和解の裏で
このペースで頑張りたいです。
……………………………………
……………………………………ま………
……………お………………さ……ま……!
「王子様!!!!!!」
ノゾムは慌てて飛び起きた。目覚めればそこは機関車の中…そしてそこには心配そうな顔で自分を見つめるユウとヒショ、マールの姿があった。ノゾムは少し乱れた呼吸を整え、寝かされていた長椅子から立ち上がった。すると、自分がいた席と背中合わせになっている席に誰かが寝ていた。
「……バン…」
寝ていたのはバンだった。火山灰で少し汚れた顔のまま、すぅすぅと寝息を立てている。ひとまず、2人で生きて帰れる事が出来た——ノゾムは安堵の表情をうかべた。
…が、ふと窓に移る自分を見るとバンと同じように顔が所々黒く汚れていた。少し恥ずかしそうに汚れた箇所をさすろうとするノゾムに、マールが横からぬるま湯で濡らしたタオルを手渡してきた。
「マールさん…ありがとう」
「いえ!お礼ならヒショさんに言って欲しいッス!あの人、乾いたタオルでせっせとノゾムさんの顔を拭いてたんだけど…」
「『全然汚れが取れなーい!』って、怒りながら濡れタオルを用意してたんですよ!ね?ヒショさん!」
マールとユウから暴露されたヒショは、真っ赤に染る顔を隠そうと窓の外を覗き始めた。しかし、すぐに気づいた。窓に反射して自分の顔の様子はノゾムに丸見えだった。反射で半透明に見える彼の顔は、ニッコリと嬉しそうに微笑んでいた。
「ヒショ……ありがとう!」
「……別に…自分が仕えてる人がホコリまみれとか許せなかっただけですし…」
「あ!出ました!ヒショさんのツンデレ!!」
「もう!素直になればいいのに〜!!」
2人に茶化され、ヒショは鬼の様な形相で彼女達を睨みつける。だが2人にはあまり効いておらず、むしろ顔を見合わせてクスクスと笑っていた。
ようやく、いつもの光景が戻って来た…ノゾムはそう思いながら3人を見ていた。実際に経過した時間はそこまで長くはないが、そう感じてしまう程の激闘だった…ふと、ノゾムの中に一つの疑問が浮かんだ。
(……あれ?俺…どうやってここまで来たんだっけ…?)
ノゾムはやっとハッキリとし始めた頭の中を整理していく。火山の最奥でトラディを撃破し、バンと決着を付けてすぐ自分も意識を失った…どうやってここまで戻って来たのか全く記憶になかったのだ。疑問は全く晴れず、どうしたものかとノゾムは頭を悩ませる。そんな彼の俯いた顔を、マールはとても軽い調子で持ち上げた。彼女の両手で無理やり上げられたノゾムの顔は少し潰され爽やかな顔立ちは台無しに、さらに彼のキョトンとした表情も合わさってマールは思わず笑いそうになる。
「マ、マールさん…?」
「ノゾムさん、どうかしたの?何か…考え事してたみたいッスけど…」
「う、うん…火山の中で、トラディとバンを倒してそのまま気絶しちゃったんだ…だから、どうやってここまで戻ってこれたのか……分かんなくって…」
「…あぁ〜…その事何ですけどぉ…」
ユウが小さく手を挙げて言った。その後ろでヒショが腕を組んで覗き込むように3人を見ている。2人は何か知っているようだった。
「実は、私…火口から出る直前に崖から落ちちゃいまして…」
「え……!?」
「それで、もうダメだぁ!って思った時にこう…羽ばたくような音が聞こえて…」
「羽ばたく…音…?」
「それで…気付いたら王子様達と一緒に火口の入口の前にいたんですよね…」
「………それが、もしかしたらアンタ達を助けたのは『竜騎士』かもしれないって、私は思ってるんですけどね」
ヒショが口を開いた。『竜騎士』…その言葉にノゾムは首を傾け、マールは限界まで目を大きく見開いた。
「竜騎士…?竜に乗った人って事?」
「い…いやいやいや!?竜種はもう絶滅寸前の生物ッスよ!?『生き残っている数は片手で数えられる』って言われているぐらい!」
「…アンタ、竜騎士の事知らないんですか?竜と契約して世界各地で魔王軍と戦ってる奴ですよ。魔王軍にいた時、嫌という程被害報告を聞きましたからね、忘れもしれませんよ」
「私も…というより、みんな竜騎士様のお話は聞いた事あると思いますよ!もし、またお会い出来たならちゃんとお礼を言わないとですね!」
「そ…そうッスか……私…思ったより世間知らずだったんだね……」
マールは自嘲気味の笑顔でしょんぼりと俯いてしまう。どんよりとした暗いオーラが、彼女の背中から見えるようだった。
ノゾムとユウは大慌てでマールを慰め始めたが、ヒショはそんな3人の様子よりも、寝ているバンの方を見ていた。すると、彼の手が少しだけ動いた。ヒショは3人に声を掛ける。その声と同時にバンがゆっくりと体を起こした。
「………ここは…?」
「…………おはよう。体調は…大丈夫そう?」
ノゾムが恐る恐るバンに手を差し出した。彼はバンに拒絶される事を少しだけ怖がっていた…魔王の座を譲れなかったとはいえ、彼の夢を打ち砕いてしまったのだ、バンはまだ納得していないかもしれない…そうなれば、実の兄弟から拒絶されるのでは…想像するだけで手が震えそうになる。
「………あぁ……強いて言うなら…頬がまだヅキヅキしてるよ」
ノゾムの恐れは杞憂に終わった。バンは何の躊躇もなく彼の手を握り立ち上がったのだ。ノゾムの中で一気に安心感が込み上げてきた。もう敵対する理由などない…2人は、太陽のような笑顔で向き合っていた。
「あれなら…大丈夫そうですかね…?」
「……はい、もう心配はいらないと思いますよ…!」
ユウは小声でマールに耳打ちし、彼女は優しく微笑みながら小さく頷いた。
「……それで…これからどうするの?魔王軍に戻るの?」
ノゾムは名残惜しそうに手を離しながら言った。バンは途端に沈鬱な顔になってしまった。いつの間にか、彼は無意識のうちに腰に携えた鞘を握りしめていた。
「………どうする…か。俺はもう…魔王軍に戻れる場所があるのか?何もかもを失った俺に…」
「……じゃあ、一緒に来る?」
ノゾム以外の、その場にいた全員が意表を突かれた表情になった。…当の本人は、皆が驚いた理由が分からず素っ頓狂な顔をしていたが。
「…気持ちは嬉しいが……いくら何でもそこまで…」
「んー、でも他に行く宛てもないんでしょ?」
「そうだが…この島の人間にも危害を加えてしまってるし…そんな事、許されるのか?」
「でも、ヒショだって元々魔王軍にいた訳だし…もう人間に危害を加えないって理解してもらえれば多分大丈夫だよ!ね、みんな?」
ノゾムが突然振り返った。ここで同意を求めてきたか、と3人は再び意表を突かれてしまった。そして…揃いも揃って目が泳いでいた。
「ま、まぁ…私はどっちでも……」
「…わ、私も……どちらでも、大丈夫です…」
「…その……ノゾムさんがそこまで言うなら…どっちでも…」
ノゾムは煮え切らない彼女達の態度にため息をついた。出来れば首を縦に振って欲しかったが…そうでないなら、嫌なら嫌とハッキリと口にして欲しかったのだ。
「………何でそんな微妙な感じなの?」
「…………し、仕方ないじゃないですか!嫌ではないんですもん!」
「…じゃあいいじゃん」
「…でも…この島の人達に被害が出ちゃってるし…バンさんが連れてきたトラディのせいで危うく世界そのものが大変な事になってたかもしれないし…勇者連盟相手に擁護するのも大変だなと思って…」
「…戦力としては申し分ないですけど、2番目…バンの首狙いで戦闘が増えるのはゴメンです」
「2番目って」
ヒショの呼び方にバンは少し不服そうだったが、大体事実なのでそこまで強く出れなかった。敗北した事実を突きつけられ肩を落とすバンを背に、ノゾムは先程よりも大きいため息をついた。まさかここまで反応が悪いとは全く思っていなかった。とはいえ、このまま彼を放っておくなど出来ない…一体、どうすれば。
「…………あ!!そうだ!!!」
ノゾムがぽん、と手を叩いた。
「…どうかしたんです?」
「デカブツさんだよ!あの人の所に行ってもらえばいいんじゃないかな!」
「あぁ…そういえば、アイツがいましたね…すっかり忘れてましたよ」
「デ…デカ……誰だ、それは?」
バンは困惑した様子で尋ねた。マールもイマイチピンときておらず、呆けた顔をしていた。一方でユウはとても複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「オーク族の族長ですよ。デカブツはコイツが付けたあだ名です。まぁ、アレにはピッタリですけどね!」
「オーク族の?そうか…奴も魔王軍を抜けていたんだったな…まだ生きているのか?」
「え?うーん、知らないですけど多分生きてるでしょ、悪運は強いし」
「扱いが雑過ぎないか?」
「…ヒショ、デカブツさんに連絡取れる?」
「下に戻れば連絡は取れると思いますよ」
「何はともあれ、解決しそうで良かったッス!あ、でもバンさん、戻ったらみんなにちゃんと謝るッスよ!大丈夫!私達は味方でいてあげるから!」
「………………ありがとう」
…バンは絞り出すような声でお礼を言いながら長椅子に座る。ノゾムも静かにその隣に座った。少し下を向くバンの顔は申し訳なさと嬉しさで今にもくしゃくしゃになってしまいそうになっていた。
「………良かった。初めて会った時よりもずっと…いい顔になったね」
「そうか…なぁ、あ…兄上」
ノゾム以外には聞こえないような声でそう呼ばれ、驚いたようにバンの方へ振り向いた。そして、彼はすぐに晴れ渡るような笑顔で返事をしたのだった。
「どうしたの?バン!」
——工場エリア、駅前——
町に戻ると、ノゾム達は温かく迎え入れられた。当然、バンがいる事に疑問を呈す者や、怒る者もいた。しかし、彼から素直な謝罪があった事と、ノゾム達が庇った事、そして魔王軍に責任転嫁したヒショの言い訳で、どうにかバンはお咎めなしで済む事になったのだった…
「人間は…俺が思っていたよりも…良い奴らだったんだな」
帰る途中、バンが独り言で呟いた。だが、ノゾムは聞き逃さなかった。グイグイと距離を詰めて満面の笑顔で話し始める。
「うん!この島の人達も…人間って意外といい人も多いんだ!もちろん、勇者ちゃんやマールさんもね?ヒショだって、ぶっきらぼうだけど、本当はすごくいい人なんだ」
「そうなのか…実際に…見てみないと分からないものなんだな」
「…まぁ、勇者ちゃんとヒショは…ちょっと手が出るのが早い気がするけど」
「…それはいい人なのか?」
「あははは……」
ノゾムは気まずそうに目を逸らした。すると、とても気怠そうな様子でヒショがこちらに向かって歩いてきた。
「はぁ…王子〜…2番目〜…」
「ヒショ!連絡ついた!?」
「えぇ…相変わらずデカい声でしたよ。あっちも人手が足りないみたいで…是非来てくれって事でした…」
「そうか、ありがとう…最後まで迷惑かけたな…」
「全くですよ……ま、いいですけどね…この程度の仕事なんて…簡単簡単…」
ヒショがふとノゾムに目をやるととても微笑ましそうにしているのが見えた。彼女は少しイラッとしたが文句よりも疲労が勝り、ため息だけついて彼の隣を歩き始めた。
「…もしかしたら…アンタなら出来るかもしれないな…戦争を終わらせる事が…全部救う事が…さ…」
バンはそう言って笑う。いつの間にか町には夕日が差し掛かり、オレンジ色に照らされた彼の笑顔はとても純粋で清々しいものだった。
「そう言ってくれると…嬉しいな」
「俺も…全力で協力するよ。よろしくな、兄上」
「は?兄上?急に距離詰めすぎでしょ、キモッ」
「ゴハァッ!?」
…温かい光に照らされたバンに、冷たい言葉のナイフが襲いかかったのだった……
……………赤黒く胎動する空間に、豪華に飾られた円卓が置かれていた。円卓に設置された椅子が8つあり、それぞれ『Ⅰ』から『Ⅶ』の文字が刻まれているが、『Ⅴ』が刻まれた椅子だけ2つ存在していた。そして、それらの椅子には既に5人が座っていた。
「…せっかく来てやったのに、遅くない?」
『Ⅴ』の席に座っている女が露骨に苛立った様子で机を何度も指で叩いている。その女の肩には烏が泊まっていた。
「そう言うな『クロウ』…あの方は全ての悪魔の支配者だ。忙しいのも無理はないだろう」
『Ⅴ』の席に座る女…クロウを注意したのはもう一つの『Ⅴ』の席に座っている男…スパイドだった。クロウはスパイドに指摘されると、指を止めて怠そうに背もたれにもたれかかった。
「あらあら…スパイドさんの言う事は素直に聞かれるのですね?普段は誰の言う事も聞かないで、好き勝手に暴れ回られていますのに」
『Ⅰ』の席に座っていた女…ミュイゼンがクロウを煽るように笑った。クロウはまんまと挑発に乗せられ、怒り任せに机を叩いて彼女を睨みつけた。
「な、に、がぁ…言いたいわけ?」
「いえ…随分と仲が良いみたいで…ふふ…とっても羨ましいですね…」
ミュイゼンは笑顔で話してはいたが、その裏には殺意が見え隠れしていた…さらに話をしている時、一瞬だけスパイドを睨んだ瞬間があった。しかし、彼は最初からミュイゼンを少しでも見ないよう視界から彼女を外し続けており、その圧には全く気づいていなかった。
「ちょっとミュイゼン…もしかして嫉妬?ボクの役目に入ってくるのは、ちょっと見過ごせないな〜」
『Ⅲ』と刻まれた席に座る男…スネイグはゆったりとした口調で口を挟む。その刹那、スパイドは凄まじい剣幕で彼に怒りをぶつけた。
「スネイグ!!黙ってろ!!!コイツには勝手に言わせておけ!!!」
「…はいはい…何を怖がってんだか」
スネイグは面倒くさそうに欠伸をかいた後、頬杖をつき始めた。スパイドが少し残った怒りのままに舌打ちをすると、手を叩く音と共に品のない笑い声が聞こえた。
「アッヒャッヒャッヒャッ!!!いいぞいいぞ!!そのまま殴り合え!!!」
「……『ゴーツ』…お前も煽るな」
『Ⅶ』の席に座っていた若い大男…ゴーツは軽くむせ込みながら笑いを止める。彼の足元には山羊が横になって寝ていた。
「えー、何でですかぁ?スパイド先輩?こっからが面白いのに!?」
「……暴力で解決しようだなんて…本当に野蛮な方ですね」
文句を垂れるゴーツをミュイゼンは心底軽蔑したような目で見始める。彼は少しムッとしたように睨み返した。
「………はぁ?先輩…何か文句でもあるんすか?ねぇ?」
「…我々悪魔は人間の上位種…あんな猿共と違って暴力を使わずとも万物を支配できます…なのに貴方ときたら…これではあの下等種達と何ら変わりありませんね…」
「…女のくせに随分見下してくれるじゃねぇか…確かにあんたらの方が先輩だけどよ…実力も成績もあんたらに負ける気なんて全くしねぇな!!」
「……大見得切ったねぇ〜…」
机に足をかけ声を張り上げるゴーツを見ても、スネイグは余裕そうな様子で笑っていた。一方で、ミュイゼンは小馬鹿にするように彼の姿を見上げていた。
「…下品な事……貴方達は皆等しく私以下の…下等だというのに……」
全員の雰囲気が一気に変わる。対抗心を燃やすように、確信を持って『そんな事はありえない』と言いたげに、皆ミュイゼンへ鋭い視線を送っていた。
「………ミュイゼン…調子乗りじゃない?先月の仕事成績、ボクの方が上なんだけど」
スネイグが食ってかかるが、ミュイゼンは見下すように笑った。
「…ふふ……先月だけは、の間違いでは?」
「…あ?」
「………どんぐりの背比べだろう?ここ最近の成績一位は全て俺だ」
「…なら、貴方諸共私のモノにしてしまえばいいですよね?」
「なっ……!?」
ミュイゼンは席を立つと突如として飛び上がり、スパイドの背後に立った。そして、両腕を彼の肩にかけゆっくりと抱き締めようとする…
「…ホントに気持ち悪いわね……そんなんだから拒絶されるのよ」
クロウの言葉にミュイゼンは動きを止めた。そして、眉間に皺を寄せ、口端をピクピクと動かしながら彼女を睨んだ。手が離れたスパイドはら緊張の糸が切れたのか疲れ果てた顔で荒く息をしていた。
「…貴女の方が気に入られてるからって勝った気でいるなんて…何て浅はかな…!」
「…私は別にスパイドの事は何とも思ってないけど…でも、アンタが狼狽える姿が見れるのはいい気分よ…!ねぇ…負け犬さん」
「っ…この…!」
「失礼、あんた蝙蝠だったわね?じゃあ、負け蝙蝠かしら?」
ミュイゼンは怒りで手を震わせ、ゆっくりとクロウに近づいていく。クロウも自分より少し背の低い彼女を見下げて、さらに煽るように嘲笑してみせた。一足触発の空気に、ゴーツは顔をニヤつかせる。
「アッヒャッヒャッ!!女ってのはやっぱしょうもねぇなぁ!!いけ!!やっちま……あ?」
…ゴーツの前に、1匹の蝿が止まった。またその場の雰囲気が変わった。ピンと張り詰めた、異様な緊張感が辺りに立ち込めた。全員、途端に一言も発さなくなり、背中からじっとりと嫌な汗が流れ始めた。
「あれ…?今日は全員集合?珍しいじゃん!エラいエラい!」
自身の周りに無数の蝿を飛び交わせた男…悪魔神が、天使のような優しい笑みを浮かべて歩いてきた。
その隣には2人の男がついてきている。一人は、不気味な程無表情で槍のような尾を持つ男…ディアスだ。彼を見てスパイドは警戒したような様子を見せるが、当の本人は全くの無反応だった。
もう一人は、見た目は筋肉質な白髪交じりの中年で、中々に男前だがどこかその目は冷たく、同時に怒っているようにも見える。着用しているライダースーツからタバコを取り出し火を付け、静かに煙を吐き出した。
「コロウおじさん…久しぶり〜」
「…何だ…今日はお前らと馴れ合いに来たわけじゃない…さっさと用を済ませるぞ…」
中年の男…コロウはスネイグを冷たくあしらい『Ⅱ』の席に座った。ディアスも無表情のまま、『Ⅳ』の席に座る。悪魔神は嬉しそうに尻尾の4つの刃をガシャガシャと鳴らしながら『Ⅵ』の席に座ると、最初にいた5人も黙って席に座った。
「…で?用はなんだ?」
コロウが口を開いた。彼は少し苛立った様に貧乏揺すりをしている。しかし、悪魔神はあまり気にする様子はなくずっとニヤニヤと笑っている。
「その事なんだけどよ…明日空ノゾム君に会いに行く準備が出来てなぁ!誰か一緒について来て欲しくて呼んだんだ!」
「……下らん…俺は帰る…仕事があるならまた連絡しろ」
コロウは、ため息をつくと席を外し立ち去ってしまった。悪魔神は何も言わず、止めもしなかったが彼が立ち去った後も苦笑いを浮かべていた。
「まぁ……コロウはパスって事でいいかな?誰かついてきたい人〜!」
妙に高いテンションで悪魔神が質問する。しばらく沈黙が続いたが、スパイドとスネイグが手を挙げた。
「お!?ついてきてくれんの!?」
「………明日空ノゾム…間近で見てみたいもので」
「…僕も〜、直接会ってみたいんだよね〜」
「アッハハハハァ!!!そうか!意外と早く決まっちまったし、じゃあ他の事もついでに話しておくか!!アッハハハハハハァ!!!!」
……悪魔神の高笑いが胎動する空間へと吸われていく…
「明日空ノゾム………」
俯いたディアスはじっと何かを見つめていた。




