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奥様は勇者、長女は剣士、末娘は聖女、普通だとおもっていた次女は封呪の巫女。最弱は自衛官の父!?  作者: 高領 つかさ (TSUKASA・T)
「本多家の事情」

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1/12

「羽衣の恋の真相は」

別の話に出てきた主人公の母と父のお話?

タイトルそのままです

母は勇者、最強の一家で最弱は自衛官の父

お楽しみください!

(二話で終わっています)

 本多由樹乃は平凡な高校生だ。

 極普通、容姿も平凡、背丈も普通で成績も中の上になることがあるくらい。

 どう考えても平凡な人生を歩いてきたと信じていたのだけれど。

 もっとも、長姉が自衛官の美人。そして、妹は美少女アイドルで本格的な俳優として世界的に活躍している、というのは環境としては平々凡々からは遠いといえるのかもしれないが。それでも、その三姉妹の真ん中で、特に美人でも美少女でもなく極普通に高校に通っている女子高生というのは、普通といえるのではないだろうか?

 上と下の非凡な姉妹にはさまれて、平々凡々な普通な生活を送っていた女子高生。

 高校生活は特に波乱もなく、受験なんてどこを目標にしようか悩んでいるくらいに人生に特に目標なんてない学生生活。つまりは、本当に平凡に由樹乃は生きてきていたと思っていたのだが。

 だが、ある日。

 家族の秘密がある件で暴露されてしまって。

 気がついたら。

 本多由樹乃は気がついてしまったのだ。

 もしかして、普通の環境じゃ、ないの?うち、…――――?

 尤も、どんな家庭も他の家庭と比べることは、特にこどもの内であれば難しいのが現実であり、大なり小なり他の家庭とは異なる何かがあるものだが。

 だがしかし。

 ある日、あることを契機に暴露された家族の秘密。

 それはつまり。


 母が勇者、長姉が剣士兼自衛官で、末妹が美少女アイドルで――聖女?


 ―――――…え?


 そんなこと説明されても?

 とか、由樹乃が思っても仕方ないというものだったろう。だって、いままで普通に暮らしていた家族が、何で?

 真面目に説明してくれる母は、とてもすまなさそうにしているのだが。

 契機となった一件が起きた場所から移って、自宅のこたつを囲んでそんな話をされても、と。ちょっと思うのは間違っているだろうか?

 自宅は古い一軒家だ。柱の傷も畳にちんまりとしたこたつも見慣れすぎていて――。

 えっと、でも、勇者?

先に聞いたときにも思ったのだが。小説とかゲームとか映画とか。そういうお話を読んだりみたりしたことは少しはあるけれど。

「それって一体、…――――?」

 すぐに事情が飲み込めなくても当然だろう。

 いや、それが普通だとおもう、おもうのだけれど。

「母さん、…あの?」

「すまないな、由樹乃、…由樹乃には、普通に育ってほしかったから」

長女の密がいれてくれたお茶の入った湯飲みを手に、母が反省してうなだれている。

 反省してくれているのはいいのだけれど。

 …一体その配慮は、いや、確かにその配慮はうれしいかもしれないけれど。

 どうやら、母――小説家だと信じていたのだが――が書いている小説の中にあるような、剣と魔法の世界から母は来たということで。というか、いまもそちらがメイン世界だとか?

 ――一体?

そっと、事態が飲み込めないでいる由樹乃と反省している母の間に、うれしそうに天使のような末妹の弓香がおせんべいと薄茶で丸く小ぶりな温泉饅頭が入った菓子入れをおいてくれる。漆塗りの丸い菓子入れが磨かれてつやつやだ。

 確か、弓香も、天使――じゃなくて、聖女、…?聖女って一体?それってなに?

考えてしまって固まっている由樹乃を、すまなさそうに困り果てた犬のように情けない瞳で母がみてきていて。

「それは、…たしかに、わたし、剣とか魔法とか使えないし、…いえでも、あの?」

そんな力なんてなにも持ってないから、確かにそんな世界に適応なんてできるはずがないから…――――え?

「…でもそんな、剣と魔法の世界?そこからきたの?母さんが?」

 そして、そこで勇者?

 偏見かもしれないけれど、大抵の物語では勇者は男性だった気がする。

 母は、―――割に大雑把でかつ男前な判断力がある人で、けれど、女性なことは間違いない気がするのだが。

「まさか、かあさん、…男?」

「違うが。何故、そうなる?」

不思議そうに問い返す母に、うなずく。

「だよね?かあさん、女性だよね?なのに、なんで勇者?」

「…ああ?そうか。由樹乃はこちらの常識で育っているからな、…――わたしは、向こうでは勇者を仕事として代々受け継いでいる家系に生まれたんだ。こちらで、本多が武官として代々続く家系のようなものだな」

「…本多、――父さんのことよね?」

「そうだ。わたしがこの世界にきて一目惚れでな?実に美しい舞手でな。――――何とか結婚してもらったんだ」

「それ、逆じゃないの?」

うっかり、しみじみとうれしそうに目を細める母に聞いてしまったのが。

 ――まあでも、父さんが美人っていうのはわかる気がする。

家族として接していると感動もなにもないものだが。

それでも、一応、姉の美人さ加減と、妹の美少女振りには、父の遺伝子が非常に貢献していると思う由樹乃だ。

 ―――わたしの遺伝子は、かあさんからよね、…うん。

母は、普通だ。容姿という点では。それは、由樹乃にも共通していて。

 白皙の美貌とか、冷徹、無表情で感情を露わにしない美貌の自衛官とか。

 誰の話だろうとか、一体それ、現実にいる人?とかおもう形容詞が本気で歩いて生きているのが父なのは確かだけれど。

 けれど、それも。

 そして、つまり。

「ああ、由樹乃、きいてくれるか?」

「え?」

 かくして。

 きくことになってしまったのだ、―――――。


 母と父の恋話。

 誰が聞きたいだろうか?そんなもの。

 …―――うっかり、したよね?


 聞いてしまったのだ、翌朝。

 昨夜はスルーできていたのに。

 他にも色々聞きたいことはあって、それで夜が更けて。

 それで、翌朝、…―――それはすこし気になっていたので聞いてしまったのだ。

 母の、…語った長い長い、…途中で由樹乃は眠気をおぼえ、あまりきちんとはきいていなかったのだが、――のろけ話。

 人の恋路なんて、聞いて楽しいものじゃないよね?とは本気で反省した由樹乃が思ったことだ。

 そして、つまり。

 延々と聞かされてしまったのである。


 羽衣――を舞う天女。

 羽衣の恋の真相を。

 きいてたのしいものじゃないよね、と。

 正直な感想として芯からおもう由樹乃である。




「羽衣の恋の真相は」






 天女、―――。


 羽衣の白く淡い衣を白絹の単衣にゆるりとさしのべて。

 天を仰ぐそのさまをみつめて、言葉を失っていた。

 あれは、―――天女か?

 幻なのか。


「そなたは、…―――」

 踏み出したのは、いまにも消えていきそうな幻をその手につかみたかったからかもしれない。

 おもわず、相手の警戒もこちらの防御も、常に行なうなにひとつ考慮せずに、唯茫然としながら足を踏み出していたのは。

 白い美貌が、鋭い眸を此方に寄越すのに、ああ、もしかして少なくとも幻ではなかったのか、と安堵した。

「何者だ。此方は、案内されたものしかこれないはずだが」

鋭い視線に、もはや先程までの儚く幻のような気配は微塵もなく。

 そのことに、話しかけながら安堵していた。

「すまん。…どうやら、おもっていたのとは違う処に出てしまったようだ。此処は何処になるのだろうか?」

「――――…迷い人か?本家の客人ではないようだが」

訝しむ視線を隠しもせず、問う相手が薄く柔らかな衣を腕に掛けているのをみて。

 ああ、これは舞の稽古でもしていたのか、と理解した。

 推測を確かめる為に問い掛ける。

「すまない。舞の稽古をしていたのか?あまりに美しくてつい話しかけてしまった」

微笑んでいうと、その眉が嫌そうに寄せられるから、意外におもった。

「確かに、稽古だ。だが、人にみせる為のものではない」

「…――神に納める為のものか、…そうだな、それはすまなかった」

あらためて周囲をみまわす。おそらく庭であろう美しい池と緑の配置に、長い木で作られたのだろう橋と、天女の舞っていた舞台。

 確かに、天に納める類いのものだな、…。これは、神殿に不法侵入してしまったという処か。

不審人物扱いされても仕方が無いな、と。

納得して、あらためてはなしかける。

「天女殿、わたしは不法侵入をしてしまったようだな。すまなかった。――」

「誰が天女だ。おれは男だ。それと、いい加減に何者か答えてもらおうか?」

険のある視線でみてきても、美人というのはかわいいものだな、と。

 つい、ながめながらおもっているのがばれたのかどうか。

「―――いや、もう答えなくてもいい。退去してもらおう。そちらのいう通り、既に不法侵入だ。本来、舞を奉じるときにこんな不審人物にきてもらっては困るのだがな。―――何処から現れた?」

端然と白絹の単衣を着て、黒髪に白い美貌で鋭い視線でみつめて問う。その腕に淡くかけられた薄衣が、この人物を先に天女かと思えるほどに儚げにみせていたとは。舞いといまとでは別人だな、と思いながら、うれしくなって応える。

「私は、…――理解できるかはわからないが、里から門を潜り、目的の都へといく処だったんだ。それが、どうやら調整が間違っていたのか、――此方へ出てしまったらしい。何者かといわれると、…そうだな。此方で通用するかはわからないのだが」

少し考えるようにしていうのを、訝しげに見返す鋭い視線。

「私の職業は、勇者だ。代々これを継いでいる。名は、シズカ―――。そなたの名を教えてくれないか?」

微笑みかけるシズカ、に。さらに訝しげに眉を寄せる。

「…―――シズカ?まるで、日本人のような名前だな」

「ニホン?ああ、もしかして、此処はニホンなのか?…先祖にニホン人がいるんだ。その名を代々受け継いでいる」

うれしそうにいうシズカに、おおきく溜息を吐く。

「…――本当に迷い人か?それなら、…訊くが、その腰に下げている剣は何だ」

「この剣か?勇者の剣だ。まあ、そういうことになっている」

腰の剣を軽く叩いてシズカがいう。

「実際は、先祖代々の剣は仕舞われていて、これはそういうことにしている偽物だがな。実際に使っていては、刃毀れなどありすぎて、同じ剣をずっと使っているわけにもいかん。だが、まあ、――わたしが使っているのだから、そういうことでもいいのだろう」

「つまりは実用か。腰から外して下におけ。武装解除させてもらう。おまえは不審者だからな」

「…構わないが、不審者には、名を教えてもらえないのか?」

 くどきたいのに、と。

一応、それはくちに出さずに思っているシズカに気付いているのかどうか。

本当に警戒すべき不審者をみる視線で、地面を指し示していう。

「剣をおいてもらおう。おそらくだが、短剣も身につけているな?他にも、武器の類いがあればおいてもらおうか」

「――――…わかった」

両手を挙げてみせてから、この仕草は通じるかな?とおもいつつ。

 地面に、武器を置き始めたシズカに、相手が眉を寄せて――近づかないままみつめていう。

「まだあるのか」

「ああ?今日はこれでも少ない方なんだがな、…。都に呼出しをくっていくことになっただけだから、特に竜を退治しろとかもいわれていないから。多少、身軽にはしてきたのだが。ああ、でも、今後はこうして不測の事態もありうるのだから、やはり武器は減らしてはいけないな」

「…少しは減らせ」

あきれた風にいう視線が見る先には。

 地面に置かれた武器の数が。

 帯剣――幅広のバスタードに類する主剣。それに、短剣が十数本。クイナのように金属で出来ていて、細長い釘の頭がないような形態で先が鋭く尖っているもの、十数本。さらに、細引きの鎖と思われるものが長くとぐろを巻くものと。金属の小さな礫と思われるものが、袋に入って、―――これは、数もわからない。

「もしかして、その金属の粒のようなものは、…―投げるのか」

「そうだ。これだけを投げてもいいし、なにかに紛れさせて礫として投げると」

実演しそうにするシズカに短く。

「止めろ。実演するな」

「ええ?良い機会だとおもったのに」

「何のだ」

「…――ええと、きみにわたしの力をアピールして、お嫁さんになってもらうとか?」

「…――――」

完全に無表情で沈黙した相手に、心配になって顔をあげてみる。

「どうした?」

ちなみに、地面に置かれていく武器はまだ増えている。

 何処からか、弓矢まで出て来た日には。

 返事がないので、仕方なくシズカは命じられた通り、武装解除できるまで武器を地面に積んでいく。

 うずたかく積まれた武器に、一息吐いてみあげて。

「うん、よし!これくらいかな?…もうもってなかったとおもうが」

自身で積み上げた武器を見あげて、明るい瞳でいうシズカに。

「…――おまえ、…自分で憶えていないのか」

「うん?ああ、…この携帯鞄が便利でな?いくらでも入るから、つい欲張ってしまう。まあ、結局は手慣れた武器に頼ってしまうんだがな」

と、満足気に山をみあげて。

 それから、振り向いて云う。

 太陽のような輝かしい笑顔で。

「どうだ?これで、武装解除したぞ?」

うれしそうに申告する相手に、そこはかとないつかれを憶えながら息を吐いて。

「…―――シズカ殿。では、これから案内する」

「うん!でもまだ、きみの名前は教えてもらえないのか?」

訊ねるシズカを無視して、きれいな背をみせて歩き出すから。

「…そりゃ、案内してくれるなら、先導だが、…―――」

こんな美人なのに、無防備じゃないか?此方の世界ではこれで大丈夫なんだろうか、と。心配になって見守ってしまう勇者シズカの前を。

 音も立てず、ながい架け橋を先導していく白絹の単衣の背を。

「きれいだなあ、…」

おもわずつぶやいてながめながら、シズカは庭園の地面に立っていた身を、ひょい、と軽々と橋の上に移して。

 無言で、それに何もいわず先をいく背に見惚れながらついていく。





「ちょっとまって、…――一気に話しすぎ、…お茶飲ませて。休憩しようよ?」

頭痛を憶えて、実にうれしそうに話し続けようとする母を制止する。

その由樹乃に、きょとんとした顔で母が言葉をとめて。

「そうか?―――…いくらでも語れるのだがな?あれは本当に美人でかわいくて、…――だから何とか、がんばって押して押してくどいてな?」

にっこりと笑んでいう母に少し引く。

「押してって?」

「ああ?もとの世界に戻ってからも、幾度もこちらの世界であれのいる処につないでもらってな?行く先々でなんとか口説いて、――接触を図ってな。苦労したな、――…うん」

母の言葉に由樹乃が眉を寄せる。

「…かあさん、――それ、ストーカーっていうんじゃ、…一歩まちがうと、…」

由樹乃の心底遠慮のない感想にも、当時を思い出している母はまったく堪えるようすもなく微笑んでうなずいている。

 うんうん、と幾度もうなずいている母が本当に危険だ。

「そうだな。あのときは、本当に不審者扱いで、…――うん、本当につれなかった。そこがまたかわいくてな?」

「…のろけはいいから、―――かあさん、…」

 これって唯の危ない人なんじゃ、とおもいながらきく。

 由樹乃としては、家族が勇者とか聖女とかわかってしまってから。

 両親の出逢いについて、もしかしてきいてないこともあるんじゃ?と気になって、まずそこからきいてみたのだが。

 出て来た述懐がこれである。

 父を初めてみて、天女だとおもっただの、速攻くどこうと努力しただの。

 本当に、唯の危ない人である。

「それにしても、よく結婚できたよね?それに、…普段は、とうさんの方が母さんに会えないって泣いてたりするんだけど?」

この初対面から、どこをどうしてここまでもってきたの?とおもいつつ訊ねる由樹乃に。母が、にっこりと太陽のような笑顔でいう。

「普段のあれは、わたしが我慢しているんだ」

「…がまん?とうさんにあわないのが?」

不思議そうにいう由樹乃に、おもむろに深くふかくうなずく。

「無論だ。わたしが、本多に会いたくないわけがなかろう。一目惚れした嫁だぞ?ああ、此方の世界では夫というのだったか、―――。わたしの性別が女で、本多が男だとわかったときにはうれしかったな。…これで嫁にできるとおもったものだ」

なんだか、世界間の深い常識とかの差異が、さりげなくぶち込まれている発言にも頭痛を憶えながら一時保留にして由樹乃がきく。

「…わかったから、普段はがまんって?」

「ああ?無論、我慢しているに決まっている。本多は、残念ながら此方の世界を安定させるためには必須の人材でな、…。救世の巫女の血をひいているから仕方が無いのだが」

非常に残念そうにいう母に、由樹乃がいぶかしげにみる。

「あの、それって、――とうさん、…巫女なの?男だけど?」

「巫女というのは、職業だからな。男でもいるぞ?それはともかく、本多は滅多にいない人材でな。あの能楽を通じて神に舞いを奉じることで、此の世界に安定をもたらしている。あれは本当は、世界を保つ為には前線などに出さず、この本家か他の神殿などでいいから、厳重に保護しておくべき存在なのだがな、…。エイリアン対策などに持ち出す神経がわからん」

「…―――えっと、」

真面目に愚痴をいっている母をみあげて。

 ええと、…。

「それで、我慢って?」

「うん。本多を連れ帰るわけにはいかないだろう?あんな風に、いつも逢いたくてきてくれるなんて可愛らしいところをみせられたら、攫って帰りたくなるじゃないか、…」

「…か、かあさん?」

 やっぱり、かあさんって危険人物?と。

 つい、ひいてしまっている由樹乃にまったくかまわずに。

 うんうん、とひとりシズカが頷いている。

「かわいいからなあ、…。さらってかえりたい、…」

「そ、そうなんだ?がまん、してるんだね?」

由樹乃がなんとか絞り出した言葉に、母がうんうんとうなずいている。

 ―――かあさん、…。

「それにしても、よく、…とうさんと両思いになれたよね?」

 結婚が無理矢理じゃないことは、現在の父の様子をみていれば理解はできるけれど。この経緯で、何処をどうしたら、あの父と結婚して現在地にいるのか全然わからない、と。戸惑いながら由樹乃がいうのに。

 勢いよく、母が振り向いていた。

「そうなんだ!きいてくれるか?本多を落とすまでの苦労がな、…由樹乃にだけはまだ話してなかったから、いいたくてな?」

「…―――う、うん」

かあさん?とおもいながら。

輝いている母の笑顔に。

 ―――失敗した、…。と、おもっていた。

 そうだよね、…密ねえ達も変だったものね、…。

 そういえば、朝。

 由樹乃が母に父との出逢いについてききたい、なんて。

 うっかり、そういったときに密ねえの納豆を掻き混ぜる手が止まっていた気がする。弓香に至っては、大好きなプリンに真剣に視線を注いで、スプーンをいれる処を考えているようなふりをしていた。

 あれだけ、あの二人が変だったのに、…。

「大丈夫、じっくりきかせてやるぞ?」

 はしょったりはしないからな、と。

 にこやかに笑顔でいう母に。

 ぜひ、はしょってほしい、と微妙な微笑みになりながら、由樹乃は思っていたりしたのだった。



「本多はそれからな?」

 実にうれしそうに語り始めるシズカを前に。

 長いながいお話を一日使ってきくことに。



 ちなみに、何故、父がこの母と結婚を了承して、現在は父も母が大好きに見えるのか、なんてことは。

 まったく、シズカの話からはわからなかった由樹乃である。――――




 


                        

いずれ、いまラストスパートに入る

エイリアン侵略ものにつながる予定です


そう、気がついたのですよ!

…最初からすべてSFにしておけばいいということに…!

(それでいいのか…?)

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