第14話
もし私が『これが王太子の依頼によるもの』と答えたら、どうなるのだろう?
父上のあの厳めしき顔。
戦争? 戦争を起こしたくない。その気持ちは、私も分かる。多くの人の命が失われる。避けられるならば、それが望ましい。
ただ、それは父上の一存のはず。なぜ、私の、いやエリザベトの言葉まで求めるの?
事実は分かっている。そして仮に戦争を起こしたくはないとして?
いや、逆なのかな? 戦争は既にやむなしとの覚悟を父上は決められたのか?
チイねえは、既に父上から殺害して良い、との許しを得ておると言っておった。
つまりあの男たちがエリザベトを集団で犯そうとするなら、殺してよい。そう父上は考えられた。
王太子ほどではないにしろ、いずれも国では良家の子息たちである。それを殺して良いとは、覚悟あってのことであろう。
そしてそれは娘を大事に想うゆえである。確かに父上のデレデレと覚悟は一直線でつながっておる。
なら、何を気づかうの?
何をエリザベトに確認するの?
恋心?
私が転移したエリザベト――彼女が王太子に恋しておったということ?
そうであればこそ、父上は何度でも問うたのか?
あからさまには言わぬが、そなたの愛する王太子と戦をしても良いのかと。その確認を求めたのであろうか?
私はようやく見逃しておると気になっていたもの。それに気付くを得た気がした。




