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第12話

「私って処女なの?」


(忘れたふり。忘れたふり。エリザベトは忘れっぽいのだ)


と再び心に念じておると、


「何ですってェ」


 耳元に、想わず怒声を浴びせられ、たまがり上がる。まさにドヒャーである。そして間髪(かんぱつ)入れずに、追い打ちが来た。


「どこぞの男と、そのようないかがわしいことをなさったのですか?」


 これまでの優しきおばさんは、そこにはおらなかった。私を(あだ)の如くに、にらみつける。そうだった。おばさんは私のみさおを守れと命じられておったのだ。私がみさおを失えば、おばさんは命令違反。

 

 んっ。・・・・・・おばさんも断罪?

 エリザベトと一蓮托生(いちれんたくしょう)

 特にゲームにそんな場面は無かったはず。ただ、彼女の未来がろくでもないものになってしまうのは十分想像がつく。


(少なくとも解雇は確実。

下手すると、エリザベトの父上に罰される? 

やっぱり処刑?)


「冗談。冗談よ」


 私は、ごまかし笑いを浮かべる。


「お嬢様。冗談にもほどがあります」


 今度は泣き始めた。


 こうなっては私には、もはやどうしようもない。私が自分の疑問の答えを見つけようとそればかりを考えて、気配りを欠いておったのは明らかであった。

 

 反省。反省。


 ただ、とにかく召し使いさんは、エリザベトの処女を疑っていないことが分かった。つまり、そうしたことを見てもおらぬし、聞いてもおらぬということだ。


 エリザベトがうまく隠しておる可能性が0とは言えないが。ただ、これだけべったりくっついている召し使いさんの目を、どうやってゴマカス?


 多分、ムリ。


 まずエリザベトが隠れて抜け出すのはムリ。そして、訪ねて来る方は、余計にむずかしそう。忍者だったら、別だけど。でも、乙女ゲームには忍者はいないのだ。


 そう、これが夢ではなく、もし乙女ゲームの世界としてであるが。夢にこだわる私。簡単に希望は捨ててはいけないのだ。


 それはさておき。どうやら、私の転移により、エリザベトの設定が変わり、シナリオも変わったらしい。私の場合、身持ちが堅いというより、単にまったく男性にモテなかったのだが。


 しかし、乙女ゲームの設定とシナリオを変えてしまうほどの、私のモテないレベルって、すごくない? レベル9999999999999999999999999999ぐらい?


 まさに、強烈の一言よ。


 親友に教えたいくらいだ。


 きっと笑い飛ばしてくれるくれるだろう。

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