若葉ちゃんとメガネ2
中学の頃の話なので、3人です
ほとんど百合百合してないけど、行間を読んでね(オイ
若葉は中学の健康診断で近眼である事がバレ、眼鏡をかけ始めていた。
小学校の頃はなんとなく目が良い方が良いに違いないと言う考えから視力検査でズルをしたりして隠してきたが、眼鏡は有れば有ったで便利だった。
「私は目が悪くなった事ないから良く分からんのだけど、近眼ってどんな感じなの?」
ゆたかが若葉に尋ねる。
「どんな感じって言われても、私は物心つく前からこうだからなぁ。むしろハッキリ見える方が違和感って言うか」
眼鏡をクイっと上げる。
「近くは、手の届く範囲は眼鏡をかけていた方がはっきり見えるかな?くらい」
眼鏡を外して自分で確認してる。
「中距離は、黒板とかは眼鏡なしでも、なんとか、何が書いてあるのか分かるくらい。暗いと読めないかも」
そう言いつつ、窓の外に目を向ける。
校庭の向こう側には街が見える。
学校が高台にあるのと、街路樹などがあるので、主に見えるのは建物の屋根なんかだが、電柱とか信号機も見える。
「遠くは、眼鏡でピントが合って見えても解像度が低いらしくて、看板とかは読めないな」
再び眼鏡をかけて、んーってしている。普段あまり見ない顔だ。
「ゆたかはあの辺も読めるんだよね?」
急に自分の方を向かれて焦った ゆたかが答える。
「う、うん、ビルの看板の電話番号も読めるし、信号に付いてる交差点の名前とかも読めるよ?」
「そう言えば、電車の窓からも見えるって言ってたな」
「練習したから見えるようになったけど、動体視力は普通の視力とは違うんじゃね?」
「普通の視力だって、練習したら良くなるんじゃないかしら」
エリナが混ざってきた。
「まあ、私のは一番弱いレンズかその次くらいの軽い近眼だから、その可能性は否めない」
「て言うか、割と見えてるんじゃん。前に私に言ってた『せっかく眼鏡で良く見えるようになったから、じっくり観察させてもらうぜ、げへへ』みたいなのはなんだったのよ?」
エリナが怪訝な顔をしている。
「そんな言い方はしてないと思うが、そうだなぁ、お前がやってるネット配信だと、480pと1080pの違いみたいなもんじゃないかな? 知らんけど」
若葉がちょっと首を傾げつつ答える。
「ちょ、配信て、何で知って、見てるの?」
秘密にしているわけでもなかろうに、今更のように狼狽している。
「たまに、な」
「たまにってどれくらいよ」
「週1とか?」
「週に1回しか配信してないわよ」
「中学生が配信とかしてるからそう言うことになるんだよ」
ゆたかがジト目でツッコミを入れる。
「別に良いじゃない。あまり身バレとかしないように気を付けてるし」
「「普通にバレるだろ」」
さすがに若葉と ゆたかがハモる。
エリナはどこにでもいる顔ではないのだ。
「若葉ちゃん、授業中以外は眼鏡してないけど、した方が良いんじゃない? たまに角とかにぶつかってるでしょ」
「うーん、ぶつかるのは見える見えないじゃなくて見てないだけなんだよな」
「違うの?」
「うん、物心ついた頃から近眼だったから、あまり目で見て行動してないんだよね」
目を閉じて、また開いたときにはどこを見ているのかハッキリしない目になってる。
どこを見ているのか良く分からないのではなく、本当にどこも見ていなかったのだ。
「そんなもんなの?」
「危なくない?」
「まあ、実際ぶつかってるから危なくないとも言い切れないけど、それほど不便でもないんだよね。兄貴とかは電車の料金表が見えなくて困ったとか言ってたけど、いちいち料金表とか見ないし」
「確かに」
「と言うかお兄さんも眼鏡なの?」
「兄貴は小さい頃からずっと眼鏡してて、今では鏡で自分の顔も良く見えないとか言ってたかな。眼鏡かけた方が近眼は悪化するんじゃないかと思っている」
「…人それぞれでは?」
「それに、ぶつかるのは距離感とかも関係していた気がする」
「過去形なの?」
「うん。この前VRのゲームをやって、立体に見えると言うか奥行きって言うのはこう言う事か、と思ってから物の見方が変わってさ」
「そう言う次元なの」
「だってほら、物心ついた頃からぼんやりとしか見えないから気にしてなかったし」
「球技とかどうしてたん?」
「おお、いまならキャッチボールとか出来そうな気がする。身体がついてくれば」
「まず、軽い運動からしようか」
ゆたかが仕方ないなぁと言う顔で言う。
「え、ああ、今度、うん…」
ぱっと見で分かりやすいように若葉 ゆたか エリナと漢字平仮名カタカナなんだけど、文章だと ゆたかの扱いが難しい、気がする




