裕福な政略結婚にすべきか、貧乏な幼馴染を選ぶべきか、それが貧乏男爵家令嬢の問題、、、え? なんで貴女がいるの?
「神父様、私は政略結婚か、幼馴染か、迷っています」
「俺は、彼女に俺を選んで欲しいです」
私と幼馴染は、神殿で神父様に話を聞いていただいています。
「昨日のパーティーで、伯爵家令息様は聖女候補生との婚約を破棄し、私との婚約を宣言されました」
私の名はイブ、色の薄い赤毛で、胸は大きく、美人だと思うのですが、領地が小さく、貧乏が玉にキズの男爵家令嬢です。
「私は、伯爵家令息様は、優しくしてくれる同級生と思っていました」
「伯爵家とつながれば、領地がうるおいます」
「政略結婚が、貴族の務めなのは、承知しています」
「しかし、婚約と言われた時、私は、サンに想いがあると、判りました」
幼馴染の名はサン、金髪ですが、領地で不作が続き、貧乏な男爵家の令息です。
「俺は、イブが好きです」
「しかし、領地が不作で困窮していたので、想いを言えないでいました」
「領地の不作は、ある方の力で、今年は豊作になる見込みです」
「今なら言えます。俺はイブと結婚したい」
神父様は、黒の祭服、銀髪のイケメンです。
「神殿の女神に祈りを捧げて下さい」
「きっと、お二人を良い方向に導きます」
◇
「私は、神父様の言うことが、よく解りませんでした」
「俺も、解らなかった」
「とにかく、女神像に行ってみよう」
「あ、あの銀髪の女は!」
見たことある後ろ姿が、女神像の前で祈りを捧げています。
「フラン嬢だね」
今、私が一番会ってはいけない女です。
「サン様、イブ様、珍しい所で会いましたね」
彼女は、婚約破棄されたばかりなのに、笑顔です。
サンが右手を胸に当てて、フラン嬢に敬意を示します。
「な、何をしてるの!」
「フラン嬢は、俺の領地を救ってくれた方だ」
「わ、私は、彼女の婚約者を奪った女よ!」
昨日のパーティーで、彼女は、わたしのせいで、伯爵家令息から婚約破棄されました。
「私を恨んでいるのでしょ!」
彼女に言葉を投げつけます。
「え? 全然。イブ様のその大きな胸には嫉妬していますけど」
彼女が、私の胸を見ます。
「あの令息は、令嬢を見た目で差別する、ゲス野郎です」
「イブ様も気をつけてと言いたいけど、もうその必要は無いかも」
必要ない? 彼女は何を言っているの。
「伯爵家は、彼を廃嫡する考えです」
「「え?」」
私とサンがハモります。
彼女は、女神像に飾られた花から、赤い花を抜き取り始めました。
「何を、、、罰当たりでしょ」
「大丈夫です。女神は喜んでいます」
彼女は、赤い花を束にして、サンに手渡しました。
「では、お先に」
笑顔で、離れていきます。
女神像の周りは、私たち二人だけになりました。
サンが、赤い花束を私に差し出しました。
「イブ嬢、どうか私と結婚してください」
「わ、私の答えなんか、自分で考えなさいよ」
こんな時に、生真面目な彼は、固まってしまいました。
「仕方ない、教えてあげる」
私から唇を重ねました。
陰でフラン嬢が覗いていたことに、気が付かないまま。
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この短編は独立していますが、本編「聖女は謙虚に成り上がる!婚約破棄の原因は、私が平民だから?あんたの浮気が原因でしょ?」https://ncode.syosetu.com/n8552id/ と一緒に読まれますと、さらに面白いと思います。