表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種まき  作者: 山葵からし
41/50

腕時計

 長針と短針が重なる。大したことはないけど、なんだかちょっと幸せが増えた気分。

 大きめの文字盤。手が細く見えるからとか時計屋で聞いた気がする。ただのデカい時計に見える。

 ため息を吐きながら腕時計のベルトを外す。やっと息ができる気がした。緩く着けていたはずなのに、左手の指先に久々に血が通ったような感覚。

 服を着替えてメイクを落として——。やらなきゃいけないことが多いのに、全部無視してベッドに飛び込みたい。

 とりあえず冷蔵庫を開く。缶ビールと日本酒の瓶が目に入る。明日も仕事だけど、これぐらいならいいだろう。ビールを手にとろうとして、やっぱり躊躇う。ダイエット……。

 冷蔵庫の扉を閉める。自らを戒めよう。服を脱いで下着姿。脱衣所で体重計に乗る。うん、やめて良かった。

 直前の己の判断に乾杯。やはり私を理解っているのは私だけ。これはもう讃えるべきだろう。

 ——カショリ。

 そう思い、気付けばビールのプルタブを開けていた。なんと罪な音なのか。もう後戻りができないではないか。

 吹き出す白い泡に、わざとらしく「おっとっと」と口に出しながら啜る。誰がいるわけでもないのに、「開いちゃったものは仕方ないし」なんて言い訳が口をつく。

 一度口を付けると、もう離してはくれない。そのままぐいっと缶を傾けたかと思うと、すでに中身は空っぽ。あれれ〜、おっかしいぞ〜。

 迷いに迷って、正確にはそのフリをして、冷蔵庫から日本酒を取り出す。

 出勤まであと数時間。起きれるかなー、これ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ