027 馬の耳再び
怪しげな情報屋が現れた!
どうする?
戦う (首を刎ねる)
必殺技(冤罪をでっち上げる)
逃げる(奇声を上げながら)
→……
「お久しぶりで御座います、ハク様。随分と見掛けておりませんでしたが、無事に目的のモンスターをテイム出来た様で、おめでとう御座います」
「なんじゃ、オロバスではないか。うむ、お主のお陰で無事、この子と縁を結ぶ事が出来た。礼を言うぞ」
「ワフ!ワフ!」
そこに居たのは、胡散臭い情報屋のオロバスだった。
礼は言うが感謝はしてないぞ! 前回揶揄われたからな!
彼は此方にニコニコと笑顔を向けているが、やはり何とも胡散臭い。シロも彼を警戒しているのか、少し威嚇する様に吠えている。うむうむ、シロも怪しいと思うじゃろ~♪
「お客様のお役に立てた様で何よりで御座います。それにしても子供の狼ですか……。随分と珍しい個体と契約出来たのですね?」
「うむうむ、この子と出会えたのは実に運が良かった。可愛い子じゃろう~?♪ やらんゾ」
「ワフ!♪ワフ!♪」
オロバスは探る様に聞いて来るが、答える気は無い。その意図を込めて『やらん』と言えば、シロはそれに嬉しそうに尻尾を振りながら吠えていた。可愛かったので俺はシロを抱えて撫で回す。
シロはずっとウチの子じゃよ~♪ 尻尾ブンブン♪
「ふふ、随分と大事にされているのですね。奪おうなどとは考えては居りませんよ。少し気になっただけですので、御気に為さらないで下さい」
「それならばよい。まぁ、ワシも本気では言っておらんよ」
「ワフ!ワフ!」
俺達に警戒されている事に気付いたのか、彼は素知らぬ顔をして気にするなと言う。少し気になったなんて言っているが、本当はきっと珍しいシロの話を物凄く聞きたい筈だ。今は時間を掛けるべきと判断して誤魔化したのだろう。
精霊の事が有るので余り彼には会いたくは無かったのだが……、会ってしまっては仕方ない。シロは『嘘だぞ!』と言う様にオロバスに向けて吠えている。お前もそう思うよな~。
何とかしてシロの情報を守らねば! お母ちゃん、頑張るからね! シロ!
シロを撫でつつそんな事を考えていると、そういえばオロバスには刺客を差し向けられた借りを返そうと考えていた事を思い出す。ゼンの事について、何も無い時に文句を言っても笑って流されそうだが、今俺には未発見の特殊イベントという知りたがり垂涎のネタが有る。この餌を適当にぶら下げて見せ、引っ込めれてやれば良い意趣返しになると考えていたのだ。オロバスなら絶対に聞きたがる情報だろう。そもそも、それを探りに俺に会いに来た可能性もある。
最悪バレてしまっても仕方ないとは思うのだが、自分の有利を手放したくないのと同時に、この子との思い出を他人に汚されたくないのだ。ぶっちゃけ、他の奴らがシロと似た子を連れているのを見たくない。彼にバレれば情報が拡散する恐れがあるからな。
最悪、イベント発生の鍵となる『狼の知人』の称号取得条件は死守せねば!
俺が決意を新たにしていると、俺達の様子を眺めていた彼は胡散臭く微笑みながら話しを続ける。一瞬シロに視線を向け、彼は何でも無い世間話でもする様に聞いて来た。
「それにしても、広場では随分と暴れていらっしゃったと聞きしましたよ?」
広場で……、ねぇ~。
今日俺は広場で氷結魔法を使っている。マジ男を水路に落としてから、広場に背を向けた状態で使ったので余り周りからは見えていない筈だが……。まぁ、水路を凍ったまま流れるマジ男は目撃されてるだろうし、氷結魔法が使われた事は判明している筈だ。俺が氷結魔法を持っていると思い探っているのだろう。
「ワシは別に暴れてはおらんよ、アホ共を蹴っとるだけじゃ」
「……それでも十分かとは思いますが」
「はっはっは♪あんなのは暴れとる内に入らんよ」
「ワフ!♪ワフ!♪」
オロバスの話しに俺も素知らぬ顔をして適当に返す。彼は少し呆れた顔を見せて言葉を返してきた。あんなの迷惑なナンパ野郎をちょっと蹴っただけだ。実際ダメージは無かったし、衛兵にも何も言われてはいない。シロは『あれ、面白かった!♪』という様に尻尾を振りながら吠えている。少々気まずかったので、シロを頭の上に戻し俺も話題を変える事にする。
「それにしても、こんな所で奇遇じゃのう~。お主は王都が拠点ではなかったか?」
「私は露店の情報を仕入れる為に、たまたま来ているだけですよ。普段は王都に居るのですが、今は二期組が開始したばかりですからね。ハルリアでは二期組についての情報収集と、我がクランの広報活動をしております。グーゲイルもまた黄昏の神殿で暴れていた様ですし、今ハルリアは中々に面白い場所ですね」
オロバスは偶然だと言うが、どうにも胡散臭い。それに二期組の情報収集と広報活動をしている様だが……。ほんとかぁ~? 俺もその二期組なんだがぁ?
態々、二期組に情報収集と言う辺り、此方の反応を見て楽しんでいる気がするな。グーゲイルと言われて一瞬解らなかったが、グー助がまた暴れていた事についても既に知っている様だ。それとあの神殿は黄昏の神殿らしい、嘆きの神殿ではなかったのか。尻尾フリフリ。
そこで俺はふと違和感を感じたが、その違和感は直ぐに意識の底へと沈み行き結局はっきりとは判らなかった。まぁ、大した事でもないかと続きを考える。あの場に居た新人から聞いたのだろうが、馬の耳の癖に随分と耳の速い事だ。これも態々口にした当り、俺がその場に居た事も勘付き探っているのだろう。それに俺はレベル上げの為に、あそこでは普通に氷結魔法を使っていた。ちょっと軽率だったかな? まぁ仕方ないか。
新人達ではその異常性に気付けなかっただろうが、オロバスなら気付くだろう。確定だな、こいつはもう俺が氷結魔法を持ってる事を知っている。態々認める必要も無いので、取り敢えずは知らん振りして誤魔化しておくか。俺は素知らぬ顔をしてオロバスの話しに返す。尻尾フリフリ。
「ほほ~、そうなんじゃな。グー助も学習せん迷惑な奴じゃて」
「キャン!♪キャン!♪」
「……それで、ハク様は何をなさって御出でなのですか?」
……俺は素知らぬ顔して答えたが、ウチの可愛いシロが『ボク! そいつ知ってるよ!♪』と言わんばかりにグー助の名前に反応し、俺の頭の上で前足をピーンと突っ張り、尻尾を振りながらアピールをしてる。……可愛いけど、ちょっと黙ってようね~シロ。
オロバスは、俺がグー助と言った事に一瞬、反応を見せたが直ぐに取り繕い、微笑みを崩さぬままシロを観察する様に眺めた後、俺の後方にも目をやる。
キャーどこ見てんのヨ! 女の子のお尻を見る何て! オロバスさんのえっち!
……隠し事出来んわ、これ。
オロバスは恐らく氷結魔法について確信を得ただろうが、その事についてはこれ以上聞く気は無い様だ。こいつなら直ぐに色々と聞いてきそうだが……、意外だったな。他に優先したい事でもあるのか? まぁ、シロの事をもっと探りたいんだろうなぁ~。
というよりも、一連の情報を関連付けて俺が特殊イベントを踏んだと予想しているのだろう。
大正解だよクソが! 唐突に切れ散らかして逃げようかな?
……駄目だな、それだと負けた気がする。それにこいつだとどこまでも追って来そうだ。情報収集していると堂々と宣う奴に、余り此方の事を言いたくも無いが、まぁ装備を探しているのは別に隠す事でも無いだろう。隠しても無駄だろうしな。
「ワシか? ワシは見ての通り、まだ装備を整えておらんでな。今は何か無いか、探しておる所じゃよ」
「成程、左様で御座いましたか。……ふむ、……もしお金に余裕がお有りでしたら、オーダーメイドにしては如何ですか? 丁度、近くに評判の工房が御座いますよ。紹介致しましょうか?」
オロバスは俺の言葉を受け、全身を嘗め回す様に下卑た視線で此方を見る。
あ、やべ、きゃーえっち! どこ見てんのよブッコロスゾ!
……まぁ、冗談だが。彼は俺の靴を見て一瞬視線を止めたのだ。靴は氷精狼のブーツに替えたままだった為、見事にオロバスに余計な情報を与えてしまった。
レアリティの高い装備なので、これが何かまでは分らなかったかもしれないが、珍しい装備である事には変わりないからな。まぁ、一々替えるのも面倒だし、バレたなら気にしなくて良くなるから別に良いか、割り切ろう。情報持ってる奴は些細な事で色々と気付くから面倒だなぁ。尻尾ゆらゆら。
その後、彼は一瞬考える素振りを見せ。一度靴を見た後、探る様な視線で此方にオーダーメイドを提案してくる。俺がこの靴を手に入れるにあたって、金を払って手に入れたのでは無く何かのイベントで入手したのであれば、金を持ってる可能性が高いからかな? オーダーメイドだと、料金は当然高くなってくるからな。
金を出して無理して買ったのであれば、俺の他の装備が初心者装備のままな事に説明が付くし、その場合オーダーメイド出来る程の金は残っていない。だが金を持っているのであれば靴は何かのイベントで手に入れたのだ、と当りを付ける為に探りを入れて来たのだろう。始めて一週間の新人が、幾つも見付かっていないイベントを踏むとは思えない。踏んだとしても恐らく一つだろう、そう考えればシロや氷結魔法とも繋がって来るからなぁ。面倒な奴だな~全く。尻尾フリフリ。
というか、『丁度近くに評判の~』とか胡散臭過ぎて行く気にならない。
どうせお前その店に一枚嚙んでんだろうがオラァ! キリキリ吐かんかいワレェ!
少し情報を整理しよう。
彼は俺が狼の森に行く事を知っている。そして、俺は狼の森で他のプレイヤーにも何度か会っているので、一週間近く森に居た事は恐らくバレているだろう。だがそもそもあの広大な森でプレイヤーとの遭遇率はそれ程高く無く、白い狼との遭遇シーンを最初から最後まで見られていた事は無い。一度、テイムに失敗して嘆いている時に横を擦れ違ったグループが居ただけだ。だから俺がテイムに挑戦している事は知っていても、狼達と戦っていない事は知らない筈なのだ。
自分で言うのも何だが、俺の暴れっぷりを知っているオロバスが、俺が一週間も森に居てまさか一匹もモンスターを倒さない所か戦ってすらいない、という狂人プレイをしてるとは普通考えない筈だ。居場所をバラされた事でオロバスを良く思っていない俺の情報をゼン達が売るとも思えないし、俺がレベル1だった事を彼は知らず、俺が神殿に現れた時は既にレベルが上がった後。
テイムに一週間掛かっている事から、俺の幸運値が低い事も予測が付くだろう。オトネの話しから、幸運値が1だと殆どテイムは出来ないのだから。そしてそれらを踏まえて今彼は、俺が一週間狼達を倒し続けたと考えて居るんじゃないだろうか?
その結果、特殊イベントを踏んだのだと。
そうして、シロと氷結魔法と靴を手に入れたのだ……と。
シロについてはまだ精霊だとはバレていない筈だ。シロは神殿では流石に戦わせていない。現状漏れている情報ではただの可愛い子犬様だ。だが精霊と憑依術の魂の盟約を使って契約する事で、上位スキルが取れる事は知られているだろう。
前線では精霊が確認されているらしい、であれば試した奴は居た筈だ。そこまで行く頃には戦闘スタイルも決まっているだろうが、試したくはなるだろう。精霊を身に宿して強化! とか絶対楽しい。そうなると、不確定では有るがシロが精霊で有る事も考慮している筈だ。
となると、彼が今知りたいのは、シロの正体と特殊イベントの詳細だ。発生条件に、狼を倒す以外に何か特殊な事をしていないかどうか、それとイベントの内容、そこを知りたいんだな。
知りたがりの彼は今、情報を吊り上げようと必死で釣り針を俺に対して垂らしている事になる。これを利用しない手は無いだろう。今ゼンの事を出して話しを打ち切り、釣り人を悔しがらせる事も出来るが、やはり一番悔しいのは掛かったと思った瞬間に情報に逃げられる事だ。
今度こそ俺は、完膚なきまでに情報屋に勝つのだ! 尻尾フリフリ!
俺は方針を決め、敢えてオロバスの策に乗る事にした。彼が行き成りそれらの情報について聞いて来る事は無いだろう、足元を見られる事になるからな。まずは此方に恩を売り、此方が断り難い状況を作ってから情報を仕入れようとする筈だ。その為に今彼は、俺に善意から店の紹介をしているフリをしているのだろう。
それで此方が洗い浚い吐くとも思ってないだろうが、手に入る情報量は圧倒的に増える筈だからな。俺が考えている事を彼に気付かれない様に、俺は敢えてオロバスの注目を引く様に話しながら、オロバスにニヤリと悪そうに笑って見せた。
今俺は又もや性懲りも無く、お前からタダで情報を得ようと企んでいますよ~~。口パクパク。
「ほほう、評判の工房とな。それは助かるが、お主は情報屋であろう? 対価はどうなるかのう~?」
「いえいえ、今回対価は必要御座いませんよ。ハク様には以前、とても面白いお話を聞かせて頂きましたので、この位はサービスとさせて頂きます。それにハク様でしたらきっと、その工房にも直ぐに辿り着いていた事でしょう」
「ハフハフ!」
俺が悪そうな顔をすれば、オロバスは良い顔で微笑み、俺に恩を売る為に此方の表面上の策に乗って来る。馬鹿な客をおだてるするおまけ付きだ。ホント、お前は胡散臭い奴だよオロバス。尻尾フリフリ。
俺の策に気付いているのかシロは今度は大人しく、然れども楽しそうに息を漏らしていた。賢い子じゃの~シロ♪
シロとは魂の繋がりがあるので、もしかしたら伝わっているのかも知れないが……。いや! ウチの子は賢いんデス!!
俺は自分の策が上手く行っている事を願いつつ、オロバスに工房の場所を聞く。俺の尻尾は楽しそうに振られてしまっているが、今回これは、タダで情報が手に入る事で喜んでいる様に見えている事だろう。オロバスの尻尾も、ほくそ笑む様に静かに揺れている。お前感情のコントロール上手いな。ハクちゃんの尻尾は素直なんじゃが? 尻尾フリフリ。
「そうかそうか、では遠慮無く教えて貰うとしようかのう。工房の場所と名前を教えて貰えるじゃろうか?」
「お安い御用で御座います。その工房は――」
俺とオロバスは互いが互いに、策が上手く行っていると思いながら話しを進める。
オロバスは自分が知りたい情報を知る為の前振りとして、
俺はオロバスへの意趣返しをする為の前振りとして。
オロバスは俺に恩を売る為、快く無料で工房の情報を教えてくれた。だがどうせ、こいつは唯では転ばない様に立ち回っている事だろう。違ったらちょっと申し訳無いが、俺はオロバスへの復讐を優先する。互いが策の完成を確信し、話しは最終局面へと進んだ。尻尾フリフリ。
「ふむ、相分かった。情報に感謝するとしよう」
「お役に立てた様で何よりで御座います。そこであれば、可愛い子犬様に似合う装備も見付かる事でしょう。……それで、少し話しは変わるのですが――」
そら来た!
俺は勝利を確信しつつ、今か今かとオロバスの続きの言葉を待つ。
シロの事を『可愛い子犬様』と言った点は高く評価するが、そんなの関係ねぇ!
そんな前振りを入れられた所でシロの事は教えん!
俺はお前への意趣返しを続行するZE!♪
「――ハク様の履いてらっしゃるその靴について伺っ『ではその工房は避けるとしようかのう。』……はい?」
「ハッハッハ!♪」
あれ? シロについて聞いて来ると思っていたが……
思っていたのと違うセリフが聞こえた様な?
まぁいいや。どっちにしろ靴について聞いているのだ。やはり特殊イベントについて探りたいのだろう。教えてやるもんか! 尻尾ブンブン。
オロバスの最後の一手を、俺は自分の一手で遮る。その瞬間、オロバスの胡散臭い笑顔は鳴りを潜め、ポカンとした表情が顔を出した。今回は完全に意表を付けた様だ。プークスクス。
シロは俺の気分に呼応する様に、楽しそうに呼吸を荒くした。
「え? ……あの、それは一体どういう」
俺の言葉の意味が解らなかった様で、オロバスは困惑したまま言葉を発する。なので俺は自分の推測で堂々と返す事にした。ぶっちゃけこれは只の推測で確信は無い。まぁ割と正解だとは思っているが。
この推測が事実ならベストだが、無実でも別に構わない。『俺は確信を持って言ってるんですよ!』とオロバスに解る様に、犯人に推理を披露する探偵の如く堂々と言い切った。ぶっちゃけ唯、難癖付けているだけである。
おうおう、飯に毛が入ってんぞ! 責任者を出せ! 尻尾ブンブン♪
「どうせ、お主とその工房は繋がっておるのじゃろう? ワシと工房の取引内容について、後で根掘り葉掘り聞くつもりなのではないか? その様な店には断じて行く訳にはいかんの~」
「!? い、いえ。……け、決してその様な事は」
「ワフ!♪ワフ!♪」
俺の確信が無いのに確信している様に見える宣言はどうやら図星だったらしく、オロバスは解り易く動揺を見せた。自信無さ気に言われても適当に言い包められるだろうが、相手に確信されていると反論し辛いもんな。だからクレーマーは厄介なのだ!
なので、オロバスが立ち直る前に畳み掛ける事にする。シロも楽しそうだ! 尻尾フリフリ。
「そういえばお主。以前、困っているゼンにワシの居場所について教えてやったらしいのぅ~。ゼンとは無事に出会う事が出来たぞ? 行き成り斬り掛かって来る、実に愉快な奴であったわ! 情報屋が善意で人に情報を流すなど、実に立派な事じゃて。ワシはお主の事を見誤っておった様じゃなぁ~。ハッハッハ♪」
「ハッハッハ!♪」
「!?!?」
HAHHAHHA♪
俺はシロと一緒に勝利の笑い声を漏らした。まぁ、シロは単に口で呼吸しているだけだが。オロバスもまさかゼンがそこまでするとは思っていなかったのか、驚きの表情を見せた後、暫し口を開いたまま動きを止めてしまった。飴ちゃん入れてあげようか? 持ってないけど!
「…………」
「ふっふふ~ん♪♪」
「ハッハハ~フ♪♪」
自身の旗色の悪さに気付いたオロバスは、ただただ押し黙るしか出来なかった。その様子を見て、俺は気分良く鼻を鳴らす。
シロ~性悪情報屋に勝ったよ~♪ シロも嬉しそうだ!♪
敗者が黙ってしまったので仕方なく、勝者は彼に追い打ちを掛ける事にする。尻尾ブンブン♪
「おっと、ワシとした事が人の話しを邪魔してしまった様じゃ♪ 先程は何やら言い掛けておらなんだかぁ~? 善良なるオロバスよ」
「……いえ。大した事では御座いませんでしたので、……御気になさらないで下さい」
「ハッハッハ!♪」
どうやら精霊の情報は大した事では無かった様だ。既に精霊との出会い方について知っているなんて、いや~オロバスの情報網は凄いなぁ~♪ 尻尾ブンブン。
シロも面倒な相手に絡まれずに済んで嬉しそうだ!
俺は情報屋に意趣返しが出来て満足したので、さっさとこの場を去る事にする。オロバスも、今は拙いと思ったのか諦める様だ。HAHHAHHA♪
「うむうむ♪ そうであろうな! じゃが、オーダーメイドはよい案じゃ! ワシは何処か別の工房を探すとしよう。それではまた会おう! 気高きオロバスよ!」
「キャン!♪キャン!♪」
「……はい、……またお会い出来る時を楽しみにしております。……ハク様。シロ様」
勝者のハクちゃんは気分が良いので、最後に少しオロバスに情報を流してからこの場を去った。お前の推測は当たっているぞ、と。
まぁ、彼が知りたい情報からすれば何の意味も無いがな! HAHHAHHA♪
シロはオロバスを励ます様に元気に別れを告げている。俺の言いたい事に気付いたオロバスは、何とも言えない表情をしながら疲れた様子で別れを告げ、最後の最後でミスをする。
お前やっぱシロの事知ってんじゃねーか! 俺はお前にシロの名前を教えてないぞ!
ハ「大勝利じゃ~シロ~♪」
シ「キャンキャ~~ン!♪」




