怒りの魔法
サボってしまっておりました。
ユウ一行がタイボク王国に到着した次の日、彼女達は国王に謁見した。素朴な街並みとは打って変わって玉座の間は豪華な装飾が至る所に散りばめられ、様々な国から取り寄せたのであろう宝で埋め尽くされていた。一行は部屋の煌びやかさに目がチカチカしたらしく、全員若干目付きが悪くなっていた。
「おぉ!よくぞ来てくださいました!大勇者様、そしてそのお仲間の皆様もこの国を代表して歓迎致します!!」
立派な白髭を蓄えた国王が玉座から立ち上がると、ユウへ握手を求めてきた。当然、ユウは握手に応じるが国王の手はかなり力んでおり痛みで彼女の顔は一瞬歪み、少し強引に国王から手を離した。
「あぁ、申し訳ない。嬉しさのあまり力が入り過ぎました!」
笑顔で国王は弁解する。ユウも笑い返すが、その笑顔は若干ひきつっていた。
「しかし…先代の大勇者様は残念でした……ベテランとはいえ、まだまだお若い方でしたのに………」
「…お気遣いいただきありがとうございます。でも、もう大丈夫です!不安な事だらけですけど…でも、一緒に肩を並べて戦ってくれる仲間がいるので!私もあの人と同じ……超えるぐらいの大勇者になってみせます!!」
憂う国王に、ユウは毅然とした意思を伝えてみせる。すると、突然国王は大声で笑い始めた。
「わっはっは!!なんと素晴らしい!貴女であれば、勇者連盟も安泰ですな!!!…さて、それでは本題を」
国王は手を叩くと、1人の兵士が近づいてきて地図を広げた。地図にはタイボク王国とその周辺の森林が書かれていた。よく見ると、地図の端に赤色のバツ印が描かれている。
「…見ての通り、これは我が国と周辺の森が書かれた地図です。そして、このバツ印が描かれている場所は現在、ゴブリンの巣窟になっていると思われる場所です…」
「………ゴブリンがですか?」
ヒショが少し怒ったように聞き返す。
「…えぇ、実は数年前から我が国でゴブリンの被害があり、年々、被害が深刻になってきているのです…それだけでなく、ゴブリンの強さも日を追う事に凶悪になってきており…兵士や一般的な勇者様達では手に負えなくなる程なのです!だからどうか大勇者様の力をお借りしたいのです!」
国王は頭を下げ、同時に周りの兵士達も頭を下げる。だが、ヒショは呆れた様子で国王を見ていた。
「…何かと思えばたかだかゴブリンのために呼んだのですか?アホらしい…リトもまだゴタゴタしてる中わざわざ来てやったのに…」
「………もちろん、ただとは言いません!!」
再び国王が手を叩くと、部屋の奥から兵士が台車を押してきた。そして兵士はユウの前に台車を止める。その台車の中には、並々と宝石や金が入っていた。ヒショは目の色を変えてユウを突き飛ばし、国王の手を握った。あまりにも一瞬の出来事に、国王は口をぽかんと開けていた。
「お任せ下さい!困った人を助けるのが我々勇者の務めなので!」
ヒショはそう啖呵を切るが、目線は完全に報酬の方へ向いており、先程の小言も相まって建前なのは一目瞭然だった。
「す…素晴らしい…さすが、大勇者のお仲間ですね…」
…だが、王は気づいていないフリをしたのだった。
3人は城を出た後、レストランでカーレ達と合流した。
「……じゃあ、3人はゴブリン退治に行くのか?」
「えぇ!全く…国民思いの素晴らしい王ですね!ヒヒッ♪」
ヒショは上機嫌に食事を堪能していた。ノゾムとユウはげんきんな彼女に説教する気も失せていた。
「2人は王様に何を頼まれたの?」
「「この街の護衛!」」
「……護衛?」
「「前にゴブリンの襲撃があったんだってよ!!」」
「…相変わらず…息ピッタリですね」
ノゾムの質問に綺麗に返事がハモるカーレとレッジ。ユウはただただ感心していた。
「……………」
「…?」
5人が食事を楽しんでいると、どこからか視線を感じてヒショは周りを見渡す。すると、近くの席にいた男が5人をじっと見つめていた。男も彼女の視線に気づいたのか、彼女達の座る席に近づいてきた。
「……アンタ、大勇者なんだってな」
「…何者?」
怪しむヒショに男は名刺を差し出した。
「俺はタンジー。ジャーナリストだ」
「ジャーナリスト…?」
ノゾムが不思議そうにタンジーを凝視する。タンジーは面倒くさそうに頭を搔いた。
「魔王子さんは世間知らずみたいだな…ジャーナリストってのは…正義の味方みたいなもんだな」
「…凄い!立派なお仕事なんだね!」
「お、おう…そう言ってもらえると光栄だな……」
無邪気に笑う魔王子。タンジーは皮肉を言った自分に少し恥ずかしさを覚えた。
「で?そのジャーナリストがなんの用です?」
ヒショは警戒心を剥き出しにしてタンジーを睨む。タンジーは当然の態度だろうと言った様子で降伏を示すかのように両手を軽く上げた。
「俺はこの国の秘密を追っていてな、アンタ達にも協力して欲しいんだ」
「……秘密?」
「…数年前までこの国はお世辞にも裕福とはいえなかった。だけど、最近になって急に国の財政が潤ってきたんだ。国王は『我が国の林業を世界に広めたからだ』って言ってたが、俺はそれだけが真実じゃねぇと思ってる……だから頼む!この国の闇を暴くために協力してくれ!」
タンジーは深々と頭を下げた。返事は無い。それでも彼は頭を下げ続けた。
「……あの…」
「…!協力してくれるのか!…あれ?」
勢いよく顔を上げたタンジーの目の前には誰もいなかった。声をかけてきたのはレストランの店員だった。
「こちらの席のお客様は、たった今お帰りになられましたけど…」
それを聞いたタンジーは慌てて会計を済まし外に出る。だが、5人の姿は影も形も無かった。
「何だったんですかねぇ……全く…」
ヒショは下を向いて呟く。5人は全速力でレストランを出た後、それぞれの仕事を果たすために別行動を取る事になった。ゴブリンを倒すため3人は既に森の中を歩いていた。ヒショだけでなく、ユウも——リトでの戦いで自信がついたのか——余裕綽々な顔をしていた。対して、ノゾムはあまり浮かない顔をしていた。
「…………アンタ、何をそんな暗い顔してるんです?」
怪訝そうにヒショが尋ねる。ノゾムはとても言いずらそうに話し出した。
「………兵士さんから聞いたけど…ゴブリンって女の人を狙って襲うって聞いて…食事になるならまだいい方で…酷い時は……無理矢理…」
ノゾムの言葉はそこで途切れたが、端々には不安と憤りが込められていた。ユウもヒショもゴブリンの特徴は熟知していたようで、彼が何に怒りを覚えているのかすぐに分かった。苦い顔をしている彼に対して、2人の顔は妙に晴れ晴れとしていた。
「なるほど!王子様は私達が…その…エッチなことされちゃうのが不安なんですね!!心配してくださってありがとうございます!でも、大丈夫ですよ!『耐淫魔法』があるので!」
「タイイン…?」
「…こういうヤツですよ、ほら」
ヒショは服をまくり、下腹部を魔王子に見せた。彼女のへその下辺りに黒い円状の呪印が刻まれていた。
「これさえあれば、自分が許可した対象以外では妊娠する事が無くなります。刻印が簡単な割には解呪するのは相当難しいから強引な手段も取られないので安心ですし…逆に我々魔族からすれば、ゴブリンの頭数が増やせなくなって問題になってますけどね」
「………そっか…良かった」
「ふふふ…日々魔法も進化しているんですよ」
何故かヒショの下腹部の前で談笑を始める2人。しかし、ノゾムは純粋に呪印の感触が気になったらしく、彼女の呪印に触れてみた。
「ひゃん!?」
そう悲鳴をあげ、ヒショは顔を赤くして服を戻した。普段の彼女からは考えられないような可愛らしい声。2人は目を丸くして彼女の顔を見ている。即座にヒショの顔は般若のようになり、2人を蹴り飛ばした。
「な、何を!!?急に!!!」
しかしユウは痛がる様子もなく、むくりと起き上がった。
「…ヒショさんのあんな声、初めて聞きました…面白かったし、録音しとけばよかったですね…」
「んな事!!!!するな!!!!!!!」
ヒショの絶叫が響き渡り、周りの木々を揺らしたのだった。
ぷりぷりと怒るヒショを先頭に、地図に描かれた印の地点に到着した。周囲を探索すると、洞窟の入口が見つかった。洞窟に入ると辺りには動物の死体や欠けた武器が散乱していた。
「……間違いなくここがゴブリンの巣みたいですね…」
「じゃあ、ここのゴブリン達を倒せば依頼達成ですね!ガンガン進んで……ッ!」
ユウは足元を見て絶句する。彼女の足元にはゴブリンの死体が転がっていたが、その姿はあまりにも異様だった。死体には四肢がなく、周りには血が一滴も流れていなかった。まるで、人形の手足をナイフで切り取ったかのようだった。ユウはさらに洞窟の奥へ目をやると、そこにはおびただしい数のゴブリンの死体があった。死体は頭や四肢、半身が無いものばかりで先程の死体と同じようにそれらは綺麗に切り取られたかのように失われていた。
「……何ですか…これ………」
ヒショとノゾムも絶句していた。3人は顔を見合わせると洞窟の奥へと進んでいく。ジメジメとした暗い道をヒショの照らす僅かな火の光を頼りに歩いていく。進むにつれ、ヒショの顔がどんどん険しくなっていった。
「……進めば進む程…妙な魔力を感じます。この奥に何かいるのは間違いないみたいですね」
「何かって…?何ですか?」
「知りませんよ……少しは自分で考えなさい…」
ヒショは小言を言った途端、足を止めた。2人もつられて足を止める。洞窟の最奥、そこには手錠が壁にいくつも打ち付けられていた。だが、問題はそこでは無かった。3人の前に、青年が彼らに背を向けて立っていた。青年はじっと壁の手錠を見つめている。
「あ、あのぅ……?」
ユウは恐る恐る声を掛ける。こんなところに人がいるとは思わなかったのだろう。驚いた様子で青年は振り返った。青年は穏やかな顔つきでユウを見ていたが、ノゾムとヒショが目に入ると一転して目付きが鋭くなっていた。
「テメェら…このゴブリン共の仲間か!?」
「え!?違いますよ!?私達は寧ろゴブリンの退治を依頼されて…」
「依頼…?」
そう言われて青年は少しだけ落ち着きを取り戻す。このまま丁寧に説明すれば敵意を解いてもらえる、そう考えユウは経緯を話し出した。
「はい!タイボク王国の王様から直々に……」
「…………!!!!」
タイボク王国、その言葉が青年の耳に入った瞬間、彼は再び目つきを鋭くして…それどころか先程に比べて明らかな殺意を込めて3人を睨んでいた。
「…なら、テメェらにも…裁きを受けてもらう…!」
「へ?さ、裁きって?」
「勇者ちゃん!!!!」
青年はユウに殴りかかるが、素早くノゾムが彼女を庇った。青年の振り下ろした拳をノゾムは手で抑え込む——
「…なっ!!?」
青年の拳を掴んでいた手が肩のところまで粒子状に分解され消えてしまった。青年は目標を変え、ノゾムに殴りかかる。ノゾムは慌てて反対の手で受け止めるが、そちらの手も分解されてしまった。両腕を失ったノゾムの脇腹を蹴り壁に叩きつけ、青年はユウとヒショの元へ歩いてきた。
「な、何ですか!?あんな魔法見た事も聞いた事も…」
「ヒショさん!下がってください!」
ヒショがユウの後ろに隠れたのと同時に青年はユウに襲いかかる…が、後ろからノゾムが青年に飛びつき羽交い締めにする。青年は振りほどこうとも必死にもがくが、ノゾムの拘束は中々振りほどけなかった。
「…!テメェ!?何で腕が!?」
「はーん!バカが!うちの王子は再生能力を持ってるんです〜!王子!そのままやっちゃってください!!」
「………!!調子に乗るんじゃねぇ!」
青年は身をかがめると強引にノゾムを投げ飛ばした。お互い素早く体勢を立て直すが、先に動いていたのは青年だった。彼の両手には、凄まじい量の魔力が集まっている。3人は思わず身構えた。
「ど、どうします!?」
「こんなところで避けられないし……逃げるっていったって間に合わないし…!」
「2人とも!とにかく俺の後ろに!!」
青年はゆっくりと両手を前に出す。手の周りに集まっていた魔力は、彼の前方に流れていき球状の形を成していく。ただ魔力を固めただけの物体だったが、この場にいる全員が触れたら確実にまずいものだと本能的に理解していた。
「………裁きを…!!」
青年は3人に向かって魔力球を投げつけた。球は3人の前で止まり、一瞬白く光ったかと思うと壮絶な光と共に大爆発を起こす。周りの壁や天井も光に飲み込まれるように分解されていった。爆発が収まると、洞窟は跡形もなくなり月の光が青年を照らしていた。
「…………!余計な事を…」
青年は何かに気づいたようでキッと空を見上げる。空には木々の間から星や月が輝いていた。その中には月へ向かうように3本の光が伸びていたのだった。
……て………
…………き………て……
起きて……ください………
「あの……起きてください……さすがに寝すぎでは……」
呆れた。いくら私が連れて来たとはいえだ。とにかくさっさと起きてもらわらないと困る。お気に入りのふかふかクッションの上で眠る3人を揺すってみる。
…まだ起きない。今度は軽く頬を叩いてみた。
「…痛っ!?」
眼鏡をかけた、やたらセクシーな服装の子に叩き返された。男の子の方は…そんなに強く叩いてないのに酷く辛そうだ……ふむ、顔が良い。成程、あの御方が入れ込むわけだ。…さて、あともう1人は……
「………うーん…?あれ?ここは……」
「…!起きた!!!」
…ユウが目を覚ますと、小さい真っ白な空間の中にいた。だが、端の方にゴミ箱が置いてあったり、机の上に食べかけのおやつが残っていたり…空間は妙に生活感があった。彼女の下にはふかふかのクッションが敷かれ、ノゾムとヒショが隣で寝ている。寝起きの目を擦り立ち上がると、ユウは後ろにいた女性に軽く会釈した。
「…あなたは?」
「……私の名は、サリエラ。この世界を見届け、そして管理する者。言うなれば、女神です」
ユウは目が点になった。簡素かつ質素な1枚布でできた服に身を包む女性がそんな事を言っても普通ではあれば信じる事などないだろう。だが彼女には本当の事だと納得出来てしまうオーラがあった。
「め、女神様!天士様の次は女神様!?」
「…ウリル様からお話は聞いています。とても勇敢で、可愛い3人だと」
「…様?」
ユウは怪訝そうな顔で聞き返す。サリエラが答えようとした時、ノゾムとヒショが伸びをしながら起き上がった。
「……誰?アンタ?」
まだ眠そうな顔でヒショとノゾムはサリエラを見ていた。サリエラは女神らしく、優しく微笑みながら答え始める。
「改めまして、この世界の女神、サリエラです。と言ってもウリル様は私達のような世界を管理している神々の上に立つ、最高位の神々の側近…人間社会で例えると、本社と子会社があって、私はその子会社のトップであの御方は本社の経営陣の右腕、といったところでしょうか…とにかく、あの御方の方が偉いのです」
「……ウリル様…そんな偉い方だったんですね…」
「………あのショタコンが?」
ヒショがそう言うと途端にサリエラは青い顔になった。
「い、いけません!いくら事実でもそんなハッキリと…」
「…アンタもそう認識してんじゃないですか」
「…え……あの…あの人に言わないでくださいね…」
しどろもどろになりながら、サリエラはヒショに手を合わせた。冷めた目でサリエラを見ているヒショの後ろで、ノゾムは空間を歩き回っていた。
「あ、あの…一応ここ私室なのであんまりジロジロ見られると…」
サリエラがそう言った瞬間、ノゾムが振り返った。普段とは違う真剣な表情でサリエラを睨み、その顔はどこか苛立っているようにも見えた。
「…出口はどこ?早く戻らないと」
「え?」
「あの人…あの人の目、見覚えがある……あの目は人殺しもする目だ。ほっといたらとんでもない事になる!出口はどこだ?教えろ、早く!」
ノゾムから溢れ出る途轍もない威圧感。サリエラは驚愕するが、同時に納得したような表情を見せた。
「…その恐怖すら感じる威圧感……どれだけ優しく、穏やかな気質でも、あなたは魔王の子なのですね…そうですね、本題に入りましょう」
サリエラは表情を引きしめ、指を鳴らした。すると、3人の前に先程の青年の映像が現れた。青年は怒りに満ちた顔で早足に歩いていた。
「…彼の名はカイリ。私が創り出した、天士です」
「……え?」
3人は驚きのあまり言葉に詰まる。サリエラは淡々と話を続けるが、その顔は後悔に包まれていた。
「…私は、この世界の人を導くために2人の天使を創りました。1人は人と同じ目線で、人を友と呼び、共に歩き導くことが出来ました。ですが…彼は、人の負を見てしまった…」
「…人の……負?」
「………数年前、彼は人々を魔物から守るために力を使いました。ですが、その力を人は恐れ彼を拒絶した…『乖離魔法』…手に触れたモノを分解してしまう力、自分達を守るために使われたとしても人々には恐ろしくて仕方なかったのでしょう…幾度も同じ事を繰り返され、彼は私に助けを求めてきました…ですが、私は…彼を助けなかった…助けられなかったのです…」
「……!何で!?」
「…ウリル様が言っておられませんでしたか?我々は本来、中立の存在です。見守り、悪人を裁く…されど必要以上に介入する事は許されない…彼はそれを知りながら戦いに介入したのです……そして、私に追い返された彼はエルフ族の少女と出会いました」
「エ、エルフ族ぅ!?」
エルフ族と聞いてヒショは大声をあげた。ユウもヒショ程では無いが、衝撃を受けた様子だった。
「…そんなに驚く事なの?」
ノゾムはヒショに尋ねる。ヒショは余程衝撃だったのか早口で話し出した。
「そりゃあ驚きますよ!!エルフ族は超希少種族なんです!目撃情報だけで大騒ぎになるほどで…!私だって1度も見た事ないんですよ!?」
「…その、エルフ族が問題なのです」
「「………というと?」」
ノゾムとヒショは揃って首を傾げる。2人の息のあいようにユウは少しムスッとしていた。
「エルフ族の少女は…心身共に壊れかけていました。彼は気がつけば彼女の手を取っていました…カイリの必死な看病のおかげで、次第に少女は元気を取り戻していったのです。そして、彼女はすっかりカイリに懐いていました。だからなのでしょうね…彼女は思い出したくもない過去をカイリに話しました」
「…確かに、何でボロボロだったんですか?」
「…………彼女は、逃げてきたのです。タイボク王国から」
「……………え?」
皆、ただ言葉を失っていた——




