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味方のために薬を飲みすぎた俺、太る  作者: 勿夏七


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7脂肪の謎

 アレンはあれからダイエットのために運動し、極力ポーラーの仕事ではないことに時間を使っていた。

 ライルや他パーティーに頼まれた事務作業だったり、ポーラーの講師を勤めている知人の手伝いをしたりしていた。

 

 金銭面に不安はなかったが、ポーラーを休んでいるというのに、一向に痩せる気配がない。


 日々のカロリー摂取量と体重の記入を済ませた後、動かない体重記録を見つめた。

 アレンはこのまま太ったままなのかと。自身の出っ張った腹を撫でた。

 これだけ太っていれば目に見えて減るだろうと考えていたアレンにとって、悲しい現実だった。


「太りはしないが、痩せもしない。回復薬の副作用とかか?」


 そうは言ったものの、授業でそのような話を聞いたことはない。アレンは授業で使っていた教科書を全て取り出して調べてみたが、一切そのようなことは書かれていなかった。

 まあ、だからと言って、ポーラーをやめると痩せるとも書かれてはいないのだが……。


「ダイエット方法が悪いのか? リズさんに聞いてみるか……」


 家に備え付けられている球体の通信機を指でなぞった。すると、空に浮かぶモニターが出現した。そこには最近登録したリズの名前が上部にきている。

 リズの名前を指で触れると、すぐに呼び出し音が響く。

 三度目の呼び出し音で通話中となり、リズの声が聞こえる。


「アレンさん、連絡ありがとうございます! きっとダイエットに関するお話ですよね?」


 アレンが質問するよりも先に、リズは簡単に言い当てる。アレンは一瞬目を見開いたが、苦笑いを浮かべながら頷く。

 

「ああ、そうだけど……よくわかったな」

「師匠の連絡先を知っていたのに、全然連絡を取っていなかった人ですし、世間話とかで連絡してくるタイプではないんだろうな〜と」

「あ、あはは」


 図星だった。

 正直なところ、自分が連絡しても良いのかという気持ちと、今の自分の体型を知られたくなかったからだ。ずっとカイルやミリアから馬鹿にされていたことが弊害だろう。


「話を戻しますね。それで、ダイエットのお悩みなんですけど、明日暇ですか?」

「明日? 仕事が午前中に一件あるだけだから、まあ時間はある」

「それでは午後、お昼食べずに今から送る住所に来てください」


 画面に映し出された住所とマップ。そこは一目でわかる高級住宅街だった。

 一瞬を目を丸くしたアレンだったが、Aランクにいる時点で稼ぎは十分だろうと腑に落ちた。


「わかった。何か必要なものはあるか?」

「手ぶらでいいですよ。あ、師匠も呼びますね!」

「うん? ライルは必要なのか?」

「せっかくですし、お昼を一緒に食べましょうよ。あの後仕事以外で話すことなかったですしね」


 リズはそれだけ言うと、「では、明日〜」と断る隙も与えずに通話を切った。


「手ぶらでいいとは言われたが……菓子くらいは持って行きたいよな。でも、高級住宅街にいるやつが喜ぶ菓子なんて知らないぞ」


 もうすでに夜も更けており、今更買い物に出かけても店は開いていないだろう。

 だからと言って、仕事終わりに菓子を即決めて、定刻どおりリズの家に辿り着けるのかわからない。


「ま、成るように成るか」


 ◇


 早朝に仕事を終わらせて、言われた通りに昼食を取らず高級住宅街へと足を踏み入れた。

 あまりファッションに詳しくないアレンでも、それが高いものであることだけはわかった。

 場違いな自分に顔を引き攣らせたが、引き返すわけにもいかない。

 視線を気にしないようにして、リズに指定された家の前に立った。一際大きな家で、それはまるで公共施設のようにも見えた。


 インターフォンを押すと、すぐさま「はーい」という声が聞こえ、まもなくリズが現れた。

 背後にはライルが立っており、笑顔で手を振っている。


「ようこそ。ここは私の店兼家です。主にマダム向けに商品を売っています」


 「もちろんダイエット用品もたくさん取り扱ってますよ!」とリズは得意げな表情を見せた。

 

「へぇ、こんな高級住宅街のど真ん中で店をやってるのか……」

「はい。皆さんの家に近いこともあって、意外と覗いてくれるんですよ」


 アレンは広々とした応接間に通されて、ふかふかのソファに座る。目の前のテーブルには様々な色の液体が入った小瓶がいくつも用意されている。

 他にも、サプリや粉薬もある。種類豊富だ。


「手ぶらでいいって言われたが、せめてもの気持ちでお菓子を作ってきたんだ。もし手作りが問題なければ食べてくれ」

「アレンの手作り!? お前、料理ができるとは聞いてたが、お菓子まで作れたのか。すげーや」

「アレンさん、ありがとうございます! 師匠も見習って欲しいですね〜」


 アレンから菓子を受け取ったリズは「食後に食べましょう」といそいそと薬品の置いてあるテーブルとは別のテーブルへと置いた。

 

「では本題に入ります。まず問診をします。その後、アレンさんの体を調べさせてください」


 どのような生活を送っており、どのような食事をしているのか。もともと太りやすい体質なのかなど、根掘り葉掘り聞くリズ。

 アレンは包み隠さず答え、質問が終わる頃、リズの表情が曇っていることに気づいた。


「もしかして俺、変なことしてる?」

「いえ、逆です。かなり有効なダイエット方法を取っています。やっぱり体を調べたほうが良さそうですね。師匠、お願いします」

「了解!」

 

 なぜか指をパチンと鳴らし、アレンを指差したリズ。

 そして、ノリノリで訳のわからない道具を片手に持っているライル。


「えっ、え、なに。こわいこわい」


 迫ってくるライルとリズに、アレンは一抹の不安を覚えたのだった。

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