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種まき  作者: 山葵からし
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エイ

 いつも通りの通学路。

 小汚い川にかけられた橋を渡っていると、小さなエイが泳いでいるのが見えた。

 学校についてから調べると、どうやら淡水でも生きられるらしい。

 なんだか珍しいものを見たと浮かれていたが、次の日もその次の日も同じ場所で見かけた。今まで気づいていなかっただけで、案外今までもいたのかもしれない。

 それから毎日、その川にはエイがいた。

 ある日、どうせ誰も見ていないだろうと声をかけてみた。

「おはよう」

 いつもそのまま下流に向けて泳ぎ去っていくのに、声をかけた途端に踵を返してこちらに向かってきた。

 別に目の前で止まったり喋り出したりなんて不思議なことは何もなく、結局はそのまま通り過ぎていっただけなのだが。

 けれどそれ以来、なんとなく話しかける日が増えた。言葉を理解してるだなんて思ってもいないが、それでも少しは信じてみたかったのかもしれない。

 あれ以来一度も反応した素振りはないけれど、それでも毎日少しだけ話しかけ続けている。

 エイは今日も優雅に泳いでいた。

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