北地方に住んでいたから。功平にとってはむしろそれよりも故郷に早く戻りたいという感情のほうが強かったのだ。そしてもう一つ、東京ではめったに見られない雪だ。陽一もそうなのだがなんで2センチ積もっただけで転ぶ人々が多発するのだろうか?冬靴が乏しいのか?それとも歩き方に慣れていないのか?雪に対する意識のギャップに功平は耐えられなかったのだった。やがて荷造りも完了し、全てが整った。
2024年11月7日。二人は東京を離れた。
「やるぞー!!恩返しだーーー!!」
この後、更新間隔が少しずつ長くなっていきそうです。次回もお楽しみに。