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味方のために薬を飲みすぎた俺、太る  作者: 勿夏七


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9/18

9蓄積した効果

「そもそも、ライルに火傷なんてあったのか?」

「はい、ありますよ。Bランクに上がる時なんですけど、私が調子に乗ってしまって、魔物に焼かれそうになったんです」

「なるほど、その時にライルが庇ったってことだな?」

「話が早くて助かります〜。簡単に言えばそんな感じです。顔は私が大金はたいてどうにかしてもらったんですけど、全身となるとすごい額になっちゃって……」


 顔以外は火傷だらけだった。

 ライルはあまり気にしていなかったが、リズが火傷痕を見るたびに落ち込んでいたため、ライルは露出の少ない装備を選んでいた。

 

 今も長袖を着ており、手袋もしている。襟元にはスカーフも巻いている。

 何も知らない人々にはおしゃれだと褒められていたが、ライルとリズにとっては、大失敗を隠すための必須アイテムだった。


「火傷痕の治療ってそんなに金がかかるのか?」

「火傷痕って言うより、全体的に高いんだよなぁ。特に緊急となると代金が上がるシステムなんだと」

「そうでしたね。……確か、神官直々に教わったヒーラーは、完全予約制らしいですからね」

「そ、そんなに?」


 回復薬を飲み治療をしていたアレンは、これまでの人生で一度もヒーラーの世話になったことがない。

 だが、ヒーラーを雇ったカイルを思い出し、そんなすごい人を雇うほどの金があったのかとそちらに驚いてしまっていた。


「ああ、俺の時はそうだった。そういや、最近は神官の元で修行をしてたって言う講師が、割と安値で教えてくれるらしい。しかも最短二週間。安くて早い。まるで飯屋だな」


 ははっとライルは笑い、隣では何か言いたげな表情をしているリズ。


「非公式ということもあり、自身を安く売って、回数をこなして儲けていることが多いらしいです。それが良いのかどうかはわかりませんが、こちらとしては、安値で治療してもらえるのはありがたいですね」


 非公式のヒーラーは神殿には行かず、パーティーにもあまり属さない。その代わり、短期の仕事をよくやっている。例えば、外と繋がっている道の出入り口で待機していたり、神殿に行こうとしていた人を捕まえて自分を売り込んだりしているらしい。

 

「非公式……か。神官が放置してるってことは、黙認しているのかもな」


 アレンは最短で安値なら、受けてみるのもいいなと考えた。

 とはいえ、非公式のため少し気が引けるのも事実だ。

 そもそも、まずは回復薬や自身の体型問題を解消したい。

 

 アレンは自身の腹をさすりながら考えた。


「この身体に溜まっている回復薬の残渣を治療に使えば、痩せられたりしないかな?」

「それいいんじゃね? というか、今測ってみたらどうだ? 俺の火傷治療したんだしさ」


 ライルの言葉にすぐさま動いたリズ。台座に乗せて持ってきた機械は、体重と身長を同時に測れるものだった。

 アレンは促されるまま台に乗り、ついでに身長も測る。

 二人が期待の眼差しを向けていたが、出た数値は、アレンが昨日記した体重と変わらなかった。身長は少しだけ伸びていたようだが、誤差だ。


「火傷程度じゃ減らないのか?」

「これだけ蓄積してるのなら、軽微な量しか使っていないのかもしれませんね」


 ライルとリズは不服そうな表情を浮かべていたが、アレンだけは微笑ましそうに二人を見ていた。


「なんだよ。お前の体型が変わらないっていうのに、お前は余裕の笑みかよ」

「いや、二人とも俺のことを想ってくれてんだなぁと思うと嬉しくてな」

「師匠はわかりますけど、私は実験対象を見つけて嬉しいだけですからね」

「お前、アレンに会って早々、痩せてたら――」

「ちょ、師匠黙ってて!」


 リズは慌ててアレン用に出していた茶菓子をライルの口にねじ込んだ。

 

「なんでもないので気にしないでください。さ、お昼にしましょう。ダイエット用を考えてましたが……アレンさんならがっつり食べても問題なさそうですね」


 「私の好きな店の出前頼みます!」と部屋に戻っていったのだった。


 ◇


「また食べ過ぎた……」


 ライルとリズに、あれやこれやと勧められ、またもや腹がはち切れんばかりに食べたアレン。

 元々大きい腹を軽く叩き、運動がてら広い公園を歩いていた。

 そこで、ガタイのいい女がベンチに倒れているのを目撃した。

 アレンはすかさず近寄って、触らず声だけかける。


「大丈夫ですか? 何か必要ですか?」


 目を閉じていた女はゆっくりと瞼を持ち上げ、橙色の瞳でアレンを見つめた。

 女はか細い声でつぶやく。


「回復薬を……できれば真の方をくれないか」


 そこで、アレンはきっとこの人も職業上の理由で回復薬を避けたいのだろうと察した。

 だが、背後から男がアレンに声をかける。


「やめとけ兄ちゃん。そいつ、どうせ高価な薬をもらって金の足しにするだけだぞ」

「……そうなんですか?」

「最近流行ってる手法さ。俺は止めたからな。そんじゃあな」


 男が見えなくなったところで、アレンはもう一度ベンチに倒れている女を見た。


「回復できれば、薬でなくてもなんでもいいですか?」

「回復薬でなければなんでもいい」

「そうですか……」


 アレンは物は試しだと女の前に手をかざしてみる。

 少ししてからアレンの手が輝き出し、女の瞳に力が戻ってくる。

 女は勢いよく起き上がり、アレンの両肩を掴んだ。


「おい、これはどういうことだ!?」

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