表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/39

てとてとりあって

短い話とか、ちょっとキャラ紹介的な

「ちょっと手を貸して」

昼休みの教室、唐突に若葉が ゆたかの手を取る。

「ちゃんと返してね」

「…」

ゆたかの手を甘噛みする。

「食うな」

「いや、返せって言われると返したくなくなるじゃん?」

「天邪鬼か」


若葉が ゆたかの手を揉んでると他の子たちも集まってくる。


おかっぱの生徒、もかは若葉ほどではないが小柄な少女だ。

ニュースやネットでのデマなどをかなりの確率で言い当てる事が出来たためゴシップが嫌いで、噂話などの裏を取るのが趣味だった。何かと噂が絶えない若葉のところに良くきていた関係で最近は何もなくても一緒にいる事が多い。


もかのお目付役的な感じでいつも付いて来ていた椎名は黒髪の姫カットでいつも真面目な顔をしているので、付いたあだ名が「委員長」

わりと成績も良い事もあって周りの人間にはまじめな生徒だと思われている。

実際のところは「百合豚」

女の子同士が仲良くしているのを見ては妄想しているタイプだった。

いつも気難しそうな顔をしているのは、にやけたり涎を垂らさないように堪えているからなのだが、それに気づいている人間はほとんどいなかった。


「何をなさってますの?」

椎名が硬い表情のまま尋ねる。

この教室の中で椎名がニヤケそうなのを堪えている事に気が付いているのは本人と もかだけだろう。


「手のツボを押すと言う名目で ゆたかの手を揉んでいる」

「隠す気なしか」

ゆたかが突っ込む。

「てゆーか、バスケとかやってるから疲れてるんじゃないかと思ったけど、全然効かない」

「ちゃんとケアしてるからなぁ。どっちかと言うと、不健康な若葉ちゃんの方が効くんじゃね?」

逆に若葉の手を取って親指でグリっと押す。


「あふぅん」


誰も予想できないような声が出たので全員一瞬固まる。

確かめるようにもう一度ツボを押す。

「いっ、あっ、あう〜」


悶え苦しむ若葉を囲んで微妙な顔をすると言うおかしな空間がしばらく続いた。


「お、おのれー」



「ところで、ゆたかちゃんの左手のそれはなんなのかな?」

ゆたかは薬指にいかにもおもちゃという感じの透明でラメの入った指輪をしている。

「指輪だが」

「…」


「UVレジンがマイブームだった頃に私が作ったやつだ」

若葉がポケットから指輪を取り出す。

「二つでセットになってるんだけど、サイズが違いすぎて私はぶかぶかなんだよね」

椎名がプルプルし始めたが、気付く者は少なかった。

こう言う、短い話も好きなのです。はい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ