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identity  作者: 小野葉
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第三章 赤帽子

次回から、投稿日を一定にしようかと思います。

これから毎週、日曜日の9時〜2時の間にさせていただきます。

なるべく遅れないようにしますので、よろしくお願いします。

そこでオレらが見たのは無数の化け物の姿だったー……。




「うわぁっ!!な、なんだよ、この数……」


「だよな、和真。オレも同感だ」



オレらは2人して、目の前の無数の妖怪達を睨みつける。



「こうやって睨んでるだけで敵、減らないかなぁ…。そう思わない、隊長さん?」


「気色悪い喋り方をするな。虫ずが走るわ」


「ひっどいなぁ、ウサギちゃんは」


「貴様ぁ、戦場でもそれを言うか!!!!」



あっちゃあ……この場に及んでも、その夫婦漫才をするか……。


オレは役に立たない人リストに隊長と副隊長を加え、ただ黙って小太刀を構えた。

まず狙うは、目の前の身長が低い化け物。

確か、ゴブリンとか言ったか……。

オレは自分の記憶を探る。

ゴブリンはゴブリンでもコイツは…多分、おそらく一番たちの悪い『赤帽子』と呼ばれるものだ。

確か、人間を殺した血で自分の帽子を赤く染めて喜ぶとか……。


ううう、最悪だ。

趣味悪い。

気持ち悪い。

吐き気がしてくるね。


オレは思わず口を抑える。



「おい和真!ふざけてないで真面目にやれよ!?今回の敵はマジでヤバい!!この人数に『赤帽子』だぞ!?」


「ああ、分かってる!オレだってまだ死にたくはないからな!!」



オレは朔哉の方へと目をやる。

朔哉も『赤帽子』と戦っている最中だった。

朔哉はなるべく敵から距離をとると、手榴弾を投げつけて、自らの耳を塞いだ。


こうしないと、鼓膜が破れてしまうからだ。

朔哉の方に集中がいっていたオレは目の前の敵に気づけなかった。



スッ!!!!



刹那、オレの頬を鋭い痛みが襲う。

一瞬オレは何が起きたか理解できなかった。

ふと前を向くと、『赤帽子』が、してやった、といったような顔でオレを見ていた。

ツゥー…とオレの頬に真っ赤な血が伝う。

『赤帽子』は自分のナイフを口元まで持っていき、

付着したオレの血液を舐めた。



「……ウワォ、悪趣味…」


「お前ら人間ほどではないぜ」



オレが言ったのは、そういう悪趣味じゃないんだけどな……。

他人の流した血、しかも男の血を舐める、その変質者てきな行動に驚いただけなんだけどなぁ…。


けどオレはそんなコトはもちろん口には出さずに、『赤帽子』へと、小太刀を構えつつ、突っ込んで行った。

勝てる確率はかなり高い。

大体75〜85%か。

ま、それはオレが優秀だから?

ってのはウソで、ただ単に、『赤帽子』の人数が少ないからだ。

というのも、妖怪側はどういうわけだか、オレらVS赤帽子の戦いを見たいようだ。

何を考えているのかはしらんが、オレらには敵の数を減らせる絶好のチャンス。

オレはまずは相手の実力を計ろうと、大体50%の速さで『赤帽子』に切りかかった。

オレは自慢ではないが、この隊で一番足が速い。

もし、今現在に戦争が起こっていなかったら、オリンピックに出られるぐらいのスピードだ。

そのくらいでないと、オレらみたいな子供は生き残れなかったからだ。




オレは死ねなかった。



死ねない理由があった。



だから、だからオレは……。



絶対に負けらんないんだよ!!



『赤帽子』のわき腹を小太刀で切り裂く。

否、切り裂いた“つもり”だった。



「その程度か?情けねえなぁ、人間は」



『赤帽子』は吐き捨てるように言った。

この『赤帽子』、ある程度はできるようだ。

このオレの小太刀を避けるなんて…。



「その程度…な訳ねーだろーがよ!!」



次は全力で行く!!


オレはもう一度、『赤帽子』に向かって突っ込む。

そして『赤帽子』の目の前で空高くジャンプし、脳天から『赤帽子』をたたっきろうとする。



けれど……。



オレは『赤帽子』の横に振られた腕に当たり、地面に叩きつけられた。



「ガハッ!!!!」




痛い。




苦しい。




どうして、避けられた?




な、んで……。




今まで避けられた事なんてなかったのに。




「本当にこれだけなのかぁ、人間」



なんだ、


その余裕は…。




全く、オレなんか大した事ないみたいに。



もしかして……




妖怪側の他の連中が襲ってこないのは、たった八体の『赤帽子』でオレらを殺せる自信があったから…?




怖い。




こんなに苦戦してるのはオレだけなのか?



誰か、助けて。




コイツは、オレじゃ殺せないよ…。




助けを求め、仲間の方へと視線を向けるが、そこはまさに地獄絵図だった。



朔哉は体中に切り傷を負い、ハァハァと肩で息をしながら一体の『赤帽子』と戦っている。



隊長は三体の『赤帽子』と刀で対峙している。

相当キツそうだ。


そんな隊長の真後ろで背中を互いに預けるようにして戦っているのが副隊長。

隊長を襲っている奴らを何とか倒そうとしている。



そして時さんは時さんで、一人で三体の『赤帽子』と対峙している。

あぁ、もうダメだ。

足の骨が折れて立ち上がれない。

オレは、死ぬんだ。

『赤帽子』のナイフがオレに向かって振り落とされたー…。




続く。



次回、和真はどうなるのか!?です。

ぜひ見てください。

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