第6話
そして大事なのは、敵の出方を知ること。
そう『敵を知り・・・・・・』である。
珍しく私の頭は回っておった。・・・・・・といっても、客観的に見れば、尻に火が点いている――ゴメンね、下品ね――に等しい状況であるから、当たり前だと叱られそうだけど。
朝、公爵領の防備を進言したにもかかわらず、その日の昼食時にもう1件進言した。
「王都へ人を発し、国軍の動きを探らせてはいかがです」と。
父上はやはり目をキラキラさせ、食事中にもかかわらず、早速に動いた。
そして2度、同じことが続くと、私でも気付かざるを得ぬ。これは私の進言に従っているのではなく、既に父上の心中にあったものであると。
それでは、なぜ、それを実行に移しておらぬのか。国軍の進駐があるかもしれぬ。間違いなく父上自身もそれに気付き、憂いておろうに。
その理由は、エリザベトの恋心を慮ってのことであろうと。つまり国軍とことを構えるを招くような行いは、あくまで控えたいと。例え、公爵領の守りをおろそかにしてさえ。
父上はその後、忙しそうだったから、確認は召し使いさんにした。
「王太子様です。国では、代々、王太子様が軍を統べます。お嬢様も御存知のはず。ああ。なるほど。なるほど。想い人の話は、他の人からこそ聞きたいもの。その気持ち――かつては私も恋する乙女でした――良く分かりますよ。すべてお嬢様の慕う心がなさしめるところなのですね」
「国軍の全権を有するのは誰なのですか?」と問うて得られた答えだった。
父上はエリザベトにデレデレどころではない。まさに溺愛しておったのだ。




