不法侵入絶許
なんやかんやあったが、ようやく当初の目的を果たすことができそうだった。もう邪魔をしてくるものもいなくなったので、周りは警戒しつつ普通に歩ける。
「これから、魚介キメラの捌き方を習得するんだっけ」
「違う」
魚介キメラの方は、リーダーたちがなんとかするだろう。今のリーダーは、頭のなかで金の音がなっているはずだ。
そもそもの目的は、謎の牧場探索だ。
「あー…………」
「本気で忘れてたのか」
「そんなわけはないけどね。ふと、思ったんだ」
エミリアは、ぐるっと周りを見渡す。
死体だらけ、とまでは言わないがそれなりに、コブリンの遺骸は落ちている。
「こいつらの本拠地って、あそこの牧場だよね」
言われてみれば。
「……そうだな」
「もう一回、やる……?」
「余裕だろ」
「やりたい?」
「任せる」
「だめ」
祈るしかない。あいにく、俺が祈るべき神は、この辺には存在していないだろうが。
◆
なんていうか、見た目からしてすごく牧場だった。
デカい建物があった。
その前に広大な草原。それを囲う柵。
そして、川が流れていた。
「川」
「池じゃないんだ」
池というには幅が狭く、明らかに流れがあるから、川でいいだろう。
それはともかく。
「川、か」
「思ったこと言っていい?」
「魚介キメラをここで育てていたかもしれない、っていう話以外なら喋っていいぞ」
「魚介キメラをここで育てていたかもしれないね」
言うなつったろ。
ただ、いずれにせよもう少し近づきてみる必要があるだろう。
「とりあえず、エミリア。あの柵に飛びかかってみてくれ」
「君が一緒なら、私に怖いものはない」
がしっと俺の首を掴んでくる弓が主武装の女。とても、握力が強いので振りほどけない。
平和的解決として、試しにエミリアが矢を一本、柵に投げ込む。
しゅわっと音を立てて、矢が消滅した。
「……」
「カイニス。行きなよ」
「やだよ。どうすんだこれ」
そもそも、魚介キメラは謎に強かった。そいつを逃さないようにする柵だから、予想されたことではあったが、それにしても威力がおかしい。
「魔法を編み込んである……?」
「そんなこと、できんのか」
「わからないけど、君のところのリーダーか、うちのボスを連れてくるべきだったね」
今更言ってもおそい。とにかく、今の俺たちが考えないといけないことは、ひとつだった。
「君が飛ぶ?」
「やってもいいが……。ちょっと矢を貸してくれ」
俺は思いっきり上空に投げる。
パシュッと軽い音がして、何かが光った。案の定、矢が消滅する。
まあ、こうなるか。
「どう思う?」
「うーん、難攻不落」
だよなあ。




