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強敵の出現を書いてる時がいちばん楽しい。
遂に合流した2組の勇者達。クロンが仕掛けた罠も余裕で突破していき、刻一刻とクロンの元へ迫ってくる。
「クソッ!合流しやがった!」
クロンにはもはや挑発的な態度をとる余裕も無かった。彼は大きく息を吸い込み、大量の魔力を体内で生成すると自身の部屋に無数の罠魔法を張り巡らしていく。道中の罠魔法を平然と突破してくる彼女達にはきっと、こんな急ごしらえの魔法など、これっぽっちも有効打にはならないだろう。それはクロン自身、よく分かっていた。それでも、無いよりはマシだと、彼はそれ程までに焦っていた。
(……大勇者も脅威だが、面倒なのはヒショだ…あの小娘は俺の秘密を知ってやがる!裏切ったのがなんでよりにもよってあの女なんだ…クソ!!)
「……とりあえずこれで…」
罠を張り終わり、クロンは体から力を抜こうとした時だった。
「見つけ……ましたよ!!!!」
「…!?」
ユウが部屋の扉を蹴破ったかと思うと、いきなり剣でクロンに斬りかかった!クロンは想像以上の早さで到着した事に驚き、避ける事が出来ずに斬撃をモロに浴びてしまった。
「が……あ…!?」
「勇…撃!!!!」
堪らずよろめいたクロン、ユウは攻撃の手を緩めることなくさらに剣へ魔力を送り、彼に必殺技を打ち込んだ!罠など意味をなさない程の、絶大な威力を伴った光が直撃したクロンは部屋の壁をぶち抜きその先の岩盤を抉り、最終的に部屋から20m程先まで吹き飛ばされてしまった。抵抗すら許されず、長いトンネルの先に彼は転がっていた。
「やっ…………たぁーーー!!『魔王六翼』の1人を倒しました!!!」
「「「「やったー!!!」」」」
「……このバカ勇者!」
…ユウ達の戦勝ムードを、ヒショのタイキックがぶち壊す。彼女は涙目になりながら尻を押さえていた。
「…な、何するんですかぁ?」
「状況を考えろバカ!ここ地下!天井が崩落したらどうする気だったんです!?」
「……あ…た、確かに……」
「もっと考えて戦いなさいよ……それと、アイツ…まだ生きてますよ」
「……え!?」
ユウが驚いて振り返ると、フラフラとクロンが立ち上がろうとしていた。顔は俯いたままだったが、目線はユウ達に向けられている。その目からは彼女達へのあからさまな殺意が映し出されていた。
「……まだ戦う気みたいですね…」
ユウは静かに息を吸い込んだ。すると、彼女の周りを白金の魔力が踊り始める。そして、再び剣を構えると、瞬時にクロンの懐へ潜り込み剣を彼の腹に突き刺した。
「………ぐえっ!?」
クロンは苦痛に悶えながら血反吐を吐き出した。ユウは剣を引き抜くと、崩れ落そうになる彼を更に切りつける。地面に倒れ伏すクロン、今度こそ息絶えた…かに見えたが、クロンの手が地面を掴み体を起こそうと踏ん張り始めた!
「しぶとい…!?」
ユウは三度剣を構えた。
「…………王子、加勢しなさい」
「……分かった…」
ヒショからの提案に、ノゾムは頷きユウの元へ走っていく。彼がユウの隣まで行くと、同時にクロンへ攻撃を開始した。
「…………アイツ、この間にまた新しい罠魔法を張りやがりましたね…!アンタ達、アイツの魔法を解除してきなさい」
トゥールとソウ、マールはヒショの言葉に一応頷いたが、どこか不満そうな顔だった。
「…いいけど、アナタは何するの?」
「……アイツは…クロンは、このままじゃ倒せないんです」
「………?どういう事?」
「説明は後です。とにかくアンタ達は、罠魔法を解除しなさい」
「…分かった」
トゥールは返事をしたと同時に目を閉じ、意識を集中する。そして、部屋に張られた罠魔法を検知するとそこへ手を向けた。
「ソウ!聖女様!ちょうど大勇者様の後ろ、地面の所に罠魔法が張ってある!すぐに解除して!!」
「分かった!!」
「任せてください!」
ソウとマールはすぐにユウの近くまで駆け寄り、地面へ手を向けた。
「……!?クソッ!俺の罠を!!『弾丸』…!?」
クロンはトゥールとソウ目掛けて魔弾を放とうとする…が、すんでのところで魔王子とマールに弾かれてしまった。
「…あなたの相手は俺達だ」
「…この…!!」
クロンは魔王子へ向けて魔弾を撃たんと彼に手を伸ばすが、構えを取った隙に腹部へ強烈な一打を受けてしまう。声を出すことも出来ず、クロンは打撃の勢いに乗せられ壁へ激突しその衝撃で壁にめり込んでしまった。戦いは一方的だ。それでも、クロンは力尽きること無く立ち上がる。不愉快そうにヒショはそんな彼を戦いを見つめていた。そして、ゆっくりと手に魔力を集中させ…詠唱が始まった。
「………………『死は宿命、全ての生命に訪れるもの。故に我らは死を悲しみ、故に我らは生を尊ぶ…汝、死は何処へ?…嗚呼、歪みし者に救済を……』…よし!」
ヒショは小声で詠唱を読み切り、彼女の手には小さな魔力の球体が出来上がっていた。
(……覚えておいて正解でしたよ、全く…後はコイツをあのクソピエロにぶつけてやるだけ…!)
「…!?何、この魔力?」
「あ!?バカ!!こっち見んな!!」
ヒショに起きた誤算、トゥールが魔力球の気配を感じ取り彼女の方へ振り返ってしまったのだ。その様子はクロンも見ていた。
「…!!!ふざけんな!小娘ェ!!!!!!」
魔力球を見た途端、彼は取り乱し魔力を纏ってヒショへ襲いかかった!咄嗟の事にノゾム達も対応できず、彼に吹き飛ばされてしまう。
「もう!躱されるかもだけど、このまま投げるしか…!」
「うがあああ!!『弾丸』!!!」
「は!?ちょ!?」
ヒショの判断は僅かに遅かった。クロンは魔弾を魔力球へ放ち、魔力球は核を貫かれ霧散してしまった。彼はさらにヒショに殴りかかるが、ノゾムに後ろから蹴り飛ばされ再び壁に叩き付けられた。
「ヒショ!大丈夫!?」
「私は大した傷じゃないですけど…どうしよう…アイツを倒せる唯一の方法だったのにぃ!?」
「……どういう…事…?」
「………アイツは…不死身なんです…」
「「「「「……!?」」」」」
一同はヒショの言葉に愕然とする。いくら魔法が発展したこの世界でも、不死身などおとぎ話に出てくるような存在なのだ。
「へ?不死身!?死なないってコトッスか!?」
「えぇ、そうですよ!だから封印でもしないと倒せないんです!さっきの魔力球はその為の魔法だったんです!」
「…もしかして…もう作れなかったり…」
「…1発限りですよ…あんな魔法……」
不貞腐れたように話すヒショ。先程の楽勝ムードは一瞬にして消え、重い沈黙が全員に漂った。
「…く……クククク……!!」
沈黙はクロンの嘲笑によって引き裂かれる。相手に打つ手が無いと知った彼は勝ち誇ったような顔をしていた。
「ど…どうします?……手足を切断して動けないようにするとかどうですか?」
「…勇者ちゃん、何でサラッとそんな怖い事思いつくの?」
ノゾムは遠回しにユウの提案を蹴り、ゆっくりと拳を構える。まだ戦意を失わない彼にクロンは思わず哄笑した。
「ガハハハ…!俺は不死身だぜ?何をしてももうお前らに勝ち目は無い!」
「……確かに…このままやってもこっちの体力が先に尽きるだけですよね……」
ユウも剣を構えるが、先程まで勢いは既にありはしなかった。クロンは指を鳴らした。すると、2人の足元に爆発が起きる。間一髪のところで2人は躱すが、踏むところ踏むところ全てで爆発が起きていく。
「いつの間にあんな量の罠を仕掛けてたの…!?」
トゥールとソウは魔王の幹部の凄まじさ、そんな存在と渡り合っていた2人にただ驚愕することしかできずにいた。助けなければと動こうにも、徒らに罠魔法を起動してしまうかもしれない…そう思うと足が動かなかった。
「………面倒だな…!」
「全然…!近づけない…!」
形勢逆転、連鎖する罠魔法に2人は避けるので手一杯になっていた。
「……ヒショさん!こうなったら私の『聖域魔法』を使うしか…!」
「………そんな事したら、この部屋の罠魔法全部発動して私達は生き埋めですよ」
「そんな!?」
「うーん……万策尽きて、まさに絶体絶命のピンチ!って感じだね〜」
「何を呑気なこと言って……どわぁ!!?」
ヒショが驚きの声を上げ、皆彼女の方を向いた。クロンには見覚えがなく、ノゾム達にはとても見覚えのある人物がそこにいた。
「……ウリルさん!」
「やあ♪今を生きる少年少女達!元気してた?」
「元気してた?じゃねぇんですよ!?急に何なんです!!?」
「ごめんごめん!まさかそんなに驚くとは思わなくって…」
詰め寄るヒショを宥め、ウリルはゆっくりと彼女達の前に歩いていく。
「あなた…確かメジハで会った…」
トゥールが呼び掛けると、ウリルは目を丸くして彼女の方へ振り向いた。
「あぁ!どっかで見た事があると思ったら!どう?彼らと仲直りしたの?」
「今だけ…協力してるの…」
「ふーん…まぁ、人間はそういう生き物だからね。無理はないよ…さてと」
ウリルは再び振り返ると、杖をクロンに向ける。クロンは指を鳴らした。だが、罠魔法は作動しない。訳が分からず、クロンは何度も指を鳴らすが魔法は一切反応が無い。それを見たウリルは大きくため息をついた。
「…今ある分は全部解除したよ」
「!!?いつの間に!?」
「?杖を君に向けた時だけど?」
「な、何だと…!?あの一瞬で……?」
自慢の罠が一瞬で無力化された…彼女の実力を知るには余りにも充分過ぎる出来事だった。クロンの顔に再び焦りが見え始める。
「……君に聞きたい事があるんだ、クロン」
「何だ……」
逆らうのは悪手だと考えたのだろう、クロンは素直に答える姿勢を見せた。
「………『悪魔』について…だ」
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……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………くだらん……
何もかもが…つまらない…何にも…心が動かない…
矢が彼に放たれる。だが矢は体に突き刺さることなく、ひしゃげてその場にぽとりと落ちる。…彼は何も思わない。
魔物達が彼に襲いかかる。剣を、槍を、斧を持って一斉に武器を振るう…彼にはまるで効いていない。呆然とする襲撃者達の元を彼は通り過ぎる。…彼はまるで無関心だった。
…………何も感じず、ただ彼は歩いていく。道行く全ての者を彼は美しいと思わない、汚らわしいとも思わない。それでも、歩く…意味などないはずなのに———
………………………はぁ……
……………………………気怠い溜め息だけが残った。
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「………何の事だ?」
「…とぼけない方が身のためだよ?私だって封印ぐらい出来るからね?」
「言ったところで…助かる保証は無いのだろう?」
「…それは君の態度次第さ」
ウリルとクロンの間に緊張が走る。どうにか逃れようとするクロンだが、ウリルには一切引く気は無い。それでも、彼は彼女に譲歩させる術はないかと必死に思考を巡らせる。
「……どうすれば見逃してくれる?」
「…魔王軍を抜けろ。悪魔連中は…魔王軍全体に干渉しようとしている。彼らと無関係を貫くにはそれしかない」
「……無茶を言う…!」
「じゃあ全部洗いざらい吐いて…大人しく封印されてもらうしかないけど」
「ぐっ……!」
「…神々は基本中立さ。魔物だって私からすれば人間の亜種みたいなものだし。でも…悪魔から手を借りようとしてるなら話は別…あいつらはそれだけやばい存在だよ…分かってるのかい?」
ヒショは睨むように会話する2人の姿を見ていたが、マールが小声で声を掛けてきた。
「…ヒショさん、あの女の人って……」
「……サリエラの上司…らしいですよ」
「…………???そう…ッスか……」
いまいち要領を得ないまま、マールはとりあえず返事をして話を終わらせた。その後も彼女の頭の上には疑問符が浮かんでいた。
「……全く!強情だな〜!いい加減にしない…と…??!」
突然、ウリルは今以上に険しい顔つきになり振り返った。その目線はこの部屋の入口…その奥へと向けられていた。全員、彼女と同じところへ振り向く。そこには何も無かったが…じっと耳を澄ませると………遠いところから、足音が聞こえてくる。
「……誰か…来る…?」
「………ハァ…ハァ…ハァ、ハァハァ………」
マールは膝を着いて胸を抑えだした。足音が近づく程、彼女の呼吸が荒くなりじっとりと嫌な汗が全身から吹き出てきた。
「…聖女様!?」
倒れそうになるマールをユウが支える。……部屋の奥から、人影が映り始めた。
「……みんな!私の後ろに!!」
「は?何で?」
「いいから!!早く!!!!」
ウリルは困惑するヒショの手を引っ張り、強引に自身の後ろに立たせる。普段、飄々としている彼女の焦る姿に何かを感じ、皆早足で彼女の後ろに下がった。……人影がはっきりと見えだした。
「……………………」
「………最悪だ」
部屋に入ってきたのは、2m近い背丈の男だった。背後にはくすんだ金色の、禍々しい槍のような尾がついている。その槍のような部位の中心には、赤い目玉のような球体が埋め込まれている。中性的で端正な顔立ちだが、その目は虚空のように冷たく、目を合わせるのも恐ろしく感じる程だった。そして、その立ち姿はただ立っているだけなのに何故か虚無感を覚え、まるで全てを…拒絶しているようだった。
「…ディアス!!」
ウリルは男の名を叫んだ。焦燥に体が震えながらも、必死に虚勢を張り彼女は杖を構える。対して、ディアスは無気力そうに彼女を見下ろしていた。
「………………天士…か…」
そう小さく呟くと、ディアスは視線をノゾムへと移した。ウリルが慌てて彼の前に立ち塞がると、ディアスは少しだけ目を細めた。
「王子様……何か不気味な人ですけど…」
「………そう…かな…」
…皆が恐怖を感じる中、ノゾムは何も感じていないようだった。ディアスは小さく前に出る。そして、じっとノゾムの顔を覗き込む…しばらくすると、彼は溜め息をつき、ノゾムから目を逸らした。
「………………まだ…か」
「……………?何の…事?」
…その時だった。ディアスに1発の魔弾が撃ち込まれた!魔弾は彼に直撃するが、傷一つなく平然としていた。
「クロン!?何をやっているんだ!死にたいのか!?」
「何言ってやがる…俺は不死身だっての………それで?お前は誰だ?」
ディアスはクロンの顔を見る。すると彼はクロンのいる方へと歩き出した。
「……やる気か?」
「クロン!!逃げろ!!ディアスは…怪物だ!!」
ウリルは声を荒らげ激昂していた。だがクロンは聞く耳を持たない、ディアスの歩みが遅いのをいい事に、彼の前へ大量の罠魔法を仕掛けだした。
「ウリル…様…?」
「ディアスは…ありとあらゆるものを『拒絶』する!!人間の叡智たる武具も!戦技も!!魔法も異能も!!!!この世界の理…最高神の権能すら!!!!!!!」
「……………は?」
ウリルの言葉に全員が絶句した。その間も、ディアスはゆっくり…ゆっくりとクロンに向かって...歩いている。
「…だからこう呼ばれてる…『神を超えた悪魔』と…」
「……だ、だが…不死身は殺せまい!!」
クロンは指を鳴らした。ディアスの足元が爆発する…だが、彼は全く意に介さない。
「………!?」
クロンは指を鳴らし、ありったけの罠魔法を発動する。
「………くだらん…」
…無駄だった、ディアスは…はなから何も無かったように歩いてくる。あの罠も、この罠も、あれもこれも…全部全部全部全部全部全部全部全部…効かない、効かない効かない効かない効かない!…何もかもが無駄だった。
「………徒労だ、無意味だ、無価値だ…!」
ディアスは……クロンの目の前に立った。
「………………………が……」
クロンの腹にディアスの尾が突き刺された。不死身とて痛みはある、だが、この痛みは違った。今まで感じてこなかった…『死』の匂いを…感じさせた。
「みんな!私の傍に来て!!!ここから逃げるよ!!」
ノゾム達はウリルへ近づく。彼女が杖を横向きに構えると、全員の体が宙に浮き上がり、光に包まれていく。そして、地面をすり抜け天高く飛んでいった。
「……離………せ」
「………………………………」
クロンは尾を必死に引き抜こうとする…が、ディアスは尾を持ち上げ彼と共に天井へ叩き付けた。そのまま天井を、岩盤を貫きながら地上へと戻っていく。
「……………はぁ…」
地上に着くと、ディアスは尾を振り払いクロンを地面に叩きつけた。尾から離れたクロンは腹から大量に出血していたが、辛うじて生きているようだった。
「…………」
ディアスは何も言わない…何も思わなかった。彼の尾の先端が口を開けるように2つに割れ、その奥からは薄紫色の光が見える———
「………………………………」
尾から、天災の如き波動が放たれた。クロンの不死身の体は、その魂諸共…塵一つ残さず消滅した。草木も動物も…全てが消え、辺り一体は無の大地となった。
その景色を見て、ディアスは…
「……………………はぁ………」
何も思わない。




