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ダンジョン七不思議──なぜか扉の鍵を開く暗号のヒントが落ちてる

いつまでも、続くかと思われた階段にもようやく終わりが見えてきた。長かった。まじで、長かった。


「ほら、もうちょっとなんだから、頑張れ」

「なんでお前は逆に元気なんだよ……」


まだ余裕があるとはいえ、少しだけどこかで流石に休みたい。


「途中、君に担いで貰ってたし」


担いだつっても、あの階段崩壊罠を踏んだ時だけだ。あの時から、もうずいぶん時間が経過している。

その時、うっすらとエミリアが光った。


「…………。 お前、回復使いながらここまで歩いてたな?」


そりゃ、元気だわ。つーか、使えたんだな回復。


「私は使ってないよ」

「そんなわけあるか」


またもや、ぼんやりと光るエミリア。今度は点滅を繰り返していた。無駄なことすんなよ。

だが、確かに、エミリアはこの間に口を開いたりしておらず、それはつまり呪文の詠唱をしていないということに他ならない。

そこで気づいた。


「あー、もしかして鎧か」

「うん。 この鎧、便利なんだよね、機能も色々あって」

「さすが聖騎士の鎧」


聖騎士というのは、称号に他ならない。この称号はすなわち、最古の冒険者ギルドのエースが代々受け継ぐもので、半ば最強の代名詞ともなっている。

教会が主体になっているギルド──すなわち神の加護を強く受けている最強の冒険者が身に纏う鎧であるのだから、そういった機能があってもおかしくはない。


「だから、その、申し訳ないんだけど……」

「回復はお前限定?」

「うん」


まあ、珍しいことでもないか。俺は、というかうちの連中には縁がないのだが、神の加護は要するに神が気に入った人間にする贔負みたいなもんだから、万人に分け与えられるものではない。


「私に密着すれば、ちょっとは回復できるかもだけど」


回復したところで、多分大した効果はないんだろうな。

あと、そうなると要するにエミリアに抱きつかなければならないわけで、そうなると余計にいろんなものを削られそうだ。特に精神面が。


「遠慮しとく。 どうせなら鎧越しより生身の方が好きだし」

「アッ、ハイ」

「すまん。 冗談だから、思いっきり距離をとるのやめて!」


そして、ようやくたどり着いた先にあったのは。


「扉」

「めっちゃくちゃ閉まってるね」


だろうな。

石造りの大きなそれは、念のため開くか試したがピクリとも動かない。最悪、ぶっ壊すという知性的な方法はあるのだか、それは最終手段だろう。

ただ、この手のやつは、扉に彫られたモチーフから、いつ頃にできて、どんな意図で作られたものかを判別できれば、割りと扉の開け方自体は体系化されている。

この扉にもその例に漏れず、なんか文字は書かれてるんだが。


「つーことで、読めるかエミリア」

「んー、かなり古いしかすれてるけど、なんとかなるんじゃないかなあ」

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