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種まき  作者: 山葵からし
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空気清浄機

 唐突に大きな音が響き始めた。見ると、空気清浄機のランプが赤く点灯している。近くにいるのは父・母・妹・俺の4人。

「さて、誰が犯人か大人しく名乗り出たらどうだ?」

 父親が探偵役のように話し出す。

 我が家ではお決まりの出来事。空気清浄機が大きな音を立て始めたら、大抵は近くにいるやつが屁をこいている。犯人を探し当てる人狼ゲームが始まるのだ。

「いや、お父さんの可能性もあるじゃん」

 妹は顔をしかめながら話す。あれは父親に対する嫌悪感の表情ではなく、ただ単に屁が臭いのだろう。

 すぐに「くっさ!」と大きな声で叫ぶ。どうやらよほどの激臭らしい。

「一番に臭いを嗅ぎつけたということは、臭源に近いんじゃない?」

 母さんが真面目な顔で推理している。たしかに、ここまで妹以外誰1人として「臭い」と言葉を発していない。疑いの目が一気に妹に向く。

「ちょ、ちょっと待ってよ! 私じゃないって!」

 必死に自分では無いとアピールしている。確かに、発生源が何も言わずに居たらいいだけの話。そうすれば一番近くにいる人が嗅いで初めて臭いと声を上げる。

「でしょ?! てことは、近くにいたお父さんが怪しい!」

「おいおい、父さんのスタイルは皆知ってるだろう」

 そう、父さんは必ず自己申告する。空気清浄機よりも早く己が罪を告白するのだ。そして誰よりも多く呼吸し、周りに嗅がせまいと努力をする。漢の中の漢なのだ。

「それでもまだ、父さんが犯人だというのか?」

「そ、それは……」

 一気に妹が形成不利に陥る。仕方がない。父さんに罪をなすりつけようとしたのだから。

 最早判決は確定したと言わんばかりに、父さんが立ち上がる。冷蔵庫を開いて中から缶ビールを取り出した。

「え、冤罪だ! 絶対控訴してやる!」

 妹はそう叫び、リビングを出ていく。ああなったら晩ご飯になっても自分の部屋から出てこないからな。

 やれやれとため息を吐きながら、真犯人の俺は妹を慰めてやろうと後を追うことにした。

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