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第8話 王太子の親友たちの来訪1
そしていよいよその当日。護衛に立つに先立ち、お二人がアイサツに来た。これから起こるかもしれぬ事柄のことを考えると、二人ともずい分とほがらかな顔であった。まるで旧友に会う如くの。
先日、小屋を見せてもらった時には、そんな表情はしていなかった。あの時は父上もいたので、遠慮したのだろうか?
少し話をして、チイねえが聞いてきた。
「もしかして、エリザベト様は憶えていらっしゃらないのですか?」
私は困った。そしてついつい口走る。
「ゴメン。ゴメン。私って忘れっぽいの」
二人はずい分と不審な表情を浮かべて、互いの顔を見交わすと、そのまま押し黙った。その後、外に出て、相談しておった。今夕に備えて、細部を詰めておるのだろう。
まったく頼りになるお二人。
それに引き替え、私ったら、まったくポンコツ。
何か、まずいこと、言っちゃった? バレたかな? お二人はエリザベトと仲が良かったのかしら?
そういえば、父上も言っていた。これが初めてではないと。バレないように気をつけないと。
でも、バレたら、何か問題あるのかしら? うーん。言ってみる?
なんてね。信じてもらえる訳ない。ここが乙女ゲームの世界で、私がエリザベトに転移して来たなんて。
でも、エリザベト。あなたはどこに行ったの?
どうして私にあなたの記憶がないの?




