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第10話 王太子の親友たちの来訪3

 日が暮れ行くにつれ、私の近くに置かれた燭台の周りのみが、何とか(あか)りがあるという状況となる。


 そして部屋の中ほどは、ほぼ暗闇にしずむ。


 部屋の一番奥に至って、ようやく唯一残された窓から差し込む月光がほの暗くソファを照らし出しておった。


 そのような状況にもかかわらず、灯りを増やせとの文句が一つも出なかった。


 奥のソファに酔いつぶれておる者たちは除くとして。席にまだ残っておる者たち。酔っておるとはいえ、しっかり意識を保っておる者たち。そして無論酒を好まぬ者たちもおろうから、まったく素面(しらふ)の者もおるはずであった。その者たちにとっても、その方が望ましいのだろう。


 私の心拍は徐々に上がって行った。


 やがてこの者たちのうちの一人――私の最も近くに座を占める二人のうちの一人――私の席の左斜め前に座る男。


 その男はそれまで、さんざっぱらチイねえの尻の方は触ったり()でたりもんだりと、近くを通るたびに好き放題しておったのだが。私の方に手をだすことはなかった。ついにその男が生白い右腕を伸ばして、私の左腕をつかんだ。


 逆側、つまり右斜め前の男は男で、チイねえの尻をもみまくっておった。これまでは怒りを見せたり、振り払ったりしないまでも、それから逃げる如く歩き過ぎるチイねえであったが、今回はしばし動かなかった。


「何をするんですか。放しなさい」


 チイねえが近くにおることに勇気をもらい、きつく言った。


「放さねえよ」と相手は応じる。


「王太子様に言いつけますよ」


 こちらは、今、思いついた言葉ではない。まさに敵の動きを知るため、準備しておった言葉。


「言えよ」


「本当に言いますよ。どうなるか知りませんよ。王太子様の婚約者に手を出せば、ただでは済みませんよ」


「どうも、ならねえんだよ。何せ、その王太子様から頼まれてんだからよ。

 まあ、こっちも役得だよ。こんな美人の処女をいただけたうえに、金品までいただけるとあってはよ。おまけに次の王位が確実の王太子様の覚えまで良くなると来るんだからな」


 そしてその者は一呼吸置いてこう続けた。


「我らの後ろには王太子様がおる。つまり国軍がおるということだ。

 ここに来る途中で、公爵の大部隊を見た。何を考えておるのか知らぬが、下手に部隊を動かすと、どうなるか分かるか。

 公爵家が滅ぶことになるぞ」


 そう言い終えると、その者は自ら意識してか否か、その悪意そのままに引き歪んだ笑みを浮かべる。それをテーブルにただ一つある燭台が、照らしておった。



 後書きです。

 次話は少しばかり残酷、暴力描写がありますので、苦手な方はご遠慮ください。結果は次次話に書きますので、読まなくても、ストーリーを追う点で不都合はありません。


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