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壊したあとのお片付け

二人の魔術師によるすげえ火力によって、扉は当然のように役目を終えた。結構分厚かったようで、火力バカどもはすっきりした表情で互いを称えあっていた。


「無駄が多い、な」

「んー、内部に入れ込んでから破壊する予定だったのだけれど……」

「その前にぶっ壊れたな。 魔法への抵抗が強い人体でも試したい……」

「わかるうー!」


なんか物騒。

多分、近づいたらダメな感じの世界を二人で作り上げている。

放っておこうと、俺は決める。下手に奴らの視界に入ると、何をされるか分からん。



ということで、議論に熱中してる魔術師コンビよりも肉体労働の方が得意な俺達がえっちらおっちら瓦礫を撤去していたのだが。


「どうせぶっ壊すなら解読しなくてもよかったんじゃないの?」


ぼそりと、脳筋バカが呟く。


「バカ、お前! そんなこと言ったら」

「い、いいんです……、はは、どうせ、おれの頑張りなんて…………ははははははははは」


お前さあ。ヒーラーちゃんがすぐそこにいるのに、そんなこと言うなよ。俺もちょっと思ったけどそこは言わなかったんだぞ。

ヒーラーちゃんは、なぜか俺の方だけを見ながらプルプル震え始めた。


「ちょっとそこの野郎共ぉ~! 私達のヒーラーが泣いちゃったじゃん! 謝りなさいよぉ~!」

「「ごめんなさい」」


俺と前衛は頭を下げた。このバカ前衛の命ならばいつでも捧げる所存です。

エミリアが、ヒーラーちゃんのことを撫でたりハグしたりしながら慰めているので、粛々とでっかい扉の欠片達の撤去に勤しんでいた。


「俺は優しいから、今後のお前のために教えておいてやるんだが」

「なにを?」

「ヒーラーちゃんというか、俺達がなんとか扉の紋様を解読しようとした理由」


ヒーラーちゃんに恋する男は、俺が手にしていた瓦礫すらもぶんどって残骸を凄まじい速度で放り投げてしまった。


「詳しく、聞かせて」

「今のがお前の感謝の仕方なら、かなり怖い」


まあ、片付くに越したことは無いんだけど。

ただ、そんなにたいした理由でもないんだが。


「単純に、火薬庫で焚き火をしたいか、っていう理由なんだが」

「あー、そういう」


要は、扉の向こうがどんな用途があるのかを判別できるまでは、安全という意味で慎重にいこうということなのだ。

だから、今回の解読に意味がないことは、絶対に無いのだ。

ただ。


「今回みたいに、未知の階層とかだと、例えば廃棄場と分かっても、どんな風になにを廃棄してたか分からない限りは、慎重に行くべきは行くべきだったのも事実だけどな」

「カイニス、ばか!」

「え」

「…………そうです……不用意です…………おれ、皆さんならどうにかできるか、って高を括って壊して貰ったのですけど、不用意なのは事実で…………………うぶぶぶぶぶぶ」


ヒーラーちゃんが瓦礫に埋もれようとしたので、恋する前衛が慌てて拾い上げた。

エミリアが、やや目をつり上げて俺を叱責する。


「正論にも、伝え方があるってことを、君は知らないの?」


すみません。

けどよ。


「そうです……カイニスさんが正しくてえ……………ぶべべべべべべべ」

「ハニー!? 泥は美味しくない……ていうかどっから泥取ってきたの!? この辺、そんなもの無いよね!?」


多分、止めさしたのはお前だぞ、エミリア。正論って攻撃力高いよね。

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