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第38話

 入口に立つ2人の護衛に、皇子は目顔で挨拶し、中に入る。私もそれをまねて後に続いた。


 その巨大な天幕は巨大な柱に支えられており、そして柱はやはり黄金色をたたえておった。


 更にこちらの天幕は、側面ばかりか、天上まで、きらびやかな布――生地自体が様々な色に染め抜かれ、更に金糸銀糸を含めたこれまた様々な色彩の糸にて刺繍された布で覆われておった。


 触って確かめた訳ではないが、絹であろう。乙女ゲームの世界にもカイコさんはおるのである。天上にまで絹布が張られておることで、陽光との相乗作用はいや増し、それら布の色を下へ投影する。


 まさに極彩色の夢幻境であった。


 中央に大きな檀が設けてあり、その上に2脚の玉座、そこに二人の人物の姿が見える。


 私たちはそこに向けて歩いて行く。


 床には、やはり様々な図柄が織り込まれた絨毯が全面に敷き詰められておった。


 私たちは、壇の下にまで至る。アンドラーシュが片膝立ちにてひざまずき、私も急いでそれをまねる。


 2脚の玉座は、黄金色をたたえ、更には――赤・・・ルビー?――緑・・・サファイア?――空色(ターコイズ・ブルー)・・・これはその名の如くトルコ石ね――などの宝玉がちりばめられ、まばゆいばかりであった。


 お二方はフカフカの毛皮をまとっておった。


 天幕内には、やはり炉があるものの、このだだっ広い空間をしっかり温めるには、それこそキャンプファイヤー並みに火を焚かなければ無理というもの。でも、『それって1つ間違えば火事』ということは、私でも容易に想像がつく。ゆえにここは、なかなかに寒かった。


 アンドラーシュも、やはり毛皮をまとっており、私もまたドレスの上から彼に賜られた毛皮をまとっておった。


(みんなで、もふもふ転移よ)


 ・・・・・・なんてのが、なぜか想い浮かびはするものの、初めてお義父様(とうさま)・お義母様(かあさま)に会う緊張でガチガチの私が笑顔になれるはずもなかった。


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