最近、なんだか、ままならない
人は誰しもが語られたくない過去がある・・・。
小学校の頃、好きな子のポイントを稼ごうと必死になってとったカブトムシ。
プレゼントしたら大泣きして
「大ッキライ!!!」
と叫ばれた思い出。当時あれはほんとに堪えた。
とまあ、こんなのはカワイイ部類だろう。
中学のあの頃、D○やF○にはまり、ライトノベルに熱中したあの日。
ふと、思い立ってペンを握り、真新しいノートに脳内の世界を展開させた。
これは時間とともに薄れる記憶とは違い、黒歴史ノートとして残ってしまうから救われない・・・。
そんな大ききくなってもな、自身を後悔の鎖で雁字搦めにされる思い出はもちろん俺にもある。
それから逃れたくて、地元を離れ都会の高校に通うほどだ。
「俺って逃げてばっかりだなぁ・・・。」
白い雲がフワフワと浮かぶ青い空を見つめ、ぽつりとつぶやく。
この一面だけを切り取れば、まるでそよ風の吹く広大な草原に横たわっているかのように思われるが、現実は、そんなに夢見心地ではない。
体の下に感じるふわりとした感触は、青々とした草ではなく、生ごみの詰まった黒々としたポリ袋。
息を吸い込むと感じるのは、鼻を包み込む柔らかな花の匂いではなく、鼻を捻じ曲げるどぎつい腐敗臭。
鼓膜を震わせるのは、草原を吹き抜ける優しい風の音ではなく、裏路地に響く荒い足音と野太い怒号。
「ままならねぇ・・・。」
肩がちょっとぶつかった。思わず反射でメンチを切りそうになった。慌てて怒りの顔を引っ込め、精一杯のスマイル。
が、相手方にはどうやら俺が思いっきりメンチを切り、人を馬鹿にした笑いをしたと思われたようだ。
確かに、やれタイマンだ、やれステゴロだ、やれ夜露死苦だと今思えば恥ずかしさの余り悶死してしまいそうな中学時代の癖が抜けず、メンチを切ってしまった俺にも非はあるだろう。それに加え、この目つきの悪さだ。多少誤解されても、まあ・・・いたしかたがない。しかたないのだが・・・
だからって、こんなに追いかけまわさなくったていいじゃないか!!!
最初は3人だったはずかいつの間にかに増え、ちょっとした捜索部隊が出来上がってしまった。
お陰様で、腐った食べ残し達と絶賛ルームシェア中だ。
「ままならねぇ・・・。」
本日、何度目の溜息だろうか。
眼前に広がる空(といっても路地の幅分の空なのだが)を翔ける鳥たちがうらやましい。
ふと、あたりが暗くなる。別に雲がさしたわけではない。
何者かが俺を見下ろしていた。
(やべ、追っ手か!?)
と一瞬焦ったが、どうやら違うみたいだ。
上体を起こし、その人物を観察する。どうやら女のようだ。
少し眠たげな眼に、すっと通った鼻、白い八重歯をのぞかせる小さな口。
どこか少女のあどけなさを残す顔だった。
黒を基調としたシックな出で立ちで、ゼブラ模様のニーソックスという、破壊兵器まで備えていた。
一言でいえば、美少女だ。
今まで、素行が悪く女子には避けられていたこともあり、正直言って女子に見つめられるのは、非常に恥ずかしく、かわいいということもあり恥ずかしさは当社比1.5倍だ。
「あなたも・・・追われているの?」
不意に喋りかけられ、反応できずにいると、
「私も、あなたと同じ。追われてる。」
と、その時
「いたぞ!!!あの女も一緒だ!」
「なに!?グルだったのか!!!!!」
俺を追っていたやつや、見たことのない奴らもどんどん集まってくる。
「逃げるぞ!」
ほとんど反射で彼女の手をつかみ、裏路地を走りだす!
この街の路地は非常に入り組んでいて、自分がどこにいるのか全く見当がつかなかった。
だが、後ろから追ってくる奴らは、ものすごい必死の形相で後についてくる。
(おいおい、なんでこんなに必死なんだ!?)
「なぁ、お前も追いかけられてるって、何したんだ?」
どうしても気になり聞いてみる。
「友達に、変な薬売ろうとしてたから・・・薬にオイルまいて、火をつけた」
「なんだってぇぇぇ!?!?」
おいおい、冗談じゃない。薬を扱っているということは、そのバックに何かしらの組織がかかわっていることは必至だろう。下手したら、恵方巻よろしくご丁寧に巻かれて無言で海にぽいか、埋蔵金のごとく山の地中深くに埋められてしまうんじゃ!?
「なぁ、それって、顔に傷があったり、胸ポケットが不自然に膨らんでいるお兄様、おじ様がたにご丁寧に梱包されやしないよな!?」
「そのお兄様やおじ様が、スジ者を意味してるなら・・・心配はない。ここら辺を、仕切っている組は・・・クスリはご法度。」
やけに詳しいなと思いつつひたすら駆ける。
が、どうやら逃げていたのではく、追い詰められていたようで袋小路に追いやられる。
「しまった・・・。追い詰められた」
「手こずらせやがって・・・。落とし前つけてもらおうじゃねぇかぁぁぁ!!!」
道をふさぐのは5名。それ以外は撒けたらしい。
「ま、まて!話し合おうじゃないか」
「黙ってろや!クソがぁぁぁぁ!!!!」
どうやら、この5人、正常な精神ではないらしい。怒りで周りが見えていない。
(なら、いける!)
その時、一人が俺に向かって襲いかかってきた!
大振りの右をすんでのところで避け、がら空きの胴、みぞおちのあたりを狙い、膝を打ち込む。
きれいに入り、相手は崩れ落ちる。
「な・・・!このやろぉぉぉ!!!!」
それを見た仲間たちが一斉に襲い掛かる!!
顔面を狙ったパンチをバックステップでよけ、レバーを狙い蹴りを出す。相手は隙だらけでまともに食らい、一人を巻き込みながら倒れる。巻き込まれた一人は壁に頭を打ち気絶したようだった。
が、安心したのもつかの間、蹴りを出した後の隙を狙われ、ボディーを食らう。
脇腹にめり込むようなボディーをくらい、思わず膝をつく。
すかさずそこに蹴りが飛んでくる!
とっさに両腕でガードし、顔は守る。が、強烈な蹴りに腕がしびれる。すぐさま立ち上がり、距離をとる。
薬を燃やしたという少女は隅っこの方に立っていた。相変わらず眠そうな目をしている。
「なめたマネしやがって、死ねぇぇぇ!!」
憎しみの籠った眼で睨みつけてくる。その手にはギラリと光る、ナイフ!!
「よそみしてんじゃねぇ・・・よっ!!!」
と、ナイフに注目していると右側から、ハイキックが飛んでくる。それを体を沈め、避け、軸足を払う。
軸足を失い、バランスを崩したところに渾身のストレート。見事に顔面を捉え、吹き飛ぶ。
すぐさま、ナイフ男に向きなおり、突っ込んでいく!
相手は咄嗟に反応できず、ただナイフを突き出すだけ。体を左に傾け攻撃を避け、カウンター気味にパンチを叩き込む!!!鳩尾に突き刺さる拳。そのまま崩れ落ちる。
(な、なんとかなったぁ~)
体から緊張がゆっくりと溶けていく。そして、深呼吸をして気分を落ち着ける。
「大丈夫だったか?」
隅っこで縮こまっている少女に尋ねる。
「・・・。」
無言で首を縦に振る。
どうやら怪我などなかったようだ。
「いったい、こいつらは何なんだ?知っていることを話してくれ」
「わかった。」
彼女の話によると、今襲ってきたやつらは最近、勢いづいているチームらしい。
このチーム、ドラッグの販売や売春などの斡旋をやっているらしいが、その実態はよく分かっていない。
ここら辺がシマのヤクザたちも手を焼いているそうだ。
なぜ、彼女が知っているのかという疑問が残るが、嘘をついているようにも思えない。
「そんなにヤバい奴らなのかよ・・・。」
面倒なことに巻き込まれてしまった。平穏無事に高校生活をエンジョイしたいだけなのに。
心底「ままならない」・・・。
俺らは確実に奴らに目を付けられただろう。今後、平穏無事に暮らせるとは到底思えない。
また、中学の時のような日々を過ごすと思うと、極限にまで気分が落ちる。
「とりあえず、ここから離れよう。いつあいつらの仲間が来るかわからないし。」
今回はなんとかなったが、流石にもう、5人なんて相手にしたくない。
今日は帰って、熱い風呂につかりたい・・・。
「わかった。移動しよう。」
「そういえば、君の名前は?」
「私は・・・・・・・・・」
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勢いで書きました。いろいろとダメなところばかりですが、ご容赦を・・・。




