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第一話


 予鈴が鳴ったのを聞いて、首元のネクタイの位置を整える。扉の前で一呼吸おき、ガラス越しに教室の風景へ目を向けた。物音のしない廊下から、声の漏れる引き戸に手をかける。軽い力で扉を開けると、懐かしい匂いがした。

 

「みなさん、おはようございます」


 そう挨拶して教卓へ歩きだそうとした時、一人の生徒が奥の席から勢いよく立ち上がった。ガタン、と乱暴に机を蹴り倒す。


「何が『おはよう』だ、てめぇ!」


 静まり返った教室の張り詰める空気。綺麗に並んだ机を押しのけ、真っ直ぐこちらに向かってくる。鬼気迫る彼の腕が、私の胸ぐらを掴んだ。


「ここはどこだ! 説明しろ!」

「落ち着きたまえよ、君」


 振り上げた拳を動かせないことに驚く彼の顔。私は目線を下げて、教壇にほど近い席についた女生徒に声をかける。


「ホウカさん、初日からで悪いのですが、彼と席を代わっていただいてもよろしいでしょうか?」 


 席を離れた彼女と入れ替わるように、私は力づくで素行の悪い生徒を最前列の席に座らせた。何が起きたか分からずきょとんとした彼を尻目に、私は教壇に手をついて告げる。


「ようこそ、異世界系被害者のみなさん」


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