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第6話 深まる謎

「おかえり。おや、その鳥は?」


家に着くと、アーノさんが出迎えてくれた。


「どこからか飛んできて、弱っていたので保護しました」


「珍しい鳥だね。金の毛で……ってえ!? テレーナ、その背中の翼はどうしたの!?」


アーノさんが私の光の翼に気づいた。


「せんせーが珍しく動揺してる……! もしかしてせんせーも知らない魔法なの?」


「ああ、こんな魔法は、知らないよ……」


「そうですか……。無意識にこの魔法を唱えていたんです、空から落ちてしまいそうになったときに」


「記憶の奥底から引き出されたという訳か……」


玄関先で考えていても仕方がないので、とりあえず家に上がる。もう飛ばないので翼の魔法は解除した。

まず、私のベッドに鳥を寝かせておいた。変かもしれないが、鳥かごがないから仕方がない。

 

「この鳥から、光属性の強い魔力を感じるな」


アーノさんが、この不思議な鳥を観察して呟く。


「じゃあテレーナの魔法に反応してこの鳥がやってきたってこと?」


うーんと唸る一同。


「私はこの鳥、知ってるような気がするんです」


「そうなの?」


「何か、強い既視感があって……」


「記憶がなくなる前に飼ってたんじゃない? この鳥」


ロゼさんが鳥のお腹をツンツンと触る。しかし鳥はまだ眠っている。


「テレーナは街の外で倒れていた。そしてこの鳥は弱っていた。仮定に仮定を重ねるが、テレーナが何者かに襲われて飼っていたこの鳥と離れ離れになった、という背景も考えられるね」


「うん。この鳥、一直線にテレーナに向かってきてたし、そうとしか思えないよ」


「うーん、ペットだったんでしょうか……?」


私は本当にこの鳥を飼っていたんだろうか? たしかに既視感はある。しかしそれは纏っている雰囲気というか、オーラというかに感じるものだ。感覚的で曖昧なことだから、確信はできないが……。


「とりあえず、名前つけてあげたら?」


「確かに必要ですね……。うーん……」


少し長い間考えて、ひとつ思いついた。


「…………鳳凰」


「いいね! かっこいい名前だ!」


「鳳凰!? 強そうすぎない!? 名前っぽくないし!」


アーノさんには好評だが、ロゼさんには反対される。しかし名前っぽくない名前をつけたのにはちゃんと理由がある……!

 

「飼っていたのなら本来の名前があるはずですし、別の名前で呼ばれたら混乱すると思って……」


「なるほど……。じゃあいったん鳳凰って呼ぶね……」


ロゼさんは渋々了承する。


「あとは翼の話だ」


「これも不思議だね。ぼくは、テレーナはどこか遠い国から来た高名な魔道士だと睨んでいるよ」


「たしかにこの国出身ではなさそうだ。テレーナちゃんの魔法の潜在能力は、一流という言葉すら軽い。嫌でも有名人となっていただろうからね。でも他の国から来たというのも信じがたい。ここは魔法の国ソーサリアだ。魔法学については最先端を行っている。そのソーサリアでも知られていない魔法を扱える者が、他国にいるのか……?」


「た、たしかに……。いや、ちょっと待って!」


ロゼさんは衝撃的なことに気づいたような表情をする。


「せんせーもカレンヴィア出身なのに、ソーサリアでトップクラスの魔法使いじゃん。じゃあ魔法の天才が他国にいてもおかしくないんじゃない?」


「た、たしかに……」


さっきのロゼさんと同じ反応だ。


「ではテレーナちゃんが他国の魔道士だったとしよう。しかし、テレーナの記憶を封印した者の正体についても謎が深まった。どれほどの強者ならばかつてのテレーナちゃんから記憶を奪えたのか」


「うーん、謎が多すぎる……。目的も分からないし」


「うん、目的が不明なのも怖いね。命も狙われていたけどなんとか逃げ出せた、というケースを想定すると、人混みではその翼の魔法は控えた方が良いかもね。目立ってしまうから」


「そうですね……。できるだけ早く記憶を取り戻さないと……」


私は一体何者に記憶を封印されたのだろうか? そして今も狙われているのだろうか?

不安と期待の学院生活が、明日から始まる……!

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