ある晴れた雨の日
ゆたかが一緒にいるので高一の後半か高二以降辺りに中学の頃を思い出してる感じ
「触んな。私はあまり触られるのが好きじゃないんだ」
若葉は小さいので何かといじられるが、ちょこちょここう言って振り解いていた。
中学入学からしばらくした頃。
降り出した雨に昇降口で呆然と立ち竦む若葉の姿があった。
別に傘がないわけではないが、左腕を吊り、松葉杖をついた若葉にはどうしようもなかった。
「送るよ」
いつの間にか ゆたかが横に立っていた。
「部活は?」
「今日は外練の日だから」
「ふーん」
「上がって上がって」
若葉の家はマンションだった。
あまり広くない上に雑然と物や段ボールが置かれている。
言ってはいけないのかもしれないが、まだ床が見えるゴミ屋敷と言う様相だ。
「いや、ビショビショだから」
「何言ってるんだ、だからだろ」
濡れ鼠になった若葉が困った時にするポーズをしている。
「一緒にお風呂に入ろう」
「…と言うか、介護だよね」
ゆたかが靴と同時に靴下も脱いで上がり込む。
「まあ、そうな」
若葉の靴や靴下を脱がす。
「風呂とか入って大丈夫なの?」
「まあ、脱臼とか捻挫がほとんどだから」
包帯やらなんやらを外しながら話す。
捻挫とかもあまり温めたらいけなかった気もするが本人が良いと言うなら気にすることもないだろう。
「人の服を脱がすと言うのは変な気分だなぁ」
「せっかくだから脱がされる気分も味合わせてやりたいところだけど、手が言う事を効かない…」
「良いよそんなの、味合わなくて」
服を脱がすと、今回とは関係ない傷跡がたくさんあり、右腕は手首の途中から肩にかけてマダラになっていた。
「虐待、とかじゃないよね」
「さあ、どうかな」
「怖いからやめて」
「君も脱ぎなよ」
「いやいい」
「風邪ひくし、何より狭いからさ」
風呂のドアを開ける。
「せっま!」
「流石にそこまで驚かれるとは思わなかったわ」
ユニットバスのトイレがない状態より気持ち広いくらいの風呂だ。
「うちの半分もないよ」
「ブルジョアかぁ」
「いや、そんなことはないんじゃないかな、知らんけど」
あまり他人のうちと比べたことがない。
「ああ、そうか。さっきから感じてた妙な気分の正体が分かった」
若葉の頭を洗ってやりながら話す。
「んー?」
「お母さんになった気分なんだな」
「どう言うこと?」
「子供ができたらこんな風にお風呂に入れてあげたりするのかなって」
「いや、流石にそこまでちっちゃくないよ?」
この時点で若葉140cm、ゆたか162cmである。
「妹、ではないよなぁ」
「…」
「そう言えば、タオルとかスポンジとかヘチマとかないの?」
「ヘチマ?」
「身体洗うやつ」
「手でお願いします」
「は?」
手のひらにモコモコさせた、泡で出るボディーソープをじっと見つめる。
「うーん」
若葉を支えながら一緒に湯船に浸かる。
「いやー、なんか久しぶりにスッキリしたっつーか、背中が気持ち良いなぁおい」
「おっさんか」
「触られるの嫌いと言いつつ、ゆたかとはベタベタしてるよね」
エリナが分かっていてからかう。
「良いんだ、これは私のだから」
「私は物か」
「抱き枕」
「どっちかと言うと…」
軽々と持ち上げられてしまう。
「私が抱き枕かー」
ゆたかの身長は思いつきで書いてるので後で伸びたり縮んだりしそう(




