表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種まき  作者: 山葵からし
34/50

手紙

 今までみたいな日がずっと続けば良かったのに。

 誰もいなくならなくて、私もあなたもそのままで。物忘れが激しいおばあちゃんには申し訳ないけれど、どうかそのままでいてほしい。私にとってのおばあちゃんは、今のおばあちゃんだから。

 2人の子供も会社での昇進もいらない。お給料は少ないけど、2人の分を併せたらちょっとした贅沢もできる。いつかハワイに行きたかったけど、それは別にいいかな。

 早く広い家に引っ越したいって言ってたよね。私は今のワンルームでも別にいいかなって思ってるんだけどダメかな。ずっと一緒だと嫌なところも目につくけど、それも含めてあなただって知ってるよ。

 でもお風呂はもう少し広い方がいいな。あの浴槽、2人で入るには狭すぎるや。くっつけるから私はいいけど、暑がりなあなたはいつも嫌そうな顔してた。嬉しそうなフリしてたの、気づいてたんだからね。

 そういえばペットの亀さん、元気にしてるよ。相変わらず野菜は全然食べないけど、色々と種類を変えて挑戦中。あの子が私たちの子供みたいな存在だね。

 昨日、社長さんが尋ねてきたの。ずっと謝ってた。変だよね。誰も悪いわけじゃなかったのに。強いていうなら、ちゃんと周りを見てなかったあなたのせい。人を悲しませるようなことはしたくないって言ってたのに、とんだ嘘つきだよね。

 お母さんとも話したよ。とてもいい人。あなたが素敵な人だったのは、この人に育てられたからなんだなってわかった。もっと仲良くしたいけど、橋渡ししてくれる人がいなくなっちゃった。仕方がないから、あなたの秘密を酒の肴に仲良くなってやる。それが嫌なら、今すぐ戻ってきてもいいんだからね。

 今までお小言ばっかりでごめんね。私がたくさん怒るのに、あなたは全然怒らなかった。それが嫌でもっと私が怒ったりもしたっけ。この人は一体何を考えてるのかなって思ってたこともあるけど、何も考えてないだけなんだってのは割と早めに気づいてたよ。

 いつかまた会えた時には、ちゃんと私だって気づいてね。……いや、やっぱりいいかな。どうせあなたは忘れてるだろうから、私があなたを見つけて思い出させてあげる。

 だから今度は、最後まで私に付き合うこと。わかった?

 まだまだ伝え足りないけど、そろそろあなたの頭がパンクしちゃうと思うのでこの辺にしときます。

 色々と考えたけど、あなたに会いに行くのはしばらく後にします。精々あなたも寂しい思いをしてください。

 そういうことで。またね。

好きだった百合の花を添えて

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ