2605/08/15 20✧︎3ₘₑ『label???︰ロール』
→Enter.
→to open s a〼ーー.
《リ・ジェ───佐× 六◼郎 視点》
「じゃあ、撃つね。あれ」
バン───。「外した。次撃つね」
カチャリ。
カチャカチャ……。「装填完了、次───」
目の前の少女が静かに氷塊を狙撃をする様子を見て、意外と様になってるなと思った。構え方が良い。
小柄なからも銃身の支え方が上手く、綺麗に反動を殺している。当て感も初めてにしては上出来だ。
きっと、あと数発打てば、目標物に当てることが出来るようになっていることだろう。そうなれば彼らにもっと余裕ができる。彼女が"フリーランス"表示だったので少々不安だったが、それも杞憂だったようだ。
「(しかし、この中隊。よく見れば見るほど粒揃いだ。
"権限"が無く、世界の真理を知らないせいで中隊止まりになっているのが惜しいぐらいには、全員の練度が高いな。僕達のクランに全員吸収してしまおうか?)」
隣で魔導銃を撃ち、その周辺で彼女をサポートし、次なる魔導砲を設営し始めている彼らを見て本気で考える。
隊長が帰ってきたら相談してみよう。うちの隊員にしてもいいぐらいの中隊が存在しているって。きっと驚くだろう。だって───。
「うちは全員" ×i 〼-"で構成されてるからなぁ、そのお陰で1年でここまで来たわけだし。反対されるだろなぁ」
はぁとため息を吐く。
そして装填した回復気弾をリャンに向けて撃ち放った。
これからルートが変わるといいけど。
新シナリオだし、巻き戻りのフラグがどこに埋まってるか分からない。戦闘エリアに入ってはいないとはいえ、僕も気をつけなければ。
そう思いながら、僕は旧式魔導砲のレバーをグッと押し倒したのだった。
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「……」
銃を構える。
「……」
引き金を引く。
「……」
撃つ。
─── 一連の動作を繰り返しながら、照準は空中を飛び交う雪の塊に向けて永遠と合わせ続ける。アーケードのシューティングゲームをプレイしているみたいだ。
1度だけしか行ったことのない子供の頃のうっすらとした記憶を思い出しながら、私は淡々と感覚を慣らしていく。
「……ん、ここかな。『パァン───!』」
あ、当たった。
その瞬間、片刈り上げさん達に迫っていたひとつの雪塊が弾けるように軌道を変えて何処かに飛んでいき、下にいた数人の隊員たちがおぉと目を瞬かせたのがスコープ越しに確認できた。ちょっと嬉しい。
「10回目ですか。お嬢さん、才能ありますね?……どうです?帰ったらうちの大隊に入りませんか?歓迎しますよ?」
そんな回復さんの言葉に、思わずといった様子で隣で作業していた魔女おばさんが飲もうとしていた水を吹き出した。
「んぶっ!?ちょ、ちょっとダメよ!?何引き抜こうとしてんのよ、開花は今うちの中隊に入って───あぁないわっ!?」
そうだ、まだ入隊手続きとか一切してないんだった!?
……そんなおばさんの驚きの声が周囲に響き渡る。そういえばそうだった。私ももう入った気になっていたので考えてなかった。
「うん、大隊……だいたいかぁ。うーん」
「あれ?ちょっと……?開花?開花ちゃーん?
もしかしてだけど、揺らいでないわよねー……?」
「……さぁて、次の雪塊はっと」「ねぇ開花!?話聞いてるぅ!?私泣くわよ!?こんな一緒に居てそっち行ったらさすがに泣くわよ!??ねぇ?!!」
大丈夫だ。さすがに嘘である。
もう、心持ち的には"キングス・レオ"に入隊しているつもりだったし、今更他に流される気もなかった。
入るなら気心知れてるここがいいと、個人的に思っている。
「ははは、貴方たちは本当に仲がいいですねぇ。僕のところは結構バチバチしてるので、いやはや羨ましい限りですよ」
そう呟いた回復さんの言葉、それが一中隊の隊長として少し気になったのか、レオが口を開いた。
「へぇ、意外でした。今注目されているような大隊でもそんな問題が起きるんですね。リ・ジェンさん」
「えぇ。まぁ、多少の競争心は必要なんですけどね。
それでもなまじ数が多いせいで派閥が出来始めてるのがなんともね。管理が大変って感じです。ほんとに」
「はー、なるほど、派閥ですかぁ。
組織は大きくなると大変って言うがままならないもんだなぁ。俺たちも気をつけよう……」
うん、なんか大人の会話って感じだ。隊長・副隊長どうしで気が合うのかもしれない。
……もしくはコネ作りと言うやつだろうか?
たぶん、私には分からないけど大切なんだろう。二人は二人とも、各々作業しながら世間話でもするかのように腹の探り合いをしていた。管理職って大変だ。絶対なりたくない。
「へー、てことはアレすか?
あの、最近有名な爽やかイケメンの隊長さん派と、副隊長さん派で二分してるって感じなんすか?教会の真祖・旧祖派みたいな奴で」
すると、そうやって私が話を聞きながら攻撃してるとイヴァンが回復さんの隣から顔を出した。
「あー、まぁそうですね。そんな感じです」
「ははは、そっすか!俺の古巣も大概でしたけど偵察隊でもなっちゃうならしゃーなしっすね!どんまいっす、リさん!」
「……古巣ですか。てことは旧信派で?」
「そっすねー。今は衰退したっすけど、一番盛り上がってた頃に所属してたっす。自分、偵察隊の中でも孤児上がりでして。ちと特殊なんすよー」
その言葉に私は驚いた。イヴァン、変に気にかけてくれるなと思ってたら"私と同じ"だったんだ。
今までの会話とか、そういうのを思い出しながら、心のどこかで納得した。優男だ。イヴァンの株が急上昇する。
「ねぇイヴァン。教会って喧嘩してるんだね。知らなかった」
「おー、そうなんすよお嬢。自分と五左衛門は教会出身なんすけど、結構ドロドロしてましたよ。
特に上層部はっすねー、旧祖派と真祖派で信者取り合って、国罪事件も何回か起こしてますから。凄いんすわ。色々と」
あー、たぶん利権ってやつだ。
8歳ぐらいの卒業間近な時期に先生から習った。
『例えば、この国では幾つかの企業……null.TECとか、サイバーコープとか、あと教会とかかな。そういう息の掛かった企業が成長するように援助してたりするんだよ。裏で』
……これ、オフレコね?って言ってたから、あんまり知って良い内容じゃないんだろう。
国罪事件、つまり国の元で裁かれるような事件になる問題を話していい訳がないし。
事実、数日後にはその先生はいなくなってたしね。
噂好きでお喋りな先生だったから。向いてなかったんだろう。
「なるほどなぁ、確かに、信者が増えるとお金増えるもんね。それで喧嘩してたんだ」
「んーまぁ簡単に言うとそうっすね。でもまぁ、上層としてももう少し理由はあったんでしょうけど。
……それに巻き込まれて追放された身としては、若干納得いかないっすけどねぇ!」
あ、巻き込まれたんだ。
イヴァン、そういえば結構優秀だし、組織でいい所までいって疎まれてたりしたんだろうな。可哀そう。
「はぁ、なるほど、イヴァンさんは教会改革の被害者だったんですね。お悔やみ申し上げます」
「いやいや、自分はそこまで被害なかったんで。大丈夫っす。むしろ、あっちの五左衛門の方がきつかったと思いますよ。信仰心バカですから。あいつ」
神の像を取り出して、簡易的な教会を作り出して祈りを捧げている五左衛門。その後ろ姿を見つめながら、イヴァンは何やら物憂げな表情で呟いた。
「全てはロ・アルラゥネ様の御心のままに───」
『カーーーーン……』
そう、以前も言ったが、教会指定のESを使える時点で五左衛門はそうとう優遇されるべき人物だ。
普通なら教会所属の神官か、大隊に斡旋されておかしくはない位の、すごく特別な異能である。
五左衛門は少々頭がイカれてるからこうして中隊に入っている思ってたけど、もしかしたら過去に何かあってイカれてしまったのかもしれない。
その結果、ここに居るのかもなと思った。
「ふぅん……ふん……ふぅん……!」
『カーン、カンカーン……カーーン。』
いや違うかも。教会指定の祈鐘を恐らく五左衛門オリジナルの腑抜けたリズムで鳴らしてる辺り、あんまどっちか分かんないや。50/50って感じだ。
旧時代風に言うと卵が先かニワトリが……ってやつ。多分。
真実を知るのが怖いし、やっぱり彼とはあまり関わらない方がいいのだろう。そんな気がした。
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さて、皆様、こんにちは。
突然だが、皆様はもう気がついているだろうか。
《茨木 響子 視点》
→ to Enter. Enemy Area engage.
→y,Enter.
『エネミーエリアに侵入しました。可及的速やかにBOSSを討伐して下さい。制限時間︰2時間30分50秒……』
「爆炎───パイロキネシス……!!!」
───この世界が、紛れもない私たちの未来を暗示した。
世界崩壊が起こった後の日本を描いた……終末世界の歴史を辿るゲームの世界だということに。
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【Ti0҈҉̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̳̿̿̿̿̿̿̿〼〼〼〼〼〼〼〼〼〼〼〼〼〼〼〼〼〼〼〼ps】
世界は崩壊した。
かつて\\検閲対象-と共に現れた微生物によって齎された〼〼〼〼〼によって、ニンゲンの科学は瞬く間に発展したが、同じく齎された××××検閲対〼××××によって、その九割以上もの人口を失い、文明も文化も過去のものとして空間の海に沈んだのだ。
人はこれを《見ているな見ているな見ているな見ているな見ているな見ているな見ているな見ているな見るな検閲対象だこれより先はお前たちの見ていい領域ではない見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな》と呼び、滅びゆくまでの悠久の時間を嘆き、世界の終焉を高らかに叫んだのだ。
U.S. World Solution Corp 『Adam Kip Johnson』
"我々の手によって滅びた世界より、後悔と懺悔をこれから先の未来に遺す為、ここに記す。世界を─── "




