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オープンセサミ

主は仰られた。

世にはばかりきは穢れ。

障りとなりき。

浄めたまえ。

祓いたまえ。

除きたまえ。

さすれば我が目は全てを砕かん。


「ええと……?」

「うちの経典の一節。要するに、きれいにしろってことだよカイニス」


ヒーラーちゃんが突然、朗々と唱えたのはそんな言葉だった。

さっきまで太陽神の、なんだろうなんとか言葉を選んで変な日記としか言えないポエムだったから、それと比較すればまだまともな内容のポエムな気もしなくもない。


「はい、お陰さまで、はっきり分かりました」


ヒーラーちゃんは、青い瞳で俺たちのことをぐるりと見渡した。


「ここ、ゴミです」

「身も蓋もねえ……」


そりゃ、確かに使い道もなさそうだけどよ。ヒーラーちゃんは慌てて両手を振る。


「そ、そうではなくて、ですね。 おそらく、この扉の向こうは、いえ厳密に言えば私達が落ちた……落ちた? 昇った? あれ?」

「ハニー、悩む君ももちろんかわいいらしいけれど、そこは適当でいいよ」

「す、すみません。 はい、えーと、おれ達は落ちたと仮定します」

「はい」


ぶっちゃけどっちでもいいと思うんだけどなあ。そんなこと思っていたら、黙っとけとばかりにエミリアから蹴りが飛んでくる。お前、俺に厳しくね?

不満をこめて睨み付けると、べえと舌をだしやがった。ガキかよ。


「落ちた──カイニスさんとエミリアさんも迷い込んだあそこも、廃棄場の底だったのかと」

「へえ。 だから、基本的に出られない構造だったんだ」

「でも、俺達は階段を使ったぞ?」

「そりゃ、管理する必要はあるでしょ、いくら廃棄場とはいえ」


それは確かに。じゃあ、あの階段にわざわざ罠を仕掛ける必要がどこに……と考えてから、俺達と同じくあの穴に迷い込んで白骨になっていた先輩がいたことを思い出した。


「モンスターも廃棄されていたのか……?」

「だけだったら、いいねえ」


モンスターが捨てられるのなら、人間なんて簡単に捨てられるなあ。


「ひょっとすると、ここのダンジョンそのものがそういう役割なのかもしれません」


そういう役割──例えば拷問とか。


「そ、そこまでいかなくても、例えば処刑施設とかの可能性もあります!」


どっち道ろくでもない使われ方してたのはよくわかった。


「ですが、これでひとまずここの扉を開ける方法は分かりました」


ヒーラーちゃんは、扉の紋様を撫でるようにして確かめながら。


「壊してしまいましょう」

「ほいきた」

「合わせなさい」


火力担当の魔術師達が、すぐさま呪文を発動。

明らかに、かなりの詠唱が必要な火力を叩き込んだ。


こいつら、二人でこそこそしてると思ったらずっと詠唱してたな…………?


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