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これって大根ですよね

 「これって大根ですよね」トオルは言った。

 「ダイコンってなんだ」老人は言った。トオルは彼の家に居候することになったのだった。

 トオルは彼の家庭菜園を手伝っていた。

 「ダイコンっていうのはこれのことです」トオルはその白い根菜を指さした。

 「これはダイコンじゃない。ニンジンだ」

 「ニンジンはこれのことです」トオルはオレンジの根菜を指さした。

 「それはダイコンだ」老人は言った。

 「そんなことありますか? 僕の世界ではダイコンとニンジンを逆で呼んでいたんです」

 「・・・」

 「聞いてますか?」

 「興味ない」老人はぶっきらぼうに言った。

 「つまり語源っていうのは何かしらあるわけじゃないですか。それぞれの世界で特定の根菜を『ダイコン』『ニンジン』と呼び名が共通するのって、天文学的な確率ですよ。ということは何かしらで関係があるということじゃないんですか?」

 「・・・」

 「聞いてますか?」

 「興味ない」

 「興味ないなんて言わないでくださいよ。ダイコンとニンジンが相互の世界で取引されていたとしたら、そこに僕がこの世界を出れる鍵があるかもしれないじゃないですか」

 「・・・」

 「・・・聞いてますか?」

 「・・・ああ、聞いてる」老人はその八十年の生涯で初めて嘘をついたのだった。


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