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若葉ちゃんと元旦

あまりお正月感のないお正月の話。

こう言うのは年末に上げるのと年明けてから上げるのとどっちが良かったのかな。

どっちでも同じか。そうだね

元旦の朝、ゆたかは和室の布団の中で目を覚ました。


友人の椎名の家に泊まったのだ。

椎名の部屋は別にあるが椎名も一緒に5人で布団を並べて寝た。


布団に入ったまま周りを見回すと椎名の姿は既になく、エリナと もかが寝ているのが見える。

そして、布団の中でもぞもぞと動いているのが若葉だ。


一応布団は5つ並んでいるが掛け布団ごと ゆたかの布団に侵食してきている。


「暖かい…」


声がしたので布団の中を覗くと若葉と目があった。

若葉は低血圧というか貧血持ちなので朝は弱いが目が覚めるのは早い様で、起きられないわけではないらしい。


「…あけましておめでとうございます」

「あけましておめでとうございます…」


こうして若葉と一緒の布団で寝るのもだいぶ慣れた、と言いたいがやっぱり密着されると気になることは気になる。

さすがに他の連中もいるので変なことはしないが。しないが。


さりげなく背中に手を回すと心なしかヒンヤリする。

体温の高い ゆたかと一緒に暖かい布団で寝ているというのに。

いや、寝ている時、人の体温は下がるんだったか。


スルスルと音も立てずに襖が開いたかと思うと椎名が入ってきた。

既に和服を着て髪も結っている。

流石は和風建築の豪邸に住むお嬢様だ。


本人は伝統がどうとかいうよりコスプレ感覚だとか言っていたが。


「そろそろ起きてくださいな。お雑煮を用意しましたので」

「ん、あ、ああ、おはよう」

最初に起きたのはエリナ。

「いや、今日はあけましておめでとうかしら」

「そうですね、あけましておめでとうございます」


「若葉ちゃんも起きられる?」

「ん、大丈夫、たぶん」

「たぶんかー」


「初夢が崖から落ちる夢だったよ」

若葉は崖にへばりついていて力尽きて落ちる夢を良くみるらしい。


「初夢は元旦の夜から2日の朝までに見る夢ですよ」

「そうなの?」

「元旦が朝起きてから、なのかしらね。クリスマスとかは日が沈んだら翌日って言う文化圏の行事だから24日の夜が25日なのよね」


「どっちみち富士山の夢とか見ないけどなー」

「見ないね」


「ほら、もかも起きて」

「んー、あけおめー」

もかがもそりと起き上がりながら呟く。


「あけおめと言うのはやっぱり、あけましておめでとうの略?」

エリナが尋ねる。

「そう。ちなみに、「あけましておめでとう今年もよろしく」で「あけおめことよろ」ってネトゲのチャットに打ち込むとNGワードに引っかかって伏字になるので、チャット欄が伏字だらけになったりする」

「………」



「まあ、とりあえず改めまして…」


「「「「「あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします」」」」」




「エリナはお餅は珍しがらないの? と言うか、この餅、売ってるのと違うんだけど」

「ふふん。私は町内会で餅つきしましたから、餅も知っているし、この餅がなんで丸いのかも知ってますよ」

「おー、餅つきかぁ。さすがに近所付き合いとか一切ない私には縁がないなぁ」

「だよね」


「椎名んちは椎名んちだけでしたりしたの?」

「うちも以前はうちに人を呼んでやっていた様ですが、最近は町内会に参加する形ですかね」

「危ないからかなぁ」

「世知辛い」

「そうですね」



朝食をとり何やかんやしているうちに昼食も終わり、着付けの始まりだ。

椎名は既に朝から着ている。


「ゆたかとエリナは胸があるから和服は大変そうだなぁ」

なんかタオルとかいっぱい詰め込んでいる。


「ゆたかは男物の着物とかも似合いそう。タッパあるから。でもこのおっぱいで男物はないか」

「「………」」

椎名はともかく、もかも気にはしているのか声もない。


「エリナは何を着ても可愛いなぁ。反則だろこれ。何この金髪和服。アニメキャラかよ」

「若葉ちゃんに可愛いとか言われると微妙に困る」

「なんで」


「はい、最後は若葉ちゃんファッションショーね」

「なんで小さな着物がこんなにあるの」

「集めました」

「集めるな」


結局初詣に行かないで着せ替えしていたので、翌日に延期になった。

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