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第21話

 出発に際して私には色んな不安があったのだが。その1つがちゃんと馬に乗れるだろうか、というものだった。私は乗馬の経験も無く、また誰に教わった訳でもなかった。


 それなのにうまく乗れた。


(信じられない)


 まさにそんな感じであった。


 私はそれが余りにうれしくて、ついつい最初の休憩時に、お二人にこう言ってしまっていた。


「私、初めて馬に乗るのに、すごく上手に乗れるの。才能あるのかな」


 そしてお二人が顔を見合わせるのを見て、想わずハッとなった。それは私であって、エリザベトはそうではない。


 チイねえはそのまま黙っていたが、ゴリねえは次の如く言ってくれた。


「エリザベト様。我らを笑わそうとして、からかってのご冗談はいけません。子供の頃から、お馬に乗るのはお上手。それはもう、公爵様の配下の子弟も及ばぬくらい。実際、子供同士でする馬駆けでも、いつも負け知らず。

 もちろん、我らは良く存じておりますとも。その最後におっしゃったこともまた事実であると。確かに、お嬢様に乗馬の才能はおありです。

 ただ最近はあまり馬乗りされなかったのでしょう。こう言っては何ですが、ずい分、下手ッピになられました」


 それを聞くと、チイねえがクスクス笑い出す。そのクスクス笑いは、やがてゴリねえに移って行った。お二人のみ知り、私が知らぬエリザベト。その存在を私は強く感じた。


 その中で私もまたクスクス笑い出した。だって、お二人とも、とっても楽しそうなんだもん。きっとエリザベトと何かとっても楽しい思い出があったんだろう。そうでなければ、こんな風に笑わない。

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