若葉ちゃんとリレー
別に現実とは関係ないので運動会だか体育祭だかがあったりした世界線
「それで若葉ちゃんは何に出るん?」
「クラス対抗リレー」
「…は?」
高校1年の秋まで ゆたかは違う高校に通っていた。
その間に起こった事件。
いつも通り地元の駅で待ち合わせ。
若葉は地元の学校だが、ゆたかは電車通学だ。
ゆたかは部活が終わってから帰ってくるから割と遅いのだが特に文句も言わずに待っていてくれる。
図書室で宿題をしたり本を読んでいるのだと言う。
「まあ、私が選ばれる時点でクラスの盛り上がり方は推察できるだろ?」
「物は言いようだよね…」
若葉は身長140cm、高校1年生には見えない低身長に折れそうなほど細い手足をしていた。
「じゃあさ、スポーツ万能の ゆたかさんからアドバイス、とかない?」
「…他の人に練習を強要されても断る」
両肩を掴んで視線を合わせ、説得するように答える。
「はい?」
「残酷な話だけど、人には生まれつきアスリート並みの筋肉と強靭な骨格を持っている人と、一生かけてコツコツ鍛えて、老後寝たきりにならなかったらラッキー、みたいな人と居るんだよ」
「私の老後は寝たきりか」
「老後まで生きてね」
「…あ、はい」
「あれ?若葉ちゃんが体操服着てるの珍しいねぇ」
エリナがちゃかす。
「ああ、まず運動する前に運動ができる体づくりからって…」
「そもそも体育の授業もあまり受けてないよね」
「うん」
「意外と柔らかいね」
ストレッチに付き合ってもらう。
「筋肉がないから…」
「…あー」
「自分の練習は良いのか?」
「やっぱり気が付いてないんだ。私もリレーですよ」
「…全力で走ったら乳捥げないか?」
「セクハラか」
若葉がテイクオーバーゾーンで数回飛び上がる。
いまいち、自分の身体って感覚がよく分からんのだよな…
「…なんだあれ」
エリナが巨大な物をブルンブルン揺らしながらカーブを曲がってくる。
他の走者も圧倒されている。
「なんでそれで足速いんだよ」
走りながらバトンを受け取る。
100mか。20秒も我慢してれば良いんだよな
見た目にはそぐわないフォームでグングン加速していく。
なんだかんだ言いながらも ゆたかから走り方のコツとかを聞き出していた。
身体はポンコツだが、それなりに器用なのだ。
半分も進まないうちに身体が悲鳴を上げる。
安全マージンはどのくらいなんだろうか
人体に掛けられた安全率がそれなりにあると信じて、強引に足を前に出す。
何か様子がおかしいが構わずバトンを渡す。
アンカーは陸上部のなんとかさん…
コースから出ながら崩れ落ちる。
「すみません、これ、持って帰っちゃって良いですか?」
ゆたかが保健室に来ていた。
「ああ、もう片付けだけだし、大丈夫だろ。居ても邪魔なだけだろうし」
「酷いな…」
ゆたかに担ぎ上げられながら若葉がぼやく。
「うち寄ってストレッチとマッサージな」
「あ、じゃついでに泊まってって良い?」
「え、あ、うん、良いけど」
「やったね」
「ところで、いつまでこの運び方なのん?…」
もうちょっと百合っぽくしたら良かったかなとか思ったけど、特に思いつかんかったんじゃ(オ




