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ストグラ 安城とゆきんこ 彼女の存在 無馬くん視点

作者: 佛 弥白

水上戦の日、

たまたま見かけた安城は、AKAを取り巻く他のALLINメンバーから少し離れた場所で、寂しそうな顔をしていた。


すぐに白井さんが安城の肩を叩いて話している様子が見える。そして、何かを告げて安城の胸の上部に指をさす。


安城は胸元から何かを取り出して、それを眺める。少しして、吹っ切れたように明るさを取り戻していたように思う。

白井さんが再び肩を叩いて去った後、コッソリと背後から近づいて肩から覗いた。

首からチェーンが垂れ下がりその先には開いたロケットが見える。

安城、雪ちゃん、白井さん

三人の笑顔の写真がそこに写っていた。



へぇ、それ白井さんが渡したっていうペンダント?



安城は驚いたようで、びくりと体を震わせた。その様子がおかしくなって笑ってしまう。

写真の笑顔の雪ちゃんを見て思ったことが少し分かった気がする。


きっと彼女がいたら、今回の水上戦を楽しみにしていただろうこと。

それと彼女が不在の中、他のALLINメンバーが盛り上がっている姿を見て、存在の痕跡を見つけられなくて寂しそうにしていたのかもしれない。



そんなにビックリしなくてもw

にしても良い写真だね

今にも雪ちゃんの笑う声が聞こえてきそうだね~



初めてあった時に一兆稼ぐのだ!

なんて言ってお金の計算も間違っていたし、本当におかしな子だったけど。

彼女の無邪気な笑い声は、不思議とつられて笑ってしまう。

不思議な子

今も耳に残っている。


思い出してフッと笑ってしまう。



帰ってきたら、またデートでも行っておいでよ

その時は報告もよろしくね♪



そろそろ、BOSSたちが集まって始める.

準備をしなければ

後ろ手でひらひらと手を振って安城から離れた。




水上戦は好調だった。

何事もなく前半は終了した。

問題はその後だった。


メンバー入れ替えしてから、開始してそう時間は経たずして、ヘルアンから援護要請を受ける。



後方から2隻、1隻からは撃たれています

なんとか躱せていますが、詰められるのも時間の問題だと思います



報告と共に微かにAKAの落ち着かない様子が聞こえてくる。



分かった、出来るだけ早くそっちに向かう



ヘルアンの位置は少し離れているが、一番近いのば僕らの船だ。船にはBOSSとエイムくんがいる。

千代たちには少しの間、頑張ってもらうしかない。



少し、時間はかかってしまったけれど、ヘルアン達の船が見えてきた。

BOSSが立ち上がり、いつでも撃てる準備をし、エイムくんは機会を伺っている。


ヘルアンの船が大きな波に乗り上げるように大きく揺れた。その時、船の加速が弱まり敵の的になってしまった。

一斉に撃たれる中、僕は体勢を整え船のスピードを落とす。BOSSは敵への攻撃を開始する。

エイムくんはこちらに気づいた相手を倒していく。

僕は操縦しながら、ヘルアン達の船を様子見ると、船上へと倒れるAKA。

それとは対照的に、キズだらけで腕を伸ばしたまま湖へと落ちる安城。



敵が来たみたいだから、旋回するね



二人にそう伝えて、船を反転させて走り始める。その時に誰かが飛び込む音が聞こえた。チラリと横目で見ると、ヘルアンの船の近くで水飛沫が上がっていた。



来る。左に旋回して



BOSSの指示を受けて、僕は有利な方へとルートを導く。BOSSとエイムくんは徐々に相手を削っていく。

しかし、相手も回復をしているのか、減っている気がしない。



ナリエル、安城の治療を頼む


はーい、近くの岸辺まで来て~



安城が湖へ落ちてから、引き上げるまでに時間がかかったように思う。

何かあったのだろうか?

無線を聞きながら、他の戦況も整理しつつBOSSの指示に従って他のメンバーのフォローへと向かう。



BOSS~安城が思った以上に傷付いているので、離脱の許可をおねがいします



突然のナリエルからの無線

BOSSは、分かったと返し周りを見渡していた。



BOSS、今のうちに船の修理しちゃおうか


そうだな



BOSSは僕の提案を聞いて、うなずく。エイムくんも疲れた様子で座って休憩をしていた。

程なくして修理兼、集合地点に着くと安城がポツンと立って去っていく船を見ていた。



ちょっと行ってくるね



二人に声をかけて僕は安城、と声をかけて近付く。さっき見たチェーンが切れたまま、首から衣服の紐に絡みついていた。



すみません無馬さん、早々にやられてしまいました

ポツリと、安城が呟く。僕はポンポンと肩に腕を回して叩く。そしてそっと、チェーンへと手を伸ばす。



良いって、気にしてないよ。だって、お遊びだもん

努めて明るくクスリと笑う。その間に絡まったチェーンを引き剥がしていく。



AKAさんがいた上に、大事なものを失くしかけたんでしょ?


なんで


だって、ずっと右手を握ってるし、切れたチェーンが微妙に服に引っ掛かってるし

言わなくても想像ついちゃうよね~



僕はポンポンと再び肩を叩いて、安城から離れる。さきほど回収した切れたチェーンを手のひらに納めて見せる。



これは、もう使えないから処分しておくね


え、あ、はい⤵️


じゃ、お大事にね~



僕はそう言って、回収したチェーンを持って修理の終わった船へと急ぐ。


BOSS、と声をかけてBOSSがこちらを振り向く。

コレ

小さな声で先程のチェーンを見せる。BOSSは何かに気がついたのか、一度安城を見て一言。



勝つぞ



身を翻してそう言うBOSSに、そうだねと僕は返事を返して、エイムくんに、行こうかと促した。



それからは言わずもがな、BOSSの快進撃とエイムくんのアシスト、僕も時々応戦した。その結果

圧勝で勝利を勝ち取ることができた。

もちろん、僕達だけじゃなくて、他のメンバーの統率あってこそというのも、大前提だけどね!


大勝利を勝ち取って、その場はお開きとなった。集まるのは旧アジト

いつも通り駐車場で集まって今日の話題で持ちきりだ。

最後に到着した、ヘルアンの車に安城とAKAが降りてくる。キャリーしていた安城がAKAを下ろして、ふらついたのが見えた。


おや?と僕は思って安城へ近付こうとした時、安城が倒れた。



アンナル!



AKAの声に皆が気付き、駆け付ける。ナリエルはすぐに診察をするため、安城に触れた。



すごい熱が出てる

ここでは、治療は無理そう

一度病院につれていった方がいいね



連れてきて



ナリエルがそう言うが早いか、BOSSが車を用意して待っていた。すぐに皆で安城を車に乗せ、ナリエルは助手席へ乗り込み、BOSSは病院へと発進させた。


こうして、数日間

安城は高熱にうなされることになった。


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