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030 だっろう!?

これで30話(実際は32話)だけど今日までは二話投稿しま~~。


明日からは一日一話(12時)投稿!

「はっはっは、ハクの嬢ちゃんは才能ねぇなぁ~」

「ぐ、ぐぬぬ! きっとそんな事は無いはずじゃ、練習量が足りぬだけなのじゃ!」

「クゥ~ン……」


 装備の依頼をしてから三日後、俺は今装備を受け取りに『KANASHIKI工房』に来ている。この三日間は予定通りゆっくり過ごした。折角装備を新しくするので、本格的に活動を開始するのはそれからで良いだろうと思ったのだ。そもそもずっとログインしている訳でも無いので、現実(リアル)で過ごす内に半分位の時間は経過している。


 とはいえ何もしなかった訳では無い。町の傍にある小鬼の森に行って、まず仲間になってくれたシロの能力の確認や、シロを仲間にする事で出来る様になった『憑依術』について検証をしたのだ。とはいえ黄昏の神殿の様にSPMPが無尽蔵に使える訳でも無く、敵との遭遇率も聞いていた通り5分に一回程度だった為程々に検証しただけだ。出て来たゴブリン共が弱過ぎて、直ぐに戦闘が終わってしまうのも要因の一つだ。


 その際、初戦では以前追われたゴブリンに少し怯えていたシロだったが、シロも直ぐに怯える必要が無い事を理解し、気負う事無く立ち向かえていた。怯えるシロも可愛かったので少し残念である。尻尾フリフリ。


 一通り試した後は、ゴブリン相手では大した検証も出来そうに無かったのでさっさと切り上げ、シロの為に『フェリアの実』を確保する為、狼の森に再度訪れた。見付けた実は片っ端から回収していたので、幾つか確保する事が出来、一つはシロにあげた。それをシロは尻尾をブンブンと振りながら嬉しそうにハグハグ食べていたので、俺は定期的に来ようと固く決意する。尻尾ブンブン。


 また『ポポルの実』を大量に獲得する事も出来たが、正直今の所使い道が無いのでインベントリに死蔵されている。折角大量に持っているので何となくそのままにしてるが、いっそ店売りにでもしようかと考え中だ。何とか加工して、ポーションの代わりにならないだろうか。


 因みに、回収する際には動きが(なま)らない様に、俺は性懲りも無くアクロバットに挑戦している。レベルが上がった事で俊敏が上がり、動きは更に洗練されていった。森を飛び回る俺の様子を、シロはキラキラとした目で尻尾をブンブンと振りながら見上げていたので、それを見て調子に乗った俺の動きは更に加速してく。


 お母ちゃんの恰好良い所見ててね! シロ! 尻尾ブンブン♪


 それとホワイトウルフにも何匹か再会した。半分位は初見の個体だったらしく、称号のお陰で最早唸られる事も無かったので軽く挨拶して別れたのだが、以前テイムを試みた個体は俺を見付けると尻尾を振りながら駆け寄って来た。


 俺は遂に! 親殺しの誤解を解く事に成功したのだ!! 尻尾ブンブン!!!


 シロとの相性も良く、お互いに尻尾を振りながら鼻を近付け挨拶していた。折角だからと彼等にポポルの実を渡し、彼等を連れ歩きながら森を散策する。ふとシロと契約したあの広場はどうなっているだろう、と思ったので俺は狼達を連れそのまま見に行く事にした。


 道からもかなり外れた、森の奥にあるその広場は変わらずそこに在った。イベント専用空間かとも思ったがそうでもないらしい。中心には変わらずに実が大量に生った大樹も有ったので、ついでだからと実を回収する。お陰でそこだけでも、ポポルの実50個近くとフェリアの実も五個手に入ったので、ここに来るだけでもシロにあげる分は確保出来そうだとほくそ笑む。


 それにここは視界は開けていて喧騒なども無く、風も穏やかで日差しも心地良い。中心には大樹の木陰もあって、お昼寝には最適の場所だ。俺は誰かに見付かるまではここを俺達の秘密基地にしようと思い、折角なのでシロとホワイトウルフ達と共にお昼寝をする事にした。


 俺は革の胸当てを装備から外し、シロを胸に抱えて仰向けに寝転がる。シロはもぞもぞと動き体勢を整え、ハクちゃんの控え目な胸を枕に此方を見上げる様な形でペソリと寝転がっていた。シロ可愛い!♪ 尻尾ブンブン♪


 俺は余りにシロが可愛かったので、そのまま胸の上でシロの顔をもみくちゃにする。シロはそれを抵抗する事なく受け入れ、『ハッハ♪』と呼吸荒く尻尾を振り乱していた。その様子を狼達も寝そべりながら、尻尾を振り眺めていた。その時その場では、大小様々だがお揃いの白い尻尾があちこちで振り乱れていたのだ。ここがこの世の楽園か!


 そんな風に三日間は穏やかに過ごし、やっと初心者装備から抜けられる~♪ と気分高く店のドアを潜った俺に、テッシンは申し訳無さそうに頭を軽く下げた。残念な事にまだ出来ていなかったのだ。奥さんが随分と熱中していた様で時間が掛かっており、今は最後の仕上げに入っているらしい。


 それ程長くは掛からないなら、と店内を物色しながら待っていたのだが、それを申し訳なく思ったのかテッシンから『折角なら撃ってくか?』との素敵な提案を頂いた。俺達はその提案に目を輝かせながら、一も二も無く受け入れたのだ。


 カウンター横には黒い重厚な扉があり、そこを潜れば小さな廊下の様な細長い部屋になっていた。全体的に黒いブロックで作られた壁をしていて、酷く静かな部屋だ。そこは防音室になっているらしく、ここでならどれだけ発砲しても外に音が漏れる事は無いとの事。無駄に広くしたり装飾で飾ったりする事のない武骨なこの部屋は、やはりプロとしての拘りを感じる作りになっていた。


 やっぱりいいな~このお店! 尻尾ブンブン。


 銃の扱いをテッシンから教わり、シロをテッシンに預けてから俺は意気揚々とハンドガンの試射を行った。だがそれが的に掠る事は無く、俺の撃った弾は側面の壁に向かい、壁の少し手前で光る波紋を残しながら、奥へと向かって各地で光の花を咲かせる様に跳弾した後、最奥でポリゴンとなって儚く消えてしまった。どうやらこの部屋には何か魔法的な処理も施されていた様だ。


 安心だね! ちくしょう!


「…………」

「…………」

「ワフゥ……」


 余りに見事な的外れっぷりに、テッシンが一歩下がり何も言わずに此方を見遣る。なおテッシンは腕を組み、シロはテッシンの肩の上から此方を見ていた。視線を後頭部に感じながらも、俺はそれを努めて気付かない振りでやり過ごした。だがシロの悲しそうな鳴き声だけは無視する事が出来なかった。……クソぅ。尻尾しょぼ~ん。


 テッシンからは1マガジン分は撃って良いと言われていたので、そのまま残りも撃ち続けるが、それは壁際に美しい光の波紋を咲かせるばかりで、最後の最後で跳弾した弾の一発が偶然、端っこの方に穴を開けていた。その結果が冒頭のあれである。テッシンはもう開き直って笑ってやがった。


 おにょれ! 尻尾ビッタンビッタン!


 それを受け、俺は銃を机にダン!と置き、左手の人差し指を的へと向け、意識を高める。


「ええい! こんな物いるかぁ! ワシにはこれがあるんじゃ!」

「おい待て何する気」

「ワフ!♪ワフ!♪」


 俺がする事に気付いたシロが楽しそうに吠えるのを聞きながら、俺は指に意識を集中させ、無詠唱で凝縮したアイスランスを撃ちだす。それは先程撃った銃弾と同じ形と大きさをしており、しかし速度と硬度は先程まで撃っていた銃弾とは比較にならない。ここは飽く迄もゲームの中なので、初期の銃では威力も低く、またスキルを持たない俺の撃つ銃では全く威力が出ないのだ。


 その魔法は、然程時間を置かずに連続して発砲された。それらは的の中心を穿ち、奥の壁にぶつかっては光の花を咲かせ、破裂音を響かせながらキラキラとした氷片を辺りに撒き散らした。俺はその結果に満足して、腰に両手を当て胸を張り、尻尾を振りながらドヤ顔を晒す。


「ふははー!♪ どうじゃー!♪ ワシに掛かればこんなもんじゃーー!♪」

「いや、どうだじゃねぇよ……。一言言えよな……ったく」

「キャン!♪キャン!♪」


 俺のドヤ顔の宣言に、テッシンは呆れ顔で言葉を返しながら施設を操作し的を手繰り寄せる。的には端っこに一発の弾痕があり、中心当りには派手に穴が開き僅かに冷気を帯びていた。それを見ながらテッシンは言葉を漏らす。シロは氷片を追い掛ける様に見ていて楽し気だ! 尻尾ブンブン。


「にしてもすげーな、殆ど真ん中に当たってんじゃねーか。しかも今の無詠唱だろ? 一期組でも最近出来る奴が出始めてる技術なのに、もう出来るなんざハクの嬢ちゃんは噂以上だな」

「あ……、う、うむ。ワシは凄いからの! あ~、出来れば今のはぁ」


 やっべ、ついムキになってやってしまった。テッシンに対して多少気が緩んでいたのも有るが、初めて銃を撃った事で興奮してしまったのだ。俺がどうするかとしどろもどろしていると、テッシンは解っているとばかりに右手を振りながら言葉を放つ。


「言わねぇ言わねぇ。客の情報は死んでもバラさねぇって」

「うむ! お主であればそう言うであろうと思って使ったのじゃからな! 当然じゃな!♪」

「ワフ!♪ワフ!♪」


 俺が『解っててやりました!』という風に言い切れば、シロは『そうだよね!』と言わんばかりに吠えていた。ちょっとシロがチョロすぎてお母さんは心配である。でも可愛いからよし! 尻尾ブンブン!


「調子良いぜ……ったくよ。ハクの嬢ちゃんに銃は必要ねぇな。これだけやれるのなんざ、姐さんくらいなもんだぜ」

「うむ? 姐さんとは……この間の紅い女性の事かの?」


 呆れながら付け加えたテッシンの言葉に、俺は先日出会った紅い髪の鬼人女性の事かと聞き返す。そうすれば、彼は途端に興奮する様に話し始めた。


「ああ、そうだぜ。姐さんの腕は神懸ってるからよぉ、見るか!?」

「いやお主、何かは知らんが客の情報はバラさんのでは無かったのか?」


「姐さんの腕の良さは一期組じゃ有名だからなぁ、直ぐバレるだろ!」

「……お主、……単に見せたいだけじゃろ」


「大丈夫大丈夫! この位姐さんは気にしねぇから!」

「……まぁ、そこまで言うのなら、見せて貰う事にしようかのう」

「ワフ!ワフ!」


 随分と興奮する彼に客の情報をバラすのかと問うたが、それでも彼は興奮しながら話しを続けようとする。その様子に俺もつい興味を持ってしまい、結局は見せて貰う事にした。シロも彼女の事を覚えていて興味が有る様だ。


 俺が見たいと言えば、待ってましたとばかりに彼はシロを俺に返し、傍の棚から一枚の紙を取り出した。俺はシロを頭に乗せながらそれを待つ。彼が持って来た物は、先程俺が試射する時に使った的と同じ代物だった。だがそこには俺の的とは違って、ド真ん中に綺麗な穴が一つ空いているだけだった。確かに凄いが、偶然と言われれば十分納得出来る代物が出て来た事で、俺は彼に疑問を呈す。


「ほほ~、綺麗に真ん中に穴が空いとるの~。じゃが、これならそこまで珍しくも無いのではないかの? ある程度腕が有れば、最初の一発がたまたま上手くいく事もあるじゃろうて」

「ちっちっち、あめぇ~なハクの嬢ちゃん。この穴とそっちの穴を良く見比べてみな、因みに撃った弾は同じ弾だぜ」


 そう言われ、俺は自分の的に偶々空いた唯一の弾痕と、差し出された紙の弾痕を見比べる。それらを見比べてみれば、俺の方に比べ、彼女が空けたとされる弾痕は僅かに大きく、ほんの少し歪な形をしていた。テッシンの興奮とその跡が示す一つの答え、それに辿り着きながらも、俺は直ぐには信じる事が出来ず、彼に尋ねる。


「は? ……いや、まさか、……そんな筈無いじゃろ。…………マジか、……マジなんじゃな? これは」

「大マジだぜ。姐さんは碌に狙いもしないままそれをやったんだぜ? しかも間でリロード挟んでもその結果だ! 痺れんだろマジで!」


 自分の予測すら信じられなかった俺に、彼は更に驚きの事実を追加する。今撃ったハンドガンのマガジンは8発、見れば跡にはそれ以上の痕跡が残っていた。それは彼の言う事が事実で有る事を示している。


「な!? リロードしたのか!? さっきのは確か8発入りじゃったな、ならば16発連続でど真ん中に命中させたと言うのか!?」

「そうだぜ! しかも一瞬だ! この部屋に来て5~6秒の出来事でよ! 俺は一瞬何が起きたのか解んなかったぜ! 更に言えば!! 彼女は器用さに一切振ってないらしいんだぜ!?『訓練にならないからね』だってよ! 信じられるか!? でも事実なんだよ! じゃないと彼女のプレイスタイルに説明が付かないからな! つまりあれは! 彼女の純粋な実力だって事なんだ! 俺はつい店に飾らせて欲しいって頼み込んじまったね! そしたら俺に何て言ったと思う?『別に構わないよ』だってよ! くぅ~~~マジ姐さんかっけぇよな! ハクの嬢ちゃんもそう思うだろう!? なぁ!」


「お、おう。それは確かに格好良いの『だっろう!?』う、うむ。解ったから、少し落ち着かぬか? テッシンよ」

「キャン!♪キャン!♪」


 長い長い長い。そしてめっちゃ早口だ。『だっろう!?』じゃないんだよ。その姿は正に推しについて熱く語るファンの如く熱かった。いや、暑苦しかった。しかもこいつ、しれっと客の情報を暴露している。『器用さに振ってないらしいZE☆』じゃねーよ馬鹿野郎。彼女の真似が無駄に上手かったのも微妙に腹が立つしな。


 ……ホントにこいつは信頼して良いのだろうか? ちょっと迷いが出るが……多分あの紅い彼女の時だけだろう。多分メイビーきっと……、まぁもう手遅れだな、忘れよう。シロはテッシンの興奮する様子が楽しいのか、彼を見て楽しそうに吠えている。


 だが、彼が言った情報は忘れられない内容だった。あの紅い彼女はこの驚異の結果を出すのに時間を必要としなかったらしい。仮に時間を掛けたって同じ事を現実に出来る人はそう居ないだろう。というか居ないのでは? そこはゲームだからか。それにしたって、彼が言う様に彼女の実力は神憑り的だ。銃好きのテッシンが興奮するのも頷ける物だった。


 1マガジン分を撃ち切るだけでも撃った際の反動と、その後の薬莢排出と次弾装填の動作であるブローバックで照準はブレる。狙った場所に当て続けるだけでも至難の業だ。そこから更にマガジンを入れ替えるリロードする時のブレが起きた後でも、同じ結果を出したという事だ。


 彼女が器用さに極振りしているのなら説明は付くが、それも違うらしい。確認する事も出来ないが、彼女のゲーム目的が『射撃の訓練』、なのであれば器用さには振らないだろう。軍人なのか? 警官もあり得るし、傭兵って事もあるかも知れない。まさかリアルでもシスターで、教会にやって来た不届き者の眉間にぶち込むんだろうか……、ちょっと見たいな。尻尾ゆらゆら。


 そして、それだけの事をした彼女の反応は実に淡泊だ。前回会った時にも思ったが随分と男気のある人に思える。テッシンが姐さんと言っているのもそういう事なのだろう。前回無理を言ってでもフレンドになるべきだったか? いや、それだと只のテッシン(ファン)だな。彼女とは出来れば対等な付き合いをしたい。我慢我慢……。


 俺がテッシンの話しに考え込んでいると、彼は落ち着きを取り戻した様だ。


「おっとワリィ、あの時の事になるとついつい興奮しちまってよ。俺はあれ以来姐さんの大ファンなんだよ! 姐さんの仕事だったら金払ってでもやりたいぜ!!」

「うむ、お主ら似た者夫婦なんじゃな、仲が良い筈じゃわい」

「キャン!♪キャン!♪」


 いや、まだ興奮してたわ。前回ミコトが俺に似た様な事を言っていたので、鉄敷(かなしき)夫妻は性格が似ているのだろう。悲しき(さが)である。シロも俺の考えに同意している様で実に楽しそうだ。


 テッシンが興奮しながら話していると、装備が完成したのかミコトがドアを開いて入って来た。ミコトはテッシンの様子を見て呆れながら彼に話し掛ける。


「……何興奮してんのよ、シン」

「おうミコト! 嬢ちゃんの装備は出来たのか?」


「うん! 出来たよ! お待たせハクちゃん! シロちゃん!♪ 最っっ高の装備が出来たよ!♪」

「おお~、遂に出来たのじゃな! 感謝するぞミコト!」

「待ちくたびれたぜ」

「キャン!♪キャン!♪」


 テッシンが問い掛ければ、今度は彼女が興奮しながら話し掛けて来た。やっぱ似た者夫婦だわ。


 だが彼女の様子に、俺も待ち望んだ装備の出来が良くなりそうな期待を感じ、興奮しながら返す。それに釣られる様にシロも興奮し始めた。そして彼女は相変わらずシロに対しての方がテンションが高い。


 俺のファンだったのでは? シロ可愛いから! シカタナイヨネ! ……しょぼ~ん。


「それじゃ、早速だけど奥に来て!」

「うむ! 行くとしよう!」

「ワフ!ワフ!」

「お~、俺は店に居るわ~」


 彼女の言葉を受け、俺達は昨日と同じ様に男のテッシンをその場に残し、奥の作業場へと歩を進めた。そこには前回とは違い、色々な物が雑多に積まれていた。恐らく夫婦が使う共通の素材何かを、どちらも使える様にインベントリに仕舞わず置いてあるのだろう。


「これだよ!」


 そして同じ様に、前回は無かった物が目の前にある。彼女が手で指し示す先に有ったそれは、光沢の有る赤い布で隠す様に覆われ立っていた。それが自分の新しい装備である事に気付き、俺達は期待に胸を躍らせ、尻尾を振りながらミコトのお披露目を待つ。俺達のリアクションに、ミコトも満足気な様子だ。


「おお~♪ 早く見せておくれ! ミコト殿!」

「どうしよっかなぁ~♪」

「キャン!♪キャン!♪」


 ミコトが少し焦らして来るが、それだけ思い入れが有るのだろう。幾ら俺が依頼した物であっても、彼女を無視して勝手に剥ぎ取り見るなど言語道断だ。やはり時間を掛けて作ってくれた製作者にこそ、その手柄を譲るべきだろう。シロも『早く早く!♪』という様に楽し気に吠えている。シロの反応に満足したミコトはその赤い布に近付くと、布を言葉と共に大袈裟な動作で、扇ぐ様に剥ぎ取った。


「ふっふっふ~♪ それではお披露目です! これが新しいハクちゃんの装備だよ!」

オ「ばっさぁ~♪」

ハ「おお~~!♪」

シ「ワフゥ~!♪」

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