軽トラ
家の外に出ると、涼しい風が駆け抜けた。もうすっかり秋も深まった。木々はすっかりと葉の色が落ち、見た目はとてもカラフルに染まっていた。
通学路にある銀杏並木は、この時期歩道が潰れた銀杏で溢れかえる。毎日通る身としては臭いことこの上ないが、見上げるとそれも忘れるくらいだ。
木漏れ日に目を細めていると、背後から軽いエンジン音が聞こえた。車道を軽トラが通り過ぎていく。目の前の交差点の信号が赤に変わり停車する。荷台にはゴミ袋がたくさん積まれており、中には木の枝や葉っぱや人の手などが見える。きっと落ち葉などを片付ける業者なのだろう。どうせならこの歩道も綺麗にしてほしいところだ。
「……ん?」
青になる信号。走り去る軽トラ。積まれた人の手。
事件だろこれ。
「え、どうすればいいのこれ」
運転手に声をかけるべき? いやでも殺人犯ってことだよな……。
——いったん通報しよう。
スマホを取り出して電話アプリを開く。1と0を押すだけなのに、やけに指が震える。
緊張しながら通話ボタンを押すと、電話はすぐに繋がった。
『はい110番です。事件ですか、事故ですか?』




